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第2章 〜高校入学〜

(11)異世界からの来訪者は従者でした。

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「お前ら気を付けて帰れよ~」

 校門の手前で体育教師が下校する生徒に手を振りながら注意喚起する。 

「アネッサちゃんさようなら~」

「うん、また明日~!」

 アネッサの友人らしき人物が手を振り終わった後に、僕は声を掛ける。

「おーい、早く帰るぞ~」

「もぉ~、待ってってば!」

 アネッサが小走りで僕の元へ駆け寄ってくる。

「で?私に何か伝えたいこと…あるんでしょ?」

「!?………なんで分かったんだ?」

「だって…5限目の終わりに私のこと熱い視線でジロジロ見てきたじゃない(笑)」

「なッッッ!熱い視線でなんか見てないぞ!」

 僕の頬が真っ赤に染まる。

「あはは、冗談よ、冗談(笑)……で?私に何の用事?」

「とりあえず家に帰ってから伝えるよ…流石に通学路でこの話をするのはマズイ」

「なるほど…異世界絡みの件ってことね…」

 アネッサは察しが良いようだ。
僕たちは若干急ぎ足になりながら家に帰った。



「「ただいま~」」

「おかえりなさ~い」

 お母さんの良く響く声が家中に響き渡る。

「あら?今日はやけに早いわね、何か用事でもあるの?」

 ひょっこり現れた母さんが僕たちにそう問いかける。

「いや、ない…ことはないけども……ま、まぁ母さんが気にするほどのことじゃないよ(笑)」

「ふーん。まぁ、そういうことなら何も聞かないけど…」

「助かるよ。母さん」

「あっ、母さん家から出た方が良いかしら///…やっぱり初めては2人きりが良いもんね」

「なッッ!変な勘違いはやめてくれるかなッッ?」

「うふふ、冗談よ、冗談(笑)」

 まったく、アネッサの悪い癖がこの1ヶ月で母さんにも移ってしまったようだ。
このままじゃ僕の心臓が持たないぞ……

「さっ、とりあえず司の部屋で話しましょ!」

 気を利かせてアネッサが僕を誘導する。

「あ、あぁ、とりあえずそうしよう」

 そうして、僕たちは階段をゆっくりと駆け上がった。



 ガチャリ………
部屋の鍵をしっかりと閉め、窓を全て塞ぎ、僕たちの会話が外に漏れないように気を配る。

「じゃあ、本題に入ろうか」

「そうね。…で?異世界絡みの話ってなによ?」

「そのことなんだが……実は一週間程前から、お前の従者を名乗る女が度々僕へ通信魔法を使ってくるんだ…」

「嘘…でしょ!?」

 アネッサは驚きのあまり、その可愛らしい口をあんぐり開けて目を見開いてた。

「な、なんでそんな大事なこと言わなかったのよッ!」

「いや、その…アネッサがこっちの世界に慣れた後に言おうと思ってたんだよ…隠しててごめん」

「まぁ今は許してあげるッ!そんなことより、通信魔法を使ってくるってことはその自称従者はこの世界に来てるってこと!?」

そうなのだ。
これこそが一番の大事件なのだ。
基本、通信魔法は同じ世界に居る住人にしか効力を発揮しない。僕も一度"美丈夫のイケおじ"こと国王に謝罪の通信を入れようとしたのだが、あえなく通信を遮断されたのである。そして、僕宛てにその通信魔法が届いているということは従者がこの世界に転移してきたということなのである。

「まぁ、普通に考えればそういうことになるよなぁ」

「はぁ~~。それで、その従者の名前は?」

「"リサ"と名乗っている」

「………多分本物だわ。あの子なら転移魔法でこっちの世界に来るなんてこと、やりかねないわ」

 珍しくアネッサが頭を抱え込む。
間違えて転移してしまった時でさえアネッサは気丈に振舞っていたのに、この落ち込みようは流石の僕でもびっくりした。

「とりあえず話を進めていいか…?」

僕は恐る恐るこう尋ねる。

「何?もしかしてまだ続きがあるの?」

 アネッサが呆れを通り越してややキレ気味に僕に問う。

「そのぉ………通信魔法の内容なんだが、、、、明日うちの学校に来る‥…らしい」

「………………はぁ!?」




僕たちの平穏はやはり永遠に訪れないようだ………
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