14 / 22
第3章 〜転校生〜
(12) 転校生現る!?
しおりを挟む
HRが始まったというのに、なんだか既視感のある熱気がクラス全体を包んでいた。
「ねぇねぇ、"また"転校生が来るらしいよ!」
「うっそ~!?アネッサちゃんが来ただけでも驚きなのに、また転校生!?」
これもまた既視感のあるセリフだ。
「あー、お前ら。もうそろそろ点呼始めるぞ~?」
担任が点呼の合図を始めたのにも関わらず、一向にザワザワが収まらない。
「はぁ~」と、担任の小さな溜め息が聞こえる。
「もういい、今日は点呼なしでいく。お前らのお待ちかね、転校生の紹介を先に済ませる」
そう担任が口にした途端、クラスが静まり返った。
ガラガラガラ…
教室の引き戸のドアノブに、真っ白な手が乗り掛かる。
「皆さんどうも初めまして、リサ・ベルモッテと申します。王女様と同様、日本に来るのは初めてですので、皆様どうぞ仲良くしていただけると幸いです」
そう、ペコリと頭を下げながら言い放ったのは、絹糸のように艶やかな黒髪に、血管の浮くような細い腕や足はすらりと長く、切れ目の長い二重瞼が特徴の、非現実的な美少女だった。
「やべー、これまた超絶美少女じゃねぇか…」
「王女って………もしかしてアネッサちゃんのこと…?」
クラス内のザワザワがピークに達した。
だが、これはあくまでも僕たちの想定内だ。
昨日の夜にアネッサと作戦を練った結果、"リサ"と名乗る従者がもし本当に学校に現れた場合、僕たちはあくまで顔も知らない他人のフリをする!と決めたのだ
流石にこのような公の場(高校)で顔見知りの仲だとクラスメイトに知られれば、そこから芋づる式でアネッサが王女だと勘付いてくるヤツも現れてくるはずだ。
現に1人、知り合いとも話していないのに、アネッサが王女では?と口にしているヤツが居た。
我ながら、よくこの作戦を思いついたなぁ…と心の中で自画自賛しようとした瞬間、僕たちの全ての作戦は水の泡となって消えた。
「あっ!王女様!やはり此処にいらしたのですね!侍女長であるこのリサ・ベルモッテ。異世界の地より馳せ参じました!」
「………」
そう、この絶対空気読めないマンのせいである。
キーンコーンカーンコーン…
またもや地獄の昼休憩が始まった。
と言っても、今回は僕の机の前には人っ子1人居ない。その代わりにアネッサと"リサ"さんの机の前には、まるで有名小説家のサイン会のような人だかりができていた。
「ねぇねぇ!アネッサちゃんとリサさんって、やっぱり知り合いだったの?」
「アンタバカねぇ、HRの時リサさんが言ってたじゃない!王女様の侍女長だって。つまり、リサさんとアネッサちゃんは幼少期からの顔見知り……つまり禁断の恋ッッッ!」
「???」
人だかりが多すぎてもはや会話が成り立っていない。というか禁断の恋ってなんだよ…
「あはは、皆さん落ち着いてください。私はアネッサ様の従者であり、恋仲ではありませんよ?(笑)」
笑いながら場を和ませるあたり、彼女も陽キャの素質があるようだ。
まったく……羨ましい。
「ふーん、そうなんだぁ。ところでさ、さっきからリサさんってば、従者とか侍女長とか言ってるけど、アネッサさんってどこかしらの王女様だったりするの…?」
ここでアネッサが流石にこれ以上リサとクラスメイトを会話させるのはマズイと考え、話の間に割り込む。
「ちょっ!違うわよ!リサとは昔からの付き合いだけど、侍女長なんて言ったのは単なる悪ふざけよ!」
アネッサが必死で抗議する。
ところがあの空気読めないマンは更に空気を悪くする。
「なっ!?アネッサ様!?王城では様々なお世話をしましたのに…もしや転移で記憶をお忘れに…?」
「あー、あー、もういいから一旦リサは黙ろう。うん」
側から見ててもハチャメチャな展開だ…
しかしここでようやく助け舟……いや、泥舟かもしれない船が現れる。
「んッだよお前らァァ、俺ァァアネッサに用事があるんだァァ、道開けてくれやァァ」
そう、佐伯だ。
「なっ、なによアンタ!最近学校に来てるからって私たちに話しかけて良い分際だと思ってるの!?」
「あ"?」
「ヒッッッ!」
佐伯が周りの女子たちを一睨みで退けさせる。
「むむ!貴様!王女様に危害を加える気か!」
リサが俊敏な身のこなしでアネッサの前に立ちはだかる。流石は侍女長、ある程度の戦闘教育は受けているようだ。だが、残念ながら今日は侍女長のバトルシーンは拝めないらしい。
「こら!リサは人を見た目で判断しちゃダメでしょ!」
コツンっ!とリサの頭にアネッサの可愛らしい拳が弱々と振り上げられる。
「この人はこんな見た目だけど………ええと、とりあえず良い人なのよ!」
「そ、そうですか…それは失礼しました」
リサが後ろにしょげながら引き下がる。
「あァァ、その、なんか悪いなァァ。周りに居た女子全員退かせちまってよォォ」
頭をポリポリと掻きながら慣れない平謝りをアネッサに披露する。
「別にいいですよ、私もあの子たちが何言ってるのかよくわからなかったですし…それで、私に何の用です?」
「あァァ、とりあえず立ち話もなんだし、お茶でもしねェェか?」
「「「!?」」」
あの佐伯が女子にお茶のお誘い…だと!?
どうやらまた一波乱ありそうな予感がする………
「ねぇねぇ、"また"転校生が来るらしいよ!」
「うっそ~!?アネッサちゃんが来ただけでも驚きなのに、また転校生!?」
これもまた既視感のあるセリフだ。
「あー、お前ら。もうそろそろ点呼始めるぞ~?」
担任が点呼の合図を始めたのにも関わらず、一向にザワザワが収まらない。
「はぁ~」と、担任の小さな溜め息が聞こえる。
「もういい、今日は点呼なしでいく。お前らのお待ちかね、転校生の紹介を先に済ませる」
そう担任が口にした途端、クラスが静まり返った。
ガラガラガラ…
教室の引き戸のドアノブに、真っ白な手が乗り掛かる。
「皆さんどうも初めまして、リサ・ベルモッテと申します。王女様と同様、日本に来るのは初めてですので、皆様どうぞ仲良くしていただけると幸いです」
そう、ペコリと頭を下げながら言い放ったのは、絹糸のように艶やかな黒髪に、血管の浮くような細い腕や足はすらりと長く、切れ目の長い二重瞼が特徴の、非現実的な美少女だった。
「やべー、これまた超絶美少女じゃねぇか…」
「王女って………もしかしてアネッサちゃんのこと…?」
クラス内のザワザワがピークに達した。
だが、これはあくまでも僕たちの想定内だ。
昨日の夜にアネッサと作戦を練った結果、"リサ"と名乗る従者がもし本当に学校に現れた場合、僕たちはあくまで顔も知らない他人のフリをする!と決めたのだ
流石にこのような公の場(高校)で顔見知りの仲だとクラスメイトに知られれば、そこから芋づる式でアネッサが王女だと勘付いてくるヤツも現れてくるはずだ。
現に1人、知り合いとも話していないのに、アネッサが王女では?と口にしているヤツが居た。
我ながら、よくこの作戦を思いついたなぁ…と心の中で自画自賛しようとした瞬間、僕たちの全ての作戦は水の泡となって消えた。
「あっ!王女様!やはり此処にいらしたのですね!侍女長であるこのリサ・ベルモッテ。異世界の地より馳せ参じました!」
「………」
そう、この絶対空気読めないマンのせいである。
キーンコーンカーンコーン…
またもや地獄の昼休憩が始まった。
と言っても、今回は僕の机の前には人っ子1人居ない。その代わりにアネッサと"リサ"さんの机の前には、まるで有名小説家のサイン会のような人だかりができていた。
「ねぇねぇ!アネッサちゃんとリサさんって、やっぱり知り合いだったの?」
「アンタバカねぇ、HRの時リサさんが言ってたじゃない!王女様の侍女長だって。つまり、リサさんとアネッサちゃんは幼少期からの顔見知り……つまり禁断の恋ッッッ!」
「???」
人だかりが多すぎてもはや会話が成り立っていない。というか禁断の恋ってなんだよ…
「あはは、皆さん落ち着いてください。私はアネッサ様の従者であり、恋仲ではありませんよ?(笑)」
笑いながら場を和ませるあたり、彼女も陽キャの素質があるようだ。
まったく……羨ましい。
「ふーん、そうなんだぁ。ところでさ、さっきからリサさんってば、従者とか侍女長とか言ってるけど、アネッサさんってどこかしらの王女様だったりするの…?」
ここでアネッサが流石にこれ以上リサとクラスメイトを会話させるのはマズイと考え、話の間に割り込む。
「ちょっ!違うわよ!リサとは昔からの付き合いだけど、侍女長なんて言ったのは単なる悪ふざけよ!」
アネッサが必死で抗議する。
ところがあの空気読めないマンは更に空気を悪くする。
「なっ!?アネッサ様!?王城では様々なお世話をしましたのに…もしや転移で記憶をお忘れに…?」
「あー、あー、もういいから一旦リサは黙ろう。うん」
側から見ててもハチャメチャな展開だ…
しかしここでようやく助け舟……いや、泥舟かもしれない船が現れる。
「んッだよお前らァァ、俺ァァアネッサに用事があるんだァァ、道開けてくれやァァ」
そう、佐伯だ。
「なっ、なによアンタ!最近学校に来てるからって私たちに話しかけて良い分際だと思ってるの!?」
「あ"?」
「ヒッッッ!」
佐伯が周りの女子たちを一睨みで退けさせる。
「むむ!貴様!王女様に危害を加える気か!」
リサが俊敏な身のこなしでアネッサの前に立ちはだかる。流石は侍女長、ある程度の戦闘教育は受けているようだ。だが、残念ながら今日は侍女長のバトルシーンは拝めないらしい。
「こら!リサは人を見た目で判断しちゃダメでしょ!」
コツンっ!とリサの頭にアネッサの可愛らしい拳が弱々と振り上げられる。
「この人はこんな見た目だけど………ええと、とりあえず良い人なのよ!」
「そ、そうですか…それは失礼しました」
リサが後ろにしょげながら引き下がる。
「あァァ、その、なんか悪いなァァ。周りに居た女子全員退かせちまってよォォ」
頭をポリポリと掻きながら慣れない平謝りをアネッサに披露する。
「別にいいですよ、私もあの子たちが何言ってるのかよくわからなかったですし…それで、私に何の用です?」
「あァァ、とりあえず立ち話もなんだし、お茶でもしねェェか?」
「「「!?」」」
あの佐伯が女子にお茶のお誘い…だと!?
どうやらまた一波乱ありそうな予感がする………
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
38
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる