戦闘狂種族のスナイパー

朝食はパンよりご飯派

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4話 焼肉パーティーをした件

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朝起きると隣には生まれたままの姿のアイリスがいた。愛らしく思い頬を指でつく。柔らかくなんだかほっこりなる。

起き上がって、まだ寝ているアイリスに布団を掛けて服を着る。
外に出て昨日の狩りの感覚が残っているうちに弓の練習をしようと思ったが、中止になった。

そこにはまだ朝早いというのに、完全武装のプロ族の男性陣達が集まっていた。
嫌な予感がして急いで隠れたが、プロ族の大人には敵わない。
この人たち、数キロメートル離れた獲物も発見するからな。

「おう、リオン!初めての夜はどうだったが?お前もそんな歳か、早いもんだな!」

サザナミが俺に気づいて広場まで引きずっていく。
ちなみにサザナミの質問は完全無視した。

「なんでこんな早くに集まってるの?なんか強いやつでも出た?」

「バカ言え、強い魔物が出てたらそれは早い者勝ちで争いが起こってるさ」

戦闘狂が遺憾なく発揮されている。

「昨日お前がトカゲ狩ってきただろ?それに大人たちが感銘を受けて巨大オオトカゲを狩りに行こうってなってな。目指せ100メートルサイズだってよ!楽しみだな!」

バカだろこいつらと思いながらも、楽しそうだと思ってる自分がいる。
あぁ……俺もプロ族戦闘狂の真の仲間入りした気分だ。

「当然リオンも行くよな?弓持ってるし、やる気満タンだな!狩り勝負でもするか?」

「行くけど狩り勝負はしないよ」

遂に広場に着くと、そこはもう凄い熱気だった。

「よしお前ら!ランドルフの倅がオオトカゲを倒したんだ!俺たちは巨大オオトカゲを狙うぞ!時季外れだが、今夜は祭りだぁ!」

『オォ!!!!!』

「よっしゃあ!行くぞぉ!」

森方面に向かって走り出して行く大人たち。ちなみに今音頭を取っていたのが村長のレグルスだ。

俺は最後尾につきながら大人たちの後を追う。
狩りに行けるということは、大人たちのスピードについて行けることを意味する。

森を進むというと、音をなるべく立てないように気をつけながら歩くイメージ……というか俺のやり方だが、それはプロ族にとっては異例だ。

なんて言ったって遅い・・

まず身体能力が優れていて、常時と言っていいほど身体強化の魔法を使っているプロ族にとって一番早いのは枝から枝まで跳んでいくことだ。
ちなみに魔法を使えるものは空を飛ぶ人もいる。
もう、人じゃねーや。

そのスピード、時速にすると約120キロを優にこす。
村長は歳だから地面を駆け抜けている。同じ以上のスピードで。
歳って意味分かってるのか?って感じだ。
ちなみに「馬」の最高速度は時速160キロ程だそうだ。それで2、3時間は走り続けれるらしい。
もっというとプロ族は平地なら時速200キロほどで5時間は走れる。
「馬」要らねえじゃん、と思って聞いてみたら年に数回行う騎乗戦のために必要。後、格好いいじゃん?との返答がきた。つまり、そのくらいというわけか。

そうして2、3時間ほどペースを変えずに喋りながら走り続けると先頭が急に止まる。
それに合わせて皆も止まり、喋るのもやめる。

森に静寂が訪れる。

こういう時のオンオフの切り替えは流石の一言。
しかし俺の目で見つけることができなかった。なので悔しいが近くにいたサザナミに小声で聞く。

「獲物どこにいるの?」

「初見じゃ見つけられなくてもしょうがねぇ。でも、予想はできるだろ?お前は頭いいからな」

今日の獲物は巨大オオトカゲ。俺が狩ったあのドラゴンがオオトカゲ。サザナミ曰くトカゲ。
つまりあれより巨大。確か100メートルサイズとか言ってたっけ。
ん?100メートルサイズなのに見つけられない?いや、見つけられないではなく見つけているのに気づいていないだけ?
前方に適当に『鑑定EX』を使う。

古賢木エルダートレント
「古賢木」
「古賢木」
「古賢木」
「精霊樹」
「古賢木」
「古賢木」
「古賢木」
「古賢木」
山峰巨竜マウンテントドラゴン

あっ、いた。

途中気になるものがあったのを無視してそれを見る。
見た目はただの山の一部。そこにレグルスが青白い巨大な炎の球をぶつける。

「Guoooooo!!!!」

凄まじい咆哮を上げると、山の一部というか、一つの山が動き出す。

「トドメを刺したやつは魔宝石と好きな部位二つ総取りだぁ!」

『よっしゃぁっ!!』

先程までの移動とは大違いのスピード、消えるような動きで山峰巨竜に立ち向かって行く大人たち。

「リオン、お前も乗り遅れるなよ!」

隣にはサザナミが弓を番えている。それは矢というものではなく、一本の木から削って作られた丸太の杭だ。
放たれた杭は山峰巨竜の横腹に命中し、深く食い込み爆発する。爆発っ!?

「じゃあ行ってくるぜ!」

弓を投げ捨て背中の大剣を両手で持ち、向かうサザナミ。後でアレの作り方、教えてもらおう。

気がつけばポツンと一人になっていた。

「矢は効果薄いだろうし、魔法も同じ。剣は近寄らないといけない。さて、どうするか」

そこでようやく手に入れた『複製コピー』を思い出す。

「そういや触ってたな、あの杭」

今までサザナミに色々教えてもらっていた時に触っていた記憶がある。まさか爆発するなんて聞いてなかったが。

「じゃあやりますか『存在複製リアルコピー』」

俺の周囲に先程の爆発する杭が100本・・・浮いている。
それを魔法で操作して、撃ち出す。


>『射撃Lv1』を獲得


おっ、これがアナウンスか。

などと思っているうちに撃ち出した100本の杭は体全体に命中し、深く食い込み爆発する。

思わぬ大爆発にほかの大人が巻き添えになってないか心配になるが、巻き添えになっていてもどうせ生きてるだろうと思い考えるのをやめた。

大爆発により体の一部が弾け飛んだ山峰巨竜は目に見えて瀕死だ。

「もう一回」

トドメを貰おうとすると、山峰巨竜の太い首が胴体と切り離された。

「はぁ!?」

優れた視力で首付近を見てみると、村長のレグルスが雄叫びを上げていた。

「あ"ー、美味しいところ持ってかれたぁ……」

悲しみと魔力不足で近くの木を切り、切り株に座っていると大人たちが帰ってきた。
山峰巨竜は村の財産の魔法袋マジックバックに収められていた。
流石に巨大過ぎたのか複数の魔法袋に分けられているらしい。

帰り道、サザナミから質問してする。

「あれどうやったんだ?俺の魔法袋だと武器とかあるから一つ分しか入れれないし、そもそも作り方知らないだろ?」

「魔法だよ、魔法」

サザナミは魔法が使えず、魔法に幻想を抱いているので大体魔法といえば納得する。

「くそぉ!!俺も魔法使いてぇ!」

村に帰ると村人総出で解体作業が始まった。大量過ぎる肉に、大きく真っ白な魔宝石。
牙や爪、革や臓器など有り余る量だ。
アベル大陸では値段のつけようもないくらいだろう。国一つ買えるかもしれない。

だがここは「終焉大陸」カンナ大陸である。そしてそれを扱うのはプロ族。
つまり肉は食べ、革は日用品に、牙や爪は包丁やナイフなどに生まれ変わる。

そして今日は焼肉パーティーだ。

「皆、よく頑張った!トドメは俺が首を切り落としたが、リオンが致命傷を負わせた!
先日のオオトカゲに加えて今回の闘いぶり、将来有望なものとなるだろう。将来有望な若者に乾杯!」

『乾杯!』

村長レグルスの乾杯の挨拶を聞いて俺は驚いた。気づいていたのか。
俺は褒めてくる大人たちや子どもたちと、腹一杯肉を食べた。

山峰巨竜の肉はとても柔らかく、噛めば噛むほど肉の味と肉汁が溢れ出てくる最高の品だった。

祭りが終わった後に俺は村長に声を掛けられた。

「リオン、今日のご褒美だ」

そういって渡されたのはアレほど巨大ではないが、真っ白な魔宝石だ。

「村長、これは?」

「あのサイズで、長生きする獲物だと複数の魔宝石を持つことがある。一番いいのはトドメを刺した俺が貰うがもう一個のはお前にやる。装飾品にするも、魔力タンクにするも、飾っとくも自由だ。好きに使え」

それだけ言うと村長は立ち去っていく。

「鑑定」

『山峰巨竜の魔宝石の一つ。その価値は大国の国宝をも超える。杖の宝玉に使えば最高の杖が、魔法発動の触媒に使えば望みの結果が得られるだろう』

俺は大事に持ちながら家に帰り、部屋に飾った。ベッドに横になる。

そういえばアイリス見なかったけどどこにいたんだろう。

これの使い道を考えていると、疲れていたからかいつのまにか寝てしまった。
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