声楽学園日記~女体化魔法少女の僕が劣等生男子の才能を開花させ、成り上がらせたら素敵な旦那様に!~

卯月らいな

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響け合唱魔法!チームワークで魔物を撃退せよ

ヒミツの特訓

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<アキラ視点>

「ところでよ。お二人さん」

アレグロがお二人さんと呼ぶのは僕とエリーゼのことだ。

「毎晩、寮を抜け出して何をしてるんだ?逢引というわけじゃないだろ?」

「そうよ。女子寮で話題になってるんだから。男と女の関係になっちゃったんじゃないかって」

ソナタも便乗してくる。

「なにって……特訓かな?」

「特訓!?何の!?」

アレグロとソナタがユニゾンで聞いてくる。

「な、なにって、魔法だって」

「なーんだ。つまんない」

ソナタはつまらなそうにそっぽを向く。

「だって、アキラったら、かまいたちしかまともに攻撃魔法使えないっていうから」

とエリーゼが言うと

「かまいたち!?小学校3年で習うあのかまいたちか?」

と、アレグロが驚き

「まあ、正確にはテナーの攻撃魔法にアレンジされてるやつだけど」

と細く説明する。

「へー。よくそんなレベルでこの学校に合格できたもんだ。裏口じゃねーだろうな」

「こら!アレグロ!失礼なこと言わないの」

「ごめん」

ソナタにたしなめられてアレグロは謝る。

地味にぐさぐさくる会話だ。

この世界には、日本人が学年ごとに覚える漢字が定められているのと同じように、学年ごとに習得することがが推奨されている魔法があるようだ。

異世界からお邪魔した僕は当然のように基礎ができていない。

そんなものだから、魔法の特訓をしてもらっていたのだ。

「上達の速度が早い。音感があるからかしら」なんて、ほめられたのだが、お世辞なのか本気なのかはわからなかった。

「んで、なんの魔法を使えるようになったの?」とアレグロが聞くと

「ベーシックファイアーよ!」とエリーゼが自信満々に答える。

「それ……男が声変わりしてすぐ覚える初歩魔法じゃないか。本当にお前大丈夫か?」

「あら、ベーシックファイアーは歌唱力に比例して威力が増す実践向きの魔法よ。昔から言うでしょ?ベーシックに笑うものはベーシックに泣くって」

「いやあ、それにしたって、ベーシックがメインウェポンはさすがにどうかと思うぜ。よくそんなので……」

言いたい放題である。

だけど、それに反論できるほど、僕は魔法の知識を持ち合わせていなかった。

「なんとかなるよ」

と強がって見せるのが精いっぱい。

「そうよ。そうよ。うちのアキラバカにすんな。むかつく!」

とエリーゼは援護してくると

「あんたたち夫婦だねえ」とソナタは冷やかしてくる。

「夫婦じゃないっ!」とふたりで反論する。

そんなたわいもない会話をしていたそのときだった。

汽車が急ブレーキをかけだしたのだ。
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