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第一話
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もうすぐ、私たちはここを卒業する。
教室の中に満ちているのは、なんだか不思議な気持ちだった。明日への期待と、今日が終わってしまう寂しさが、みんなの心の中で複雑に絡み合っている。
休み時間になると、卒業アルバムに書くメッセージの交換で、いつもより大きな笑い声が教室のあちこちで聞こえていた。連絡先を交換するグループもあれば、卒業式の後にどこで遊ぶかなんて話で盛り上がっている子たちもいる。
でも、そのどれもが、私には少しだけ遠い世界の出来事みたいに感じられた。
私は、そんなにぎやかな輪から一歩離れた自分の席で、真っ白なままのスケッチブックを見つめていた。
卒業制作。テーマは『私の大切な場所』。先生はそう言っていたけれど、私にはその『大切な場所』が何なのか、まだ見つけられずにいた。
言葉で自分の気持ちを伝えるのは、昔から本当に苦手だ。うれしいとか、悲しいとか、そういう簡単な言葉でさえ、口に出そうとするとのどの奥でつかえてしまう。
だから私は、代わりに絵を描く。言葉にならない心の動きや、きれいだなって思った風景の色を、スケッチブックの中に閉じ込める。それが、私にとっての言葉だった。
でも、描いた絵を誰かに見せるのは、もっと苦手。自分の心の中を直接のぞかれているような気がして、どうしても強い抵抗を感じてしまう。
だから、クラスでの私は、あまり自分から話さない、目立たない子。たぶん、みんなはそう思っている。
「……だと思うな」
「……かもしれないね」
誰かと話すとき、私の口から出てくるのは、いつもそんなふうにはっきりしない、ふんわりとした言葉ばかり。自信がないのが、自分でもよく分かる。
つややかな黒髪が肩まで伸びていて、そんな私の表情を隠してくれることもあって、それに甘えてしまう時もあった。
窓の外では、運動場で下の学年の子たちが体育の授業を受けている。元気な歓声が、ガラスを通して、こもった音になってここまで届いていた。
ああ、どうしよう。本当に、何も思いつかない。
スケッチブックの白さが、私の空っぽの頭の中を映しているようで、私はそっとページを閉じた。
◇
最後のチャイムが鳴り終わり、教室がにわかに騒がしくなる。「また明日」の声があちこちでかわされ、みんなランドセルを背負って教室を出ていく。
私は、画材がいくつか足りないことを思い出して、みんなとは反対の方向へ足を向けた。
美術準備室。普段は先生しか使わない、特別な場所。でも、放課後なら、画材を補充するために生徒が入ることも許されていた。
廊下を歩いていくと、だんだん周りの音が遠くなっていく。さっきまでのにぎやかさがうそみたいに、自分の足音だけがやけに大きく聞こえた。
美術室の隣にある、準備室の引き戸に手をかける。少しだけ立て付けが悪くて、独特の音を立てながら扉が開いた。
中は、ひんやりとしていて、絵の具と古い木の匂いがした。窓から夕方の陽射しが細く差し込んで、空気中に舞う小さなほこりをきらきらと照らし出している。
壁一面に作り付けられた棚には、石膏像や使い古されたイーゼル、乾いてひび割れた粘土のかたまりなんかが、ところ狭しと並べられていた。学校の忘れ物が全部ここに集められているみたいだ。
お目当ての画材を探して、棚の間をゆっくりと歩く。その奥の一角、他の棚が分厚いほこりをかぶっているのに、そこだけ不自然にきれいな場所があった。
そして、棚のさらに奥。だれかが隠したみたいに、ひっそりと置かれた一つの木箱が、私の視線を捕らえて離さなかった。
どうしてだろう。他にもたくさんの物が置いてあるのに、その箱だけが、特別な何かであるかのように私の目に映った。最初から私がここに来るのを分かっていて、ずっと待っていたみたいに。
一歩、また一歩と、何かに引き寄せられるように近づいていく。
それは、使い込まれた飴色をした木箱だった。表面には、とても細かく、美しい花の彫刻がびっしりと施されている。葉っぱの線の一本一本までが丁寧に彫り込まれていて、作った人の強いこだわりが伝わってくるようだった。
そっと指でなぞってみると、なめらかな木の感触が心地いい。
ふたに手をかけ、持ち上げてみる。蝶番がきぃ、と小さな悲鳴を上げた。
箱の中は、赤いビロードのような布が敷きつめられていた。そして、その真ん中に、ぽつんと一本だけ、絵の具のチューブが収められていた。
それ以外のものは何もない。たった、一本だけ。
チューブは、鉛のような鈍い輝きを放っていた。手に取ってみると、見た目よりもずしりと重たくて、肌の温度がすっと奪われるような、無機質な冷たさが手のひらに伝わる。
ラベルには、何も書かれていない。ただ、その不思議な色合いだけが、私の意識を強く引きつけた。
『灰色の絵の具』。
頭の中に、自然とそんな言葉が浮かんだ。それはただの灰色じゃなかった。もっと深くて、暗くて、どんな色も飲み込んでしまいそうな、底なしの灰色。なんだかとても悲しい色なのに、どういうわけか、その魅力から目をそらすことができなかった。
私は、魔法にかかったみたいに、そのチューブを自分のカバンの中にそっとしまい込んでいた。どうしてそんなことをしたのか、自分でもよく分からなかった。ただ、そうしなければいけないような、そんな気がしたんだ。
◇
自分の教室に戻ると、もう誰もいなかった。夕方の陽射しが窓から差し込んで、机や椅子が長い影を床に伸ばしている。
ついさっきまでみんながいた場所は、がらんとしていて、舞台のようだった。でも、この静かな教室は、私にとっては少しだけ特別な空間だ。たくさんの思い出が、この空気の中に溶け込んでいる気がするから。
私は自分の席に座り、再びスケッチブックを開いた。目の前に広がる、誰もいない教室。見慣れた、ありふれた風景。でも、今日の私には、それがとても大切なもののように思えた。
そうだ、これを描こう。この、何でもない、今の教室を。
卒業制作のテーマが、ようやく見つかった気がした。
カバンから、さっきの絵の具を取り出す。パレットの上に、チューブの口を当てて、ゆっくりと力を込めた。にゅるり、と音を立てて絞り出されたのは、やはりあの不思議な灰色だった。
パレットの上でさえ、それは周りの色となじもうとせず、自分だけが特別な存在だと主張しているみたいに見える。
私は筆を手に取り、その絵の具をそっとすくい取った。そして、白い画用紙の上を滑らせていく。
窓から差し込む夕陽、黒板に書かれたままの文字、友達がふざけて描いた小さな落書き。一つ一つを、丁寧に、その奇妙な絵の具だけで描き上げていく。
色がないはずなのに、なぜか、それぞれの手触りがはっきりと分かるような気がした。描けば描くほど、私はその作業にのめり込んでいった。
周りの音が何も聞こえなくなり、私と、スケッチブックと、この灰色の絵の具だけが、世界の全てになったような感覚。
描き終えた絵は、我ながら不思議な出来ばえだった。色がないのに、とても雄弁に教室の空気を伝えている。でも、同時に、どうしようもないほどの静けさと、寂しさを感じさせる絵でもあった。
私は、その絵を誰にも見られないように、そっとスケッチブックを閉じた。夕陽はいつの間にか沈みかけていて、教室は薄紫色に染まっていた。
私は急いでランドセルに荷物をつめ込み、静まり返った学校を後にした。
明日は、この絵を先生に見せようか。それとも、やっぱりやめておこうか。そんなことを考えながら、夜の匂いがし始めた道を、一人でとぼとぼと歩いて帰った。
◇
翌朝。
いつもと同じ時間に家を出て、いつもと同じ道を歩いて学校へ向かう。通学路の途中にあるパン屋さんの甘い香りも、交差点で流れる交通安全のメロディーも、何もかもが昨日と同じだった。
空は雲ひとつなく晴れ渡っていて、気持ちのいい一日が始まりそうだった。
昇降口で上履きに履き替え、階段を上る。廊下には、すれ違う生徒たちの元気な挨拶が飛び交っている。昨日までの私の悩みなんて、ちっぽけなことだったみたいに、世界はいつも通りに色と音であふれていた。
六年生の教室が並ぶフロアに着き、自分のクラスのプレートを確認する。六年一組。見慣れたその文字を見て、私はゆっくりと教室の引き戸に手をかけた。
そして、扉を開けた瞬間。
私は、自分の目に映ったものを信じることができなかった。
そこにあるはずのものが、なかった。色が、なかった。
昨日までカラフルな掲示物で飾られていた壁も、みんなが使っている色とりどりの文房具も、窓から見えるはずの青い空も、校庭の木々の緑も。全てが、あらゆる色を失っていた。
白黒だけの写真の中に迷い込んでしまったみたいに、世界は濃さの違う灰色だけで作られていた。
それだけじゃない。音も、なかった。
いつもなら、朝のこの時間には、クラスメイトたちの「おはよう」という声や、椅子を引く音、おしゃべりするざわめきで満ちているはずなのに。今は、分厚い壁に囲まれているかのように、何の音も聞こえない。
しん、と静まり返った空気は重く、肌にまとわりつくようだった。
昨日、私がスケッチブックに描いた、あの教室。
目の前に広がっているのは、その絵そのものの光景だった。
何が、どうなっているの?
頭がうまく働かない。足が地面に張り付いたみたいに、一歩も動くことができなかった。ただ、目の前の信じがたい光景を、ぼうぜんと見つめることしかできなかった。
色を奪われ、冷たい静寂に沈んだ教室。そこには、私の他には、誰もいなかった。
教室の中に満ちているのは、なんだか不思議な気持ちだった。明日への期待と、今日が終わってしまう寂しさが、みんなの心の中で複雑に絡み合っている。
休み時間になると、卒業アルバムに書くメッセージの交換で、いつもより大きな笑い声が教室のあちこちで聞こえていた。連絡先を交換するグループもあれば、卒業式の後にどこで遊ぶかなんて話で盛り上がっている子たちもいる。
でも、そのどれもが、私には少しだけ遠い世界の出来事みたいに感じられた。
私は、そんなにぎやかな輪から一歩離れた自分の席で、真っ白なままのスケッチブックを見つめていた。
卒業制作。テーマは『私の大切な場所』。先生はそう言っていたけれど、私にはその『大切な場所』が何なのか、まだ見つけられずにいた。
言葉で自分の気持ちを伝えるのは、昔から本当に苦手だ。うれしいとか、悲しいとか、そういう簡単な言葉でさえ、口に出そうとするとのどの奥でつかえてしまう。
だから私は、代わりに絵を描く。言葉にならない心の動きや、きれいだなって思った風景の色を、スケッチブックの中に閉じ込める。それが、私にとっての言葉だった。
でも、描いた絵を誰かに見せるのは、もっと苦手。自分の心の中を直接のぞかれているような気がして、どうしても強い抵抗を感じてしまう。
だから、クラスでの私は、あまり自分から話さない、目立たない子。たぶん、みんなはそう思っている。
「……だと思うな」
「……かもしれないね」
誰かと話すとき、私の口から出てくるのは、いつもそんなふうにはっきりしない、ふんわりとした言葉ばかり。自信がないのが、自分でもよく分かる。
つややかな黒髪が肩まで伸びていて、そんな私の表情を隠してくれることもあって、それに甘えてしまう時もあった。
窓の外では、運動場で下の学年の子たちが体育の授業を受けている。元気な歓声が、ガラスを通して、こもった音になってここまで届いていた。
ああ、どうしよう。本当に、何も思いつかない。
スケッチブックの白さが、私の空っぽの頭の中を映しているようで、私はそっとページを閉じた。
◇
最後のチャイムが鳴り終わり、教室がにわかに騒がしくなる。「また明日」の声があちこちでかわされ、みんなランドセルを背負って教室を出ていく。
私は、画材がいくつか足りないことを思い出して、みんなとは反対の方向へ足を向けた。
美術準備室。普段は先生しか使わない、特別な場所。でも、放課後なら、画材を補充するために生徒が入ることも許されていた。
廊下を歩いていくと、だんだん周りの音が遠くなっていく。さっきまでのにぎやかさがうそみたいに、自分の足音だけがやけに大きく聞こえた。
美術室の隣にある、準備室の引き戸に手をかける。少しだけ立て付けが悪くて、独特の音を立てながら扉が開いた。
中は、ひんやりとしていて、絵の具と古い木の匂いがした。窓から夕方の陽射しが細く差し込んで、空気中に舞う小さなほこりをきらきらと照らし出している。
壁一面に作り付けられた棚には、石膏像や使い古されたイーゼル、乾いてひび割れた粘土のかたまりなんかが、ところ狭しと並べられていた。学校の忘れ物が全部ここに集められているみたいだ。
お目当ての画材を探して、棚の間をゆっくりと歩く。その奥の一角、他の棚が分厚いほこりをかぶっているのに、そこだけ不自然にきれいな場所があった。
そして、棚のさらに奥。だれかが隠したみたいに、ひっそりと置かれた一つの木箱が、私の視線を捕らえて離さなかった。
どうしてだろう。他にもたくさんの物が置いてあるのに、その箱だけが、特別な何かであるかのように私の目に映った。最初から私がここに来るのを分かっていて、ずっと待っていたみたいに。
一歩、また一歩と、何かに引き寄せられるように近づいていく。
それは、使い込まれた飴色をした木箱だった。表面には、とても細かく、美しい花の彫刻がびっしりと施されている。葉っぱの線の一本一本までが丁寧に彫り込まれていて、作った人の強いこだわりが伝わってくるようだった。
そっと指でなぞってみると、なめらかな木の感触が心地いい。
ふたに手をかけ、持ち上げてみる。蝶番がきぃ、と小さな悲鳴を上げた。
箱の中は、赤いビロードのような布が敷きつめられていた。そして、その真ん中に、ぽつんと一本だけ、絵の具のチューブが収められていた。
それ以外のものは何もない。たった、一本だけ。
チューブは、鉛のような鈍い輝きを放っていた。手に取ってみると、見た目よりもずしりと重たくて、肌の温度がすっと奪われるような、無機質な冷たさが手のひらに伝わる。
ラベルには、何も書かれていない。ただ、その不思議な色合いだけが、私の意識を強く引きつけた。
『灰色の絵の具』。
頭の中に、自然とそんな言葉が浮かんだ。それはただの灰色じゃなかった。もっと深くて、暗くて、どんな色も飲み込んでしまいそうな、底なしの灰色。なんだかとても悲しい色なのに、どういうわけか、その魅力から目をそらすことができなかった。
私は、魔法にかかったみたいに、そのチューブを自分のカバンの中にそっとしまい込んでいた。どうしてそんなことをしたのか、自分でもよく分からなかった。ただ、そうしなければいけないような、そんな気がしたんだ。
◇
自分の教室に戻ると、もう誰もいなかった。夕方の陽射しが窓から差し込んで、机や椅子が長い影を床に伸ばしている。
ついさっきまでみんながいた場所は、がらんとしていて、舞台のようだった。でも、この静かな教室は、私にとっては少しだけ特別な空間だ。たくさんの思い出が、この空気の中に溶け込んでいる気がするから。
私は自分の席に座り、再びスケッチブックを開いた。目の前に広がる、誰もいない教室。見慣れた、ありふれた風景。でも、今日の私には、それがとても大切なもののように思えた。
そうだ、これを描こう。この、何でもない、今の教室を。
卒業制作のテーマが、ようやく見つかった気がした。
カバンから、さっきの絵の具を取り出す。パレットの上に、チューブの口を当てて、ゆっくりと力を込めた。にゅるり、と音を立てて絞り出されたのは、やはりあの不思議な灰色だった。
パレットの上でさえ、それは周りの色となじもうとせず、自分だけが特別な存在だと主張しているみたいに見える。
私は筆を手に取り、その絵の具をそっとすくい取った。そして、白い画用紙の上を滑らせていく。
窓から差し込む夕陽、黒板に書かれたままの文字、友達がふざけて描いた小さな落書き。一つ一つを、丁寧に、その奇妙な絵の具だけで描き上げていく。
色がないはずなのに、なぜか、それぞれの手触りがはっきりと分かるような気がした。描けば描くほど、私はその作業にのめり込んでいった。
周りの音が何も聞こえなくなり、私と、スケッチブックと、この灰色の絵の具だけが、世界の全てになったような感覚。
描き終えた絵は、我ながら不思議な出来ばえだった。色がないのに、とても雄弁に教室の空気を伝えている。でも、同時に、どうしようもないほどの静けさと、寂しさを感じさせる絵でもあった。
私は、その絵を誰にも見られないように、そっとスケッチブックを閉じた。夕陽はいつの間にか沈みかけていて、教室は薄紫色に染まっていた。
私は急いでランドセルに荷物をつめ込み、静まり返った学校を後にした。
明日は、この絵を先生に見せようか。それとも、やっぱりやめておこうか。そんなことを考えながら、夜の匂いがし始めた道を、一人でとぼとぼと歩いて帰った。
◇
翌朝。
いつもと同じ時間に家を出て、いつもと同じ道を歩いて学校へ向かう。通学路の途中にあるパン屋さんの甘い香りも、交差点で流れる交通安全のメロディーも、何もかもが昨日と同じだった。
空は雲ひとつなく晴れ渡っていて、気持ちのいい一日が始まりそうだった。
昇降口で上履きに履き替え、階段を上る。廊下には、すれ違う生徒たちの元気な挨拶が飛び交っている。昨日までの私の悩みなんて、ちっぽけなことだったみたいに、世界はいつも通りに色と音であふれていた。
六年生の教室が並ぶフロアに着き、自分のクラスのプレートを確認する。六年一組。見慣れたその文字を見て、私はゆっくりと教室の引き戸に手をかけた。
そして、扉を開けた瞬間。
私は、自分の目に映ったものを信じることができなかった。
そこにあるはずのものが、なかった。色が、なかった。
昨日までカラフルな掲示物で飾られていた壁も、みんなが使っている色とりどりの文房具も、窓から見えるはずの青い空も、校庭の木々の緑も。全てが、あらゆる色を失っていた。
白黒だけの写真の中に迷い込んでしまったみたいに、世界は濃さの違う灰色だけで作られていた。
それだけじゃない。音も、なかった。
いつもなら、朝のこの時間には、クラスメイトたちの「おはよう」という声や、椅子を引く音、おしゃべりするざわめきで満ちているはずなのに。今は、分厚い壁に囲まれているかのように、何の音も聞こえない。
しん、と静まり返った空気は重く、肌にまとわりつくようだった。
昨日、私がスケッチブックに描いた、あの教室。
目の前に広がっているのは、その絵そのものの光景だった。
何が、どうなっているの?
頭がうまく働かない。足が地面に張り付いたみたいに、一歩も動くことができなかった。ただ、目の前の信じがたい光景を、ぼうぜんと見つめることしかできなかった。
色を奪われ、冷たい静寂に沈んだ教室。そこには、私の他には、誰もいなかった。
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