恋愛短編小説集

uribou

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美しい詩

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彼女の名前は菜月だった。東京の喧騒を離れ、私は静かな地方の町に引っ越してきたばかりだった。仕事の疲れを癒すための都会のリセット。しかし、予想外にここで恋をするとは思ってもみなかった。

町には小さな図書館があり、私は休日のたびにそこを訪れるようになっていた。ある秋の午後、そこで初めて菜月と出会った。薄いピンク色のセーターを着た彼女は、窓際のテーブルで古い小説を読みふけっていた。そのときから、私は彼女に強く心を惹かれ始めた。

彼女と話すきっかけは共通の本の趣味だった。同じ本棚の前で一緒になったとき、彼女が微笑みながら話しかけてくれた。

「この作家、あなたも好きなの?」

それから私たちはどんどん打ち解けていった。小さなカフェでコーヒーを飲みながら、お互いの好きな本や映画、そしてささやかな夢を語り合った。菜月の笑顔には、どんなに疲れていても一瞬で癒されるような不思議な力があった。

ある日、私たちは町の近くにある古い灯台を訪れた。夕暮れ時、灯台の頂上から見える景色は息をのむほど美しかった。地平線に沈む夕日が空を赤く染め、その光が菜月の髪を優しく輝かせていた。

「ここに来るといつも思うの。この瞬間がずっと続けばいいのにって。」菜月がぽつりと呟いた。

その言葉に、私は自分の気持ちを抑えきれなくなった。彼女に素直な想いを伝えた。

「菜月、僕も同じことを思ってる。これからもずっと君の隣にいたい。」

彼女は少し驚いたように私を見つめたが、次の瞬間には優しく微笑んで、その手を私の手に重ねた。「ありがとう。私も同じ気持ちよ。」

そうして、二人の関係は穏やかに深まっていった。それからの日々は、互いに支え合い、笑い合いながら、静かで美しい時間が流れていった。

菜月と過ごした日々はまるで一編の美しい詩のようで、これからも続いていくことを願ってやまない。いつまでも、彼女の笑顔と共に。

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