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僕とお隣さん
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このアパートに引っ越してきてから1週間、夜になると隣の部屋からの音が気になって仕方がない。カタカタと何かを叩く音。そして少しやんだかと思うとまたカタカタと音がする。オンラインゲームでもしているのかと思ったが、それにしてはカタカタする時間が短い。疑問に思いながらも、真偽を確かめる術はなく、毎晩響く音をBGM代わりに眠っていた。
ある晴れた日の土曜日、溜まった洗濯物を干すためにベランダに出た。ふと視線をお隣に向けると、ベランダの隅っこにはプランターが置いてあって、ミニトマトが実っていた。隣のプランターにはなにかよくわからない葉っぱが生えていて、どうやら家庭菜園をしているようだ。手前には小学校のころによくみた緑色のゾウのジョウロが転がっている。お隣さんの姿を見たことはないものの、ジョウロを持って水やりをしながら、野菜たちの成長を楽しみにする姿を想像してしまって、頬が緩んだことに気づく。僕は一体何を考えているんだ……。頭を振って思い浮かんだ姿をかき消す。
それからは部屋の前を通るたびに少し、お隣さんのことが気になりだした。夕方に帰ってくれば、もうお隣さんは帰ってきているのか煮物や焼き魚。時にはカレーだったりと家庭的な匂いが換気扇から廊下に広がっていて、自分が買ってきたレトルトと総菜を見下ろしては少し悲しくなる。ほかにも、雨が降った日には黒に猫が書いてある傘が干してあることもあった。どんな人が住んでいるんだろう。生活の一端を垣間見るたびに、つい部屋の主の勝手に想像してしまっていた。
夏が近くなると、窓を開けっ放しにする生活が始まり、夜のカタカタと鳴る音はより大きく聞こえるようになった。音が鳴っていないときは、テレビを見ているのだろう。若い男の声の歌が良く聞こえる。どうやら最近人気の出ているアイドルグループらしい。普段は生活音らしい音も聞こえないお隣さんだが、テレビは別のようだ。比較的大音量で流れるお隣さんのテレビをラジオ代わりに聞きながら、僕は部屋を片付けるのだった。
通り雨に降られた次の日、僕は風邪をひいてしまい止む無く会社に欠勤の連絡をして眠っていた。エナドリだけ口に入れてうつらうつらとしていると、かすかにピアノの音が聞こえてくる。普段なら耳にも入らないような小さな音が外からしていた。惹かれるものを感じて思わず窓を開けると、近所の女の子が弾くキーボードのような軽いピアノの音色だったが、旋律は繊細で色鮮やかに広がっていた。音楽にはとんと疎いので何の曲かはわからなかったが、深みのある曲。出所はお隣さんの部屋からで、ピアノの音に交じって小さく聞きなれたカタカタという音がする。おそらく、夜は音を出さずイヤホンで聞いていたんだろう。自分の中でそう納得すると、僕は窓にもたれて座り込む。布団より体には良くないかもしれないが、もっと聞きたい。そう思わされる音だった。
その後ぐらいからだろうか。前まではカタカタとしか聞こえなかった音は、たまに早く帰ると音がなっていた。弾いている曲は毎回違うようだが、どれも軽やかでのびのびとしていて、浮かぶ情景はとても美しい。もっと聞いていたい、何度聴いてもそう思える演奏だった。どんな人なのか、知りたくなる気持ちは募るばかりで、ベランダからお隣をのぞいてみても姿が見られる訳もなく、ただ家庭菜園の成長っぷりを知るだけ。一度、ピアノの音が止まって外に行く音が聞こえた時に、ごみ捨てを装って追いかけてみたが、このマンションに住んでいるであろう見知らぬ人と会うだけで、お隣さんらしき人に会うことは出来なかった。
本当に会いたければチャイムを鳴らせばいい。たったそれだけのことで、お隣さんがどんな人なのか知ることができる。直接ピアノの感想も言えるし、もしかしたらお友達になれるかもしれない。それなのに、勇気が出ない。きっと彼女、お隣さんも突然僕が訪ねてきて、部屋で練習しているピアノを聞かれていると知れば驚くだろう。怖がるかもしれない。それは僕の本意ではない。言い訳を自分に重ねて、お隣さんに会いに行くことはしなかった。
お隣さんに会えないまま、うじうじとした気持ちを抱えて、夏が終わった。そして秋が訪れる。窓の開く日が減ってきて、漏れ聞こえるピアノの音を聞ける回数も少なくなり、物悲しく思っていたある日、会社から帰ってくると部屋のポストに紙が入れられていた。チラシかと思ったが、よく見ると引越しのお知らせで騒音を詫びる文面だった。その引っ越す部屋はお隣さんで、期日は来週。もうピアノを聞くこともカタカタ音を耳にすることも出来なくなるのだと思うといても立ってもいられなくなった。えも言われぬ焦燥感にかられて、僕は文房具屋さんで便箋と封筒を買ってきてしまう。この気持ちを伝えないと。あんなに素敵なピアノを聞かせてもらって、お礼を言わないのは失礼だと思った。感動と感謝を便箋3枚にもわたる長文で人生初のファンレターらしきものを書き上げると、お隣さんのポストに投函した。もちろん、お隣さんはピアノに夢中になっていて気づかないだろう。そこまでやり切ってから、なんだか気恥ずかしくなってしまった僕は、その後1週間、今まで会おうと思っても会えなかった彼女を逆に会わないようにと意識して避けて生活をしていた。
そして引越し当日、朝から目覚めてしまった僕が窓を開けると、こんな日でもやっぱりお隣さんはピアノを弾いていた。朝からピアノを聞けるなんて、今までこんな優雅な朝があっただろうか。勝手に最後のピアノを満喫していると、不意に音が止み、その後一気に騒がしくなる。作業員の威勢のいい声が行き交い、人の往復する気配が廊下から伝わってくる。1時間ほどでそんな物音もしなくなり、ついに行ってしまったのかと1人落ち込んでいると、チャイムが誰かの訪問を告げた。レンズ越しに覗くと、ごみ捨てに行くたびに見かける、チャラい風貌の青年が立っていた。一体なんの用だろうか。訝しく思いながら扉を開けると、僕が用を尋ねる前に、緊張でいっぱいの青年が口を開く。
「あの、今日はうるさくしてすんませんした!あと、手紙ありがとうございます!」
「え……」
フリーズ。この人は一体何を言っているんだろう。ではなく、この人がお隣さん?てっきり綺麗なお姉さんかと思い込んでいた。脳内で想像と現実の差に驚いている間に、青年は青年で顔を真っ赤にする。
「あれ、違った?お手紙くれたの……。うわ、恥ずかし!忘れてください!失礼しましたっ」
真っ赤な顔でぺこっと頭を下げて逃げようとした青年の腕を咄嗟に捕まえてしまい、困った表情に慌てて手を離す。
「あってる。あってるよ!ごめん……ちょっと驚いて」
「あー良かった!お礼を言いたくて来ちゃったんすよ。こんなに褒められたの初めてで。感動したっす」
「ううん。僕の方こそ勝手に楽しませてもらって……」
「そだ。今度コンサートするんすよ。ちょっと遠いんですけど良かったら来てくださいっす」
持っていた紙袋から1枚のチラシを見せてくれる。そのとき、電話がなって青年はディスプレイを確認するや焦った表情になる。
「すいません、俺もう行かないと行けないんで。あとこれ、お礼です!じゃ、また!」
紙袋を僕の手に握らせると、青年はとびっきりの笑顔を見せて廊下を走っていった。姿が見えなくなっても、僕はしばらく立ち尽くしていた。淡い恋心さえ持っていた相手が男だった現実と、素行が悪そうな青年からは想像出来ないギャップを知ってしまった保護者のような気持ち。感情を整理出来ずにぐるぐるとしてしまうが、彼はもう帰ってはこない。しばらくの間はピアノの音を探してしまいそうで、容易にそんな自分の姿が想像できて慌ててかき消した。勝手に女性だと思い込んでいたが、会って青年だとわかっても嫌な気持ちになったりもしない。彼は彼、それで良いのだと自分を納得させる。むしろ人となりを知ってから、もっとピアノを聞きたかったと思う。部屋に戻って紙袋の中を確認すると、近所で評判のカステラが入っていた。もしかしなくても並んで買ってきてくれたのだろう。律儀で素敵なピアニストの青年。今度こそ自分の言葉で気持ちを伝えたい。コンサートに行く時は、とびっきりのお菓子を持っていこうと決めて、僕はカステラを頬張った。
ある晴れた日の土曜日、溜まった洗濯物を干すためにベランダに出た。ふと視線をお隣に向けると、ベランダの隅っこにはプランターが置いてあって、ミニトマトが実っていた。隣のプランターにはなにかよくわからない葉っぱが生えていて、どうやら家庭菜園をしているようだ。手前には小学校のころによくみた緑色のゾウのジョウロが転がっている。お隣さんの姿を見たことはないものの、ジョウロを持って水やりをしながら、野菜たちの成長を楽しみにする姿を想像してしまって、頬が緩んだことに気づく。僕は一体何を考えているんだ……。頭を振って思い浮かんだ姿をかき消す。
それからは部屋の前を通るたびに少し、お隣さんのことが気になりだした。夕方に帰ってくれば、もうお隣さんは帰ってきているのか煮物や焼き魚。時にはカレーだったりと家庭的な匂いが換気扇から廊下に広がっていて、自分が買ってきたレトルトと総菜を見下ろしては少し悲しくなる。ほかにも、雨が降った日には黒に猫が書いてある傘が干してあることもあった。どんな人が住んでいるんだろう。生活の一端を垣間見るたびに、つい部屋の主の勝手に想像してしまっていた。
夏が近くなると、窓を開けっ放しにする生活が始まり、夜のカタカタと鳴る音はより大きく聞こえるようになった。音が鳴っていないときは、テレビを見ているのだろう。若い男の声の歌が良く聞こえる。どうやら最近人気の出ているアイドルグループらしい。普段は生活音らしい音も聞こえないお隣さんだが、テレビは別のようだ。比較的大音量で流れるお隣さんのテレビをラジオ代わりに聞きながら、僕は部屋を片付けるのだった。
通り雨に降られた次の日、僕は風邪をひいてしまい止む無く会社に欠勤の連絡をして眠っていた。エナドリだけ口に入れてうつらうつらとしていると、かすかにピアノの音が聞こえてくる。普段なら耳にも入らないような小さな音が外からしていた。惹かれるものを感じて思わず窓を開けると、近所の女の子が弾くキーボードのような軽いピアノの音色だったが、旋律は繊細で色鮮やかに広がっていた。音楽にはとんと疎いので何の曲かはわからなかったが、深みのある曲。出所はお隣さんの部屋からで、ピアノの音に交じって小さく聞きなれたカタカタという音がする。おそらく、夜は音を出さずイヤホンで聞いていたんだろう。自分の中でそう納得すると、僕は窓にもたれて座り込む。布団より体には良くないかもしれないが、もっと聞きたい。そう思わされる音だった。
その後ぐらいからだろうか。前まではカタカタとしか聞こえなかった音は、たまに早く帰ると音がなっていた。弾いている曲は毎回違うようだが、どれも軽やかでのびのびとしていて、浮かぶ情景はとても美しい。もっと聞いていたい、何度聴いてもそう思える演奏だった。どんな人なのか、知りたくなる気持ちは募るばかりで、ベランダからお隣をのぞいてみても姿が見られる訳もなく、ただ家庭菜園の成長っぷりを知るだけ。一度、ピアノの音が止まって外に行く音が聞こえた時に、ごみ捨てを装って追いかけてみたが、このマンションに住んでいるであろう見知らぬ人と会うだけで、お隣さんらしき人に会うことは出来なかった。
本当に会いたければチャイムを鳴らせばいい。たったそれだけのことで、お隣さんがどんな人なのか知ることができる。直接ピアノの感想も言えるし、もしかしたらお友達になれるかもしれない。それなのに、勇気が出ない。きっと彼女、お隣さんも突然僕が訪ねてきて、部屋で練習しているピアノを聞かれていると知れば驚くだろう。怖がるかもしれない。それは僕の本意ではない。言い訳を自分に重ねて、お隣さんに会いに行くことはしなかった。
お隣さんに会えないまま、うじうじとした気持ちを抱えて、夏が終わった。そして秋が訪れる。窓の開く日が減ってきて、漏れ聞こえるピアノの音を聞ける回数も少なくなり、物悲しく思っていたある日、会社から帰ってくると部屋のポストに紙が入れられていた。チラシかと思ったが、よく見ると引越しのお知らせで騒音を詫びる文面だった。その引っ越す部屋はお隣さんで、期日は来週。もうピアノを聞くこともカタカタ音を耳にすることも出来なくなるのだと思うといても立ってもいられなくなった。えも言われぬ焦燥感にかられて、僕は文房具屋さんで便箋と封筒を買ってきてしまう。この気持ちを伝えないと。あんなに素敵なピアノを聞かせてもらって、お礼を言わないのは失礼だと思った。感動と感謝を便箋3枚にもわたる長文で人生初のファンレターらしきものを書き上げると、お隣さんのポストに投函した。もちろん、お隣さんはピアノに夢中になっていて気づかないだろう。そこまでやり切ってから、なんだか気恥ずかしくなってしまった僕は、その後1週間、今まで会おうと思っても会えなかった彼女を逆に会わないようにと意識して避けて生活をしていた。
そして引越し当日、朝から目覚めてしまった僕が窓を開けると、こんな日でもやっぱりお隣さんはピアノを弾いていた。朝からピアノを聞けるなんて、今までこんな優雅な朝があっただろうか。勝手に最後のピアノを満喫していると、不意に音が止み、その後一気に騒がしくなる。作業員の威勢のいい声が行き交い、人の往復する気配が廊下から伝わってくる。1時間ほどでそんな物音もしなくなり、ついに行ってしまったのかと1人落ち込んでいると、チャイムが誰かの訪問を告げた。レンズ越しに覗くと、ごみ捨てに行くたびに見かける、チャラい風貌の青年が立っていた。一体なんの用だろうか。訝しく思いながら扉を開けると、僕が用を尋ねる前に、緊張でいっぱいの青年が口を開く。
「あの、今日はうるさくしてすんませんした!あと、手紙ありがとうございます!」
「え……」
フリーズ。この人は一体何を言っているんだろう。ではなく、この人がお隣さん?てっきり綺麗なお姉さんかと思い込んでいた。脳内で想像と現実の差に驚いている間に、青年は青年で顔を真っ赤にする。
「あれ、違った?お手紙くれたの……。うわ、恥ずかし!忘れてください!失礼しましたっ」
真っ赤な顔でぺこっと頭を下げて逃げようとした青年の腕を咄嗟に捕まえてしまい、困った表情に慌てて手を離す。
「あってる。あってるよ!ごめん……ちょっと驚いて」
「あー良かった!お礼を言いたくて来ちゃったんすよ。こんなに褒められたの初めてで。感動したっす」
「ううん。僕の方こそ勝手に楽しませてもらって……」
「そだ。今度コンサートするんすよ。ちょっと遠いんですけど良かったら来てくださいっす」
持っていた紙袋から1枚のチラシを見せてくれる。そのとき、電話がなって青年はディスプレイを確認するや焦った表情になる。
「すいません、俺もう行かないと行けないんで。あとこれ、お礼です!じゃ、また!」
紙袋を僕の手に握らせると、青年はとびっきりの笑顔を見せて廊下を走っていった。姿が見えなくなっても、僕はしばらく立ち尽くしていた。淡い恋心さえ持っていた相手が男だった現実と、素行が悪そうな青年からは想像出来ないギャップを知ってしまった保護者のような気持ち。感情を整理出来ずにぐるぐるとしてしまうが、彼はもう帰ってはこない。しばらくの間はピアノの音を探してしまいそうで、容易にそんな自分の姿が想像できて慌ててかき消した。勝手に女性だと思い込んでいたが、会って青年だとわかっても嫌な気持ちになったりもしない。彼は彼、それで良いのだと自分を納得させる。むしろ人となりを知ってから、もっとピアノを聞きたかったと思う。部屋に戻って紙袋の中を確認すると、近所で評判のカステラが入っていた。もしかしなくても並んで買ってきてくれたのだろう。律儀で素敵なピアニストの青年。今度こそ自分の言葉で気持ちを伝えたい。コンサートに行く時は、とびっきりのお菓子を持っていこうと決めて、僕はカステラを頬張った。
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