未来は俺等の手の中

未来の小説家

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未来は俺等の手の中

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 俺等の生まれ育った街は所謂スラム街と言われる所だ。俺が15になる頃だ。俺にもエミリーにも親なんていない。正真正銘のゲトーだ。昔からの馴染みの仲間達はいつの間にかエミリーだけになった。理由は殺されたか薬中だ。

 今年の初冬のことだ。世界的に感染症が蔓延。スラムのやつらに医者にかかる金なんてねぇ。なんなら戸籍さえねぇ。
 
 俺の食い扶持といえば、エミリーが体を売って稼いだ金だ。だが、今は単価が下がっている。人々が感染の恐れが高いスラム街の女との濃厚接触を嫌っているからだ。もう俺もエミリーも飢え死にそうなことになっていた。

 そんな時、市議会議員のモイネロが裏社会と繋がっていて、相当の金を貯めているという噂を耳にした。俺は許せなかった。だからほぼ感情的にそんな悪党から俺たちの金を取り返さなければいけないと思った。エミリーに作戦を伝えた。

 モイネロは今週末、ヨーロッパに海外視察に行く。その時は警備は手薄になるはずだ。その日に悪党の豪邸に入り、金目のものを奪う。今思えばかなり杜撰な計画だ。

 今日決行の日、やはり警備は薄い。入り口の門に立っている警備兵2人をワンショットで殺す。門の暗証番号は0315、モイネロの嫁の誕生日だ。前日に確認が取れた。敷地の中に入れた。一安心だ。だが、さすが豪邸だ。ピットブルが5、6匹放し飼いされている。1匹ずつ銃で殺していく。1匹が俺に向かってくる、必死に俺は撃とうとするがなかなか当たらない。もう足元まできた。そしてピットブルが俺のふくらはぎを噛みちぎろうとする。痛い、が、ただ噛みちぎられるわけにもいかない。ピットブルが足に集中している隙に、一発でピットブルを殺した。最後のピットブルだった。だかもう俺の左足は使い物にならない。
「ジャック!足!」
「あぁ、大丈夫だ。前に進もう。」

 玄関のドアを無理矢理開ける。サイレンが鳴る。ここまでいけば金庫はもうすぐのはずだ。だがそううまくはいかない。部屋が多すぎる。一部屋一部屋確認するうちに、警備兵が集まってきているのが分かる。遂に金庫があった。金庫を開ける。意外と金庫を開けるのも簡単なものだ。中には2人が生きるには十分なほどの金があった。2人目を合わせて口唾を飲む。

 その瞬間後ろを見ると警備兵が10人以上いた。
「女はまだ使える。男の方は殺せ。」
 俺はマシンガンで撃たれた。視線が暗くなっている。作戦は失敗だ。やっとのことで声を出す。
「エミリーごめん。俺はお前のことがずっと好きだった。心配するな、未来は俺等の手の中だ。」
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