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hachijam

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7.

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学園祭が終わり、二学期が本格的に始まると受験一色になる。三年生になった直後から言われてはいたけど、それをはっきりと自覚する。部活をやっている子とかは夏休みまで、頑張っている子たちもいたけど、そういう子たちも最後の大会を終えて、いよいよ本格的に受験勉強となると、余計にそんな気配が漂ってくる。

運動部が盛んな所だと、秋の大会とか、冬まで部活を頑張るところもあるみたいだけど、うちの学校ではそういう事は無い。絶対にそうしなければいけないという事は、たぶんないんだと思うけど、自然とそうなるというのがうちの学校の運動部のレベルでもあった。

私と彼は、そんな事は関係ないので、周囲の空気が変わっても、それで特段、状況が変わる訳では無かった。いつも図書室で一緒に勉強して、一緒に帰るの繰り返しだった。図書室は一学期に比べると、勉強する人が増えていたけど、ぎゅうぎゅうで人がたくさんいるという事は無かった。熱心に受験勉強する人は、学校で自習するよりも、予備校に通うというのが主らしい。

私もそうするように親に言われたけど、学校が大変になると、それとなく拒否した。夏休み頑張って勉強している姿を見せたのと、その結果として、成績が、少しだけど、上がっていたので、それ以上、強くは言われなかった。

彼の方はどうなんだろう。一学期の期末テストがあまり良くなかったのは何となく知っていたけど、それ以上の事は深くは聞いていない。自分の成績が少し良くなったことを言うのも少し気が引けていた。もしかしたら、私のせい何て事を思ったり、でも、勉強の邪魔はしていないと思ったりで、聞いたらいけない気がしていた。彼の方が何も言わない限り、言わない方が良いだろう。そんな日々が続いていく。

だんだんと模試の回数が増えていく、それに従って、どこの大学を受験するのか決める日が近づいているのも感じていた。自分がやりたい事、そうはっきりした物では無いけど、自分の学力とか、そういうので決めないといけない。でも、もうひとつ、彼がどこを目指すのかと言うのも、やっぱり、気になっていて、それを進路を決める際の要素に加えて良いのか悩んでしまう。

半年ほど前、告白するまでは、そんな事を考えもしなかったけど、後、半年もたたない内に、彼と別々の大学に進むなんて事、毎日、会えないという事が想像できない、というか、したくないという気持ちになっていた。でも、その気持ちだけでどうにもならないのが現実だ。
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