149 / 275
怒られる夢
8.
しおりを挟む
あれっと思ったのが、二発目の花火がなかなか打ちあがらなかったからだ。でも、音は聞こえている気がした。周りの様子を伺うと、歓声は続いている。もしかして…。その空気が伝わったのか、充がサッと立ち上がるとちょっと場所を移動した。
「あー」
充の言動でみんなが察した。どうやら、ここからだと見えない高さの花火があるらしい。最初の一発は大きめので高い所に打ち上げたから見えたのだろう、でも、二発目以降はそこまで高くなく、それだと、丁度、建物に隠されてしまうらしい。
「…」
何とも言えない雰囲気になる。すでに公園の中は人だらけで、一人二人で移動するなら大丈夫そうだけど、みんなで一緒にとなると場所を確保するのは難しかった。でも、その場にいたら花火を見る事は出来ない。大きめの花火が打ち上がれば見える可能性はあるけど、それがどれくらい用意されているのか分からなかった。
しばらく待つか、それだったらゆっくり見るのは諦めて、混んでいても近くまで行った方が良いかとか話し始める。気まずい雰囲気になりそうで、嫌だなと思っていたら、ぽたっと頬に落ちる物を感じた。上を向くと、はっきりと雨粒が見えていた。みんなも同じように上を向いて、雨を実感した。
慌てて、木の下に入る。雨は一気に強くなった。
「ありゃりゃ」
充が間抜けな声を上げるが、それはみんなの心情を表しているような感じだった。雨音が強くて、なかなか会話も出来ず、じっと雨を見ていた。
公園にいた人たちは、木の下に入れる人は入って、そうじゃない人は雨宿り出来る場所を探して、公園を出ていった。傘でどうにかなるという感じでの雨でも無くて呆然とする。
花火はどうなっているんだろうと思ったけど、ここからは見えないし、音も雨音で消されていた。これではどうにもならない。空を見てみたら、雷が鳴っていて、更に酷くなりそうな気配もあった。
このタイミングで降るのかとがっかりした気分になる。雨の音だけが続いていた。
結局、花火大会はこの雨で、中断、中止となってしまった。天気の事なので誰のせいでもないんだけど、がっかりして意気消沈と言うのがみんなの共通の認識だったと思う。その後、雨が続いた事もあり、結局、その日はそのまま別れる事になってしまった。
本来であれば、夏の最初の思い出として盛り上がって、次回に繋げるはずだったのに、何とも中途半端な結果に終わってしまった。そんな風にマイナスに考えていると、また、月曜からの試験の事も気になってしまう。
帰り、一人になった瞬間、大きくため息を吐いてしまった。
「あー」
充の言動でみんなが察した。どうやら、ここからだと見えない高さの花火があるらしい。最初の一発は大きめので高い所に打ち上げたから見えたのだろう、でも、二発目以降はそこまで高くなく、それだと、丁度、建物に隠されてしまうらしい。
「…」
何とも言えない雰囲気になる。すでに公園の中は人だらけで、一人二人で移動するなら大丈夫そうだけど、みんなで一緒にとなると場所を確保するのは難しかった。でも、その場にいたら花火を見る事は出来ない。大きめの花火が打ち上がれば見える可能性はあるけど、それがどれくらい用意されているのか分からなかった。
しばらく待つか、それだったらゆっくり見るのは諦めて、混んでいても近くまで行った方が良いかとか話し始める。気まずい雰囲気になりそうで、嫌だなと思っていたら、ぽたっと頬に落ちる物を感じた。上を向くと、はっきりと雨粒が見えていた。みんなも同じように上を向いて、雨を実感した。
慌てて、木の下に入る。雨は一気に強くなった。
「ありゃりゃ」
充が間抜けな声を上げるが、それはみんなの心情を表しているような感じだった。雨音が強くて、なかなか会話も出来ず、じっと雨を見ていた。
公園にいた人たちは、木の下に入れる人は入って、そうじゃない人は雨宿り出来る場所を探して、公園を出ていった。傘でどうにかなるという感じでの雨でも無くて呆然とする。
花火はどうなっているんだろうと思ったけど、ここからは見えないし、音も雨音で消されていた。これではどうにもならない。空を見てみたら、雷が鳴っていて、更に酷くなりそうな気配もあった。
このタイミングで降るのかとがっかりした気分になる。雨の音だけが続いていた。
結局、花火大会はこの雨で、中断、中止となってしまった。天気の事なので誰のせいでもないんだけど、がっかりして意気消沈と言うのがみんなの共通の認識だったと思う。その後、雨が続いた事もあり、結局、その日はそのまま別れる事になってしまった。
本来であれば、夏の最初の思い出として盛り上がって、次回に繋げるはずだったのに、何とも中途半端な結果に終わってしまった。そんな風にマイナスに考えていると、また、月曜からの試験の事も気になってしまう。
帰り、一人になった瞬間、大きくため息を吐いてしまった。
0
あなたにおすすめの小説
鷹鷲高校執事科
三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。
東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。
物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。
各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。
表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる