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福引する夢
1.
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目の前に福引のガラガラが置いてあった。その向こうに長い髪の毛の女の子が立っていて手にはベルを持っていた。
「抽選券一枚で、一回挑戦できますよ」
女の子は楽しそうに言う。僕は抽選券が無いかポケットを探してみた。
「あった」
すぐに一枚見つけて、思わず叫んでしまった。大きく抽選券と書かれていて、とても分かりやすい。
「じゃあ、これで」
抽選券を女の子に渡す。
「はい。どうぞ」
どのくらいのスピードで回したらいいのか少し迷って、控えめに回したら、すぐに赤色の球が出てきた。
「おめでとうございます。三等です」
控えめにベルを鳴らす。とりあえず、何か当たったらしい。女の子はしゃがむと、足元にあった段ボールから紙を一枚取り出して僕に渡す。抽選券より一回り小さくて、抽選補助券と書かれていた。三枚で一回抽選できますと書かれていた。
これだと福引は出来ない。僕はもう一度、ポケットを探してみた。するとくしゃくしゃに丸められていた抽選券が一枚出てきた。これでまた挑戦できる。妙に嬉しくなった。
今度はさっきとは違い気合を入れて挑戦してみようと思う。その前に、気になった事を聞く。
「あの、この福引、何が当たるんですか?」
「うーん」
女の子は少し考えてから言う。
「とってもいい事ですよ」
「いい事?」
「はい。当たってからのお楽しみです」
女の子はニコニコと笑う。
そう言われると妙に張り切ってしまう。大きく気合を入れて素早く勢いよく回してみる。どっかに飛んでいってしまうのではと思えるほど勢いがついて、ガラガラが回る。勢いが付き過ぎたのか、なかなか球が飛び出してこなかった。
グルグルと十秒、もしかしたら、それよりもずっと長かったかもしれないけど、回り続ける。手で止めないと止まらないかもと思い始めたら徐々にスピードが落ちて来て、最後はゆっくりと止まった。そして、それと同時に球が飛び出した。
今度は白の球だった。
「わー。凄い、二等です。おめでとうございます」
女の子はそう言うと、足元の段ボールから今度は二枚の紙を取り出して僕に渡す。そこには抽選補助券と書かれていた。
「…あの、これ…」
「はい、二等の商品です」
女の子はあくまでニコニコしている。手元に三枚の抽選補助券があるという事はもう一回、福引に挑戦できる。でも、と思う。
「もしかして、一等の商品が抽選補助券三枚とかいうオチじゃないよね」
僕は疑っていた。女の子は、ちょっとだけ図星と言う顔をしたけど、
「さあ、それは当たってからのお楽しみです」
と言った。
「抽選券一枚で、一回挑戦できますよ」
女の子は楽しそうに言う。僕は抽選券が無いかポケットを探してみた。
「あった」
すぐに一枚見つけて、思わず叫んでしまった。大きく抽選券と書かれていて、とても分かりやすい。
「じゃあ、これで」
抽選券を女の子に渡す。
「はい。どうぞ」
どのくらいのスピードで回したらいいのか少し迷って、控えめに回したら、すぐに赤色の球が出てきた。
「おめでとうございます。三等です」
控えめにベルを鳴らす。とりあえず、何か当たったらしい。女の子はしゃがむと、足元にあった段ボールから紙を一枚取り出して僕に渡す。抽選券より一回り小さくて、抽選補助券と書かれていた。三枚で一回抽選できますと書かれていた。
これだと福引は出来ない。僕はもう一度、ポケットを探してみた。するとくしゃくしゃに丸められていた抽選券が一枚出てきた。これでまた挑戦できる。妙に嬉しくなった。
今度はさっきとは違い気合を入れて挑戦してみようと思う。その前に、気になった事を聞く。
「あの、この福引、何が当たるんですか?」
「うーん」
女の子は少し考えてから言う。
「とってもいい事ですよ」
「いい事?」
「はい。当たってからのお楽しみです」
女の子はニコニコと笑う。
そう言われると妙に張り切ってしまう。大きく気合を入れて素早く勢いよく回してみる。どっかに飛んでいってしまうのではと思えるほど勢いがついて、ガラガラが回る。勢いが付き過ぎたのか、なかなか球が飛び出してこなかった。
グルグルと十秒、もしかしたら、それよりもずっと長かったかもしれないけど、回り続ける。手で止めないと止まらないかもと思い始めたら徐々にスピードが落ちて来て、最後はゆっくりと止まった。そして、それと同時に球が飛び出した。
今度は白の球だった。
「わー。凄い、二等です。おめでとうございます」
女の子はそう言うと、足元の段ボールから今度は二枚の紙を取り出して僕に渡す。そこには抽選補助券と書かれていた。
「…あの、これ…」
「はい、二等の商品です」
女の子はあくまでニコニコしている。手元に三枚の抽選補助券があるという事はもう一回、福引に挑戦できる。でも、と思う。
「もしかして、一等の商品が抽選補助券三枚とかいうオチじゃないよね」
僕は疑っていた。女の子は、ちょっとだけ図星と言う顔をしたけど、
「さあ、それは当たってからのお楽しみです」
と言った。
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