夢ノコリ

hachijam

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待ちぼうけする夢

4.

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僕と赤岡さんが住んでいるところには、映画館と堂々と言えるようなところは無い。昔は小さな映画館があったが潰れてしまったし、市民ホールみたいなところでたまに古い映画をやるくらいだった。だから、映画を見に行くには電車に乗って出かけていく必要があった。

電車に乗っていく映画館となると、選択肢は途端に広がる。どこも三十分も掛からずにたどり着けるので、どこの映画館を行くのかで少し悩むことになる。当然、見に行く映画が上映されているかどうかが一番重要だけど、僕たちが見に行くようないわゆる大作映画だったら、どこでもやっている。そうなると、どこに行っても同じだ。

空いている空いていないという判断も難しい。単純なお客さんの数で言えば、都心の方が多い気がするけど、それだけ人気がある作品だと、スクリーン数が多かったり、広い所でやっていたりするので、映画館自体はそんなに込んでいなかったりする。逆に都心から離れているところだと、そこしかやっていなくて、思っていたよりも混んでいたりする。

映画館の綺麗さとかだとどうだろうか。これまた、悩ましくて、少し前なら都心の方が圧倒的に綺麗な映画館が多かったが、そうでないところでも新しく出来た映画館と言うのも多く、昔からある都心の映画館の方がちょっと古臭く感じたりもする。

いろいろと考えたような考えないような結果として、現実的な選択として、僕たちは都心の方の映画館に向かった。理由は大学に向かう途中にあるので、定期が使えるというのが一番だった。交通費の節約にもなるし、それほど詳しくなくても、何となく知っているところの方が迷わなくて良いというこれまた現実的な選択だった。

映画を見る時に思う事のひとつとして、その内容に期待した方が良いのかどうかというのが個人的にはある。見たい映画であれば、その内容には期待したくなる。でも、期待が大きくなればなるほど、ガッカリしてしまう事がある。かと言って、ワザと期待しないで見に行くのも何か違うような気がする。

特に今回は自分から見たいと言い出した映画では無い。どこまで期待して良いのか正直良く分からなかった。赤岡さんがしきりに楽しみというのを連発していて、やっぱり、期待して良いのかなと思うけど、それでガッカリだった場合、どういう顔をして良いのか分からない気もした。

期待しすぎない、でも、ほどほどには期待する。そういう事が出来れば困らないのになと思ったりする。
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