230 / 275
待ちぼうけする夢
3.
しおりを挟む
嫌な夢を見たなと
待ちぼうけする夢
誰を待っているのか分からない
待ち人は来ない
と、書きながら思っていた。ちょっと憂鬱な気分になってしまう。どうして、そんな夢を見たのか、分かるような、分からないような感じだった。今日は赤岡さんと映画に行く約束をしていて、待ち合わせをしているから、そういう夢を見たのだろうと思う。
でも、昨日も連絡して時間も確認したから、待ちぼうけをするとは思わなかった。この間の事があるから、予定外の事が起きないとは限らない。その不安を抱えているんだろうか。そう言われるとそうだという気もするし、そうではないと言われるとそうじゃない気もしていた。気にしても仕方ない。でも、気にはなる。
少なくとも僕は約束を守らないといけないと思う。自分が不安に思う気持ちを相手にさせてはいけないなと思った。だから早めに家を出てしまった。だいぶ、早い。そして、当然、長い時間待つ事になり、それで不安になるという意味不明な事になった。約束の時間までには、まだ少しあったけど、待ちぼうけしている気分になっていた。今朝、見た夢のように本当に来ないのではないかと、不安に感じ始めていたら、
「相変わらず、早いね」
と声を掛けられた。赤岡さんが目の前に立っていた。時間に気を取られていて、周囲は気にしていなかったというこれまた意味不明な状況にしてしまったようだ。
「いや、少し早く起きちゃったから」
とっさに言い訳じみた事を言ったけど、どういう意味なのか、自分にも良く分からなかった。今日は一人だよな、と少し思ったら、
「大丈夫、今日は勇君はいないから」
と言われた。考えを見抜かれているようだ。ホッとしたと言ったら、勇君に怒られるだろう。でも、やっぱり、ホッとした。と、勇君に言われた事をちょっと思い出してしまった。好きでしょ?とか、デートに行くんでしょ?とか聞かれた気がする。何か、意識してしまうと、照れてしまう。
「ん?大丈夫」
赤岡さんの声で我に返る。変な表情をしてしまったのかもしれないと思って、恥ずかしくなる。平静を装って、落ち着いたように言う。
「大丈夫、大丈夫。少し早いけど、行こうか」
声が若干裏返っている気もしましたけど、そう言うと、
「そうだね。待つなら向こうで待った方が良いよね」
と赤岡さんが返事をしてくれた。
こうして待ちぼうけをする事も無く、僕と赤岡さんは映画館に行くために電車に乗った。どういう一日になるのか、楽しみでもあり、不安も少しある。
待ちぼうけする夢
誰を待っているのか分からない
待ち人は来ない
と、書きながら思っていた。ちょっと憂鬱な気分になってしまう。どうして、そんな夢を見たのか、分かるような、分からないような感じだった。今日は赤岡さんと映画に行く約束をしていて、待ち合わせをしているから、そういう夢を見たのだろうと思う。
でも、昨日も連絡して時間も確認したから、待ちぼうけをするとは思わなかった。この間の事があるから、予定外の事が起きないとは限らない。その不安を抱えているんだろうか。そう言われるとそうだという気もするし、そうではないと言われるとそうじゃない気もしていた。気にしても仕方ない。でも、気にはなる。
少なくとも僕は約束を守らないといけないと思う。自分が不安に思う気持ちを相手にさせてはいけないなと思った。だから早めに家を出てしまった。だいぶ、早い。そして、当然、長い時間待つ事になり、それで不安になるという意味不明な事になった。約束の時間までには、まだ少しあったけど、待ちぼうけしている気分になっていた。今朝、見た夢のように本当に来ないのではないかと、不安に感じ始めていたら、
「相変わらず、早いね」
と声を掛けられた。赤岡さんが目の前に立っていた。時間に気を取られていて、周囲は気にしていなかったというこれまた意味不明な状況にしてしまったようだ。
「いや、少し早く起きちゃったから」
とっさに言い訳じみた事を言ったけど、どういう意味なのか、自分にも良く分からなかった。今日は一人だよな、と少し思ったら、
「大丈夫、今日は勇君はいないから」
と言われた。考えを見抜かれているようだ。ホッとしたと言ったら、勇君に怒られるだろう。でも、やっぱり、ホッとした。と、勇君に言われた事をちょっと思い出してしまった。好きでしょ?とか、デートに行くんでしょ?とか聞かれた気がする。何か、意識してしまうと、照れてしまう。
「ん?大丈夫」
赤岡さんの声で我に返る。変な表情をしてしまったのかもしれないと思って、恥ずかしくなる。平静を装って、落ち着いたように言う。
「大丈夫、大丈夫。少し早いけど、行こうか」
声が若干裏返っている気もしましたけど、そう言うと、
「そうだね。待つなら向こうで待った方が良いよね」
と赤岡さんが返事をしてくれた。
こうして待ちぼうけをする事も無く、僕と赤岡さんは映画館に行くために電車に乗った。どういう一日になるのか、楽しみでもあり、不安も少しある。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる