夢ノコリ

hachijam

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待ちぼうけする夢

3.

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嫌な夢を見たなと

待ちぼうけする夢
誰を待っているのか分からない
待ち人は来ない

と、書きながら思っていた。ちょっと憂鬱な気分になってしまう。どうして、そんな夢を見たのか、分かるような、分からないような感じだった。今日は赤岡さんと映画に行く約束をしていて、待ち合わせをしているから、そういう夢を見たのだろうと思う。

でも、昨日も連絡して時間も確認したから、待ちぼうけをするとは思わなかった。この間の事があるから、予定外の事が起きないとは限らない。その不安を抱えているんだろうか。そう言われるとそうだという気もするし、そうではないと言われるとそうじゃない気もしていた。気にしても仕方ない。でも、気にはなる。

少なくとも僕は約束を守らないといけないと思う。自分が不安に思う気持ちを相手にさせてはいけないなと思った。だから早めに家を出てしまった。だいぶ、早い。そして、当然、長い時間待つ事になり、それで不安になるという意味不明な事になった。約束の時間までには、まだ少しあったけど、待ちぼうけしている気分になっていた。今朝、見た夢のように本当に来ないのではないかと、不安に感じ始めていたら、

「相変わらず、早いね」

と声を掛けられた。赤岡さんが目の前に立っていた。時間に気を取られていて、周囲は気にしていなかったというこれまた意味不明な状況にしてしまったようだ。

「いや、少し早く起きちゃったから」

とっさに言い訳じみた事を言ったけど、どういう意味なのか、自分にも良く分からなかった。今日は一人だよな、と少し思ったら、

「大丈夫、今日は勇君はいないから」

と言われた。考えを見抜かれているようだ。ホッとしたと言ったら、勇君に怒られるだろう。でも、やっぱり、ホッとした。と、勇君に言われた事をちょっと思い出してしまった。好きでしょ?とか、デートに行くんでしょ?とか聞かれた気がする。何か、意識してしまうと、照れてしまう。

「ん?大丈夫」

赤岡さんの声で我に返る。変な表情をしてしまったのかもしれないと思って、恥ずかしくなる。平静を装って、落ち着いたように言う。

「大丈夫、大丈夫。少し早いけど、行こうか」

声が若干裏返っている気もしましたけど、そう言うと、

「そうだね。待つなら向こうで待った方が良いよね」

と赤岡さんが返事をしてくれた。

こうして待ちぼうけをする事も無く、僕と赤岡さんは映画館に行くために電車に乗った。どういう一日になるのか、楽しみでもあり、不安も少しある。
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