31 / 275
ヒーローになる夢
6.
しおりを挟む
クラゲがメインのひとつと言われても、あまりイメージがわいていなかった。何となく不気味な物と言うイメージがあったからだ。それを可愛いとか言うセンスと言うのも良く分からなかった。だから、どうなんだろうと思っていたけど、すぐにその印象が間違いである事を知った。ライトアップされたクラゲと言うのはとても神秘的で綺麗だった。そのクラゲが通路の横、一面にいて、不思議な空間を演出していた。ゆっくりと先に進むと、更に天井にもクラゲの姿が見えて、まるで星空の下にいるようだった。そして、その通路の先を抜けると、大きな水槽があり、そこにまたライトアップされたクラゲがたくさんいた。
「わー綺麗」
「凄い凄い」
「へー」
と三人の感嘆の声が上がった。僕は声も出せずに、そこに立ち止まり、見とれてしまった。
「見過ぎ、見過ぎ」
時間にしたら1分弱だと思う。赤岡さんに肘で突っつかれて我に返った。加山さんと三ヶ嶋君は、より間近に見ようと水槽の近くに移動していた。ちょっと、二人と距離が離れる。
「今日はありがとうね」
「えっ、いや…」
お礼を言われるような事をしたのか疑問に思い、曖昧に返事する。
「よく考えると、強引に誘っちゃったかなと思ってたんだ」
水槽を見ながら赤岡さんが言う。ちょっと照れている感じもした。
「いや、そんな事ないよ。楽しかったし…」
こういう時、スムーズに会話が出来ない自分がもどかしくなる。
「で、今回の目的は達成できたの?」
僕は気になっていた事を聞く。赤岡さんは僕の方を向くと、ちょっと考える。そして、視線を再び水槽に戻してこう言った。
「…ん。どうだろうね。悪くはないよね、あの二人」
確かに雰囲気としては良いだろう。この先に関しては、二人次第でそれはどうなるのかは分からない。そんな事を考えていた僕に対して、
「まあ、半分は嘘だから…」
と、赤岡さんが言う。突然、出てきた嘘と言う言葉に戸惑う僕。僕はじっと赤岡さんの方を見てしまった。ただ、赤岡さんは僕の方を向く事なく、水槽の近くの二人の方に歩いていった。赤岡さんは二人に声を掛け、ぼーっと立っている僕に気が付いた三ヶ嶋君がこっちに来いと合図を送ってくる。
何が嘘なんだろうと思いながら、僕は三人に近づいていった。何事も無かったように会話は続いていて、僕がクラゲにしばらく見とれていた事をからかわれた。僕は頭をかきながら、
「こんなに凄いとは思っていなかった」
と、率直な感想を言う。
「確かに」
「噂以上だったね」
と、三ヶ嶋君と加山さんが言い、赤岡さんがほほ笑んでいた。そのほほ笑みが意味深に思えてしまったのは、きっと嘘と言う言葉のせいだと思った。
「わー綺麗」
「凄い凄い」
「へー」
と三人の感嘆の声が上がった。僕は声も出せずに、そこに立ち止まり、見とれてしまった。
「見過ぎ、見過ぎ」
時間にしたら1分弱だと思う。赤岡さんに肘で突っつかれて我に返った。加山さんと三ヶ嶋君は、より間近に見ようと水槽の近くに移動していた。ちょっと、二人と距離が離れる。
「今日はありがとうね」
「えっ、いや…」
お礼を言われるような事をしたのか疑問に思い、曖昧に返事する。
「よく考えると、強引に誘っちゃったかなと思ってたんだ」
水槽を見ながら赤岡さんが言う。ちょっと照れている感じもした。
「いや、そんな事ないよ。楽しかったし…」
こういう時、スムーズに会話が出来ない自分がもどかしくなる。
「で、今回の目的は達成できたの?」
僕は気になっていた事を聞く。赤岡さんは僕の方を向くと、ちょっと考える。そして、視線を再び水槽に戻してこう言った。
「…ん。どうだろうね。悪くはないよね、あの二人」
確かに雰囲気としては良いだろう。この先に関しては、二人次第でそれはどうなるのかは分からない。そんな事を考えていた僕に対して、
「まあ、半分は嘘だから…」
と、赤岡さんが言う。突然、出てきた嘘と言う言葉に戸惑う僕。僕はじっと赤岡さんの方を見てしまった。ただ、赤岡さんは僕の方を向く事なく、水槽の近くの二人の方に歩いていった。赤岡さんは二人に声を掛け、ぼーっと立っている僕に気が付いた三ヶ嶋君がこっちに来いと合図を送ってくる。
何が嘘なんだろうと思いながら、僕は三人に近づいていった。何事も無かったように会話は続いていて、僕がクラゲにしばらく見とれていた事をからかわれた。僕は頭をかきながら、
「こんなに凄いとは思っていなかった」
と、率直な感想を言う。
「確かに」
「噂以上だったね」
と、三ヶ嶋君と加山さんが言い、赤岡さんがほほ笑んでいた。そのほほ笑みが意味深に思えてしまったのは、きっと嘘と言う言葉のせいだと思った。
0
あなたにおすすめの小説
鷹鷲高校執事科
三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。
東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。
物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。
各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。
表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる