夢ノコリ

hachijam

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スローモーションで走る夢

2.

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自分を追い抜いていくのは充だけでは無かった。まず、沢島さん、続いて、加山さん、そして、最後に三ヶ嶋君が通り過ぎていった。ここまで来ると追いかけてくる者は誰もいないのではと思ってくる、だんだん、真面目に走るのが馬鹿らしくなった。もういいかと言う気分になる。誰にも怒られないだろうと思った。

そう頭では思っているのだけど、足は止まる気配を見せなかった、どういう事なんだと思っていてもどうにもならない。何だか自分の意思とは勝手に動いているようだ。それで一生懸命走っているのであれば、それはそれで納得がいく気もしたけど、それでいてスローモーションと言うのが納得いかなくなってくる。

こうなってくると、走っている事自体、自分の意思とは無関係なのかなと思う。足がゆっくりと動いている状況と言う事なんだろうか。その奇妙さに驚いてしまう。一生懸命走って前に進むことも、ちょっと立ち止まる事も、当然、逆走する事も何も出来ずにただゆっくりとスローモーションで走っている状況とは一体何なんだろう。良く言えば、ゆっくりでも一歩ずつでも先に進んでいるという事だろうか。向こうに行こうとしている人がたくさんいるという事は間違った道ではない気がする。

だったら、少しずつでも進んでいるというのは良いのかもしれない。でも、スローモーションなので、先に進んでいる人との距離は開くばっかりだ。その状態でゴールを目指す意味と言うのがあるのだろうか。それに本当にそこが自分が目指すべきところなのかとも思ってしまった。その疑問がスローモーションにしているのかもしれない。違う方向に進んだ方が良いのかもしれないと思いながら、それでも惰性で今進んでいる道をただ進んでいるだけなのではと思ってしまった。

何か、やたら、小難しい事を考え始めたのもスローモーションのせいかもしれない。必死にただひたすら走っている状態だったら、そんな事を考える余裕はない。ただただ、走るだけ、呼吸も乱れていて、考える事に集中する事も出来ないだろう。一度、止まるべきなのかなと思う。勝手に動く体をどう止めたら良いのか悩んだけど、止まると覚悟を決めれば、止まりそうな気もしてきた。試しに止まってみようか悩む、何かに追いつかれてしまう不安が全くない訳でもない。一番悩むのが止まってしまった後、また、走る事が出来るかと言うところだ。でも、僕は覚悟を決めた。一度、立ち止まる、そう強く意識してみた。
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