夢ノコリ

hachijam

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スローモーションで走る夢

1.

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きっかけは良く分からない。遅刻しているとか、誰かに追われているとか、そんな感じだろうか、とにかく走っていた。夢の中で走っている時には、なぜかいつもスローモーションで、それはその時も同じだった。必死に走っているのにとても遅い。元から足が速いわけでもないのだが、いつも以上に遅いというか、体の動きがゆっくりになっている。焦れば焦るほど、そののんびりとした感じがどうにもならなくて、イライラしてくるという感じだった。

それにしても、何で走っているのだろう。それは良く分からない。走らなければいけないという強迫観念みたいなのはある。ここで歩いてはいけない。周囲を見渡すと一本の道で、良く見慣れているところのような気がした。スローモーションでも、結構、疲れる物だなと思ったりする。

ここで止まったらどうなるんだろうか。遅刻ならそれも仕方ないと思う、それだったら、止まっても良いかなと思う。でも、何かに追われているのだったらどうだろうか。今は見えないけどすぐに追いつかれるかもしれない。一本道で後ろにその姿が見えないという事は大丈夫なのではと思う。だったら、止まって一休みしてもいいのではと言う気がしてくる。

それでも、なぜか、止まる事は許されない。ペースを落とす事も許されない。何でだろう。何でこんなに一生懸命走っているんだろうと思う。そこに意味があるのか分からなかった。しかも、スローモーションで頑張って走ろうとしているのに、とてもゆっくりで意味があるのかなと思う。もしかしたらと、ちょっとだけ思う、急がないで普通に歩いた方が早く動けるのではと。でも、それを試す勇気と言うのが無かった。

少なくとも今こうして走ろうとしている事で咎められる事は無い。でも、もしも、止まってしまったら、怒られるような気がした。何に怒られるんだろう。そんな事を考える余裕はない。そもそも、何故、走っているのも良く分からない。考えはグルグルと同じところを回る。

辛うじて、スローモーションでも一歩ずつ先に進むのが救いになっていた。苦しくても、スローモーションでもいずれゴールにはたどり着けるのではと少し思った。その時、のんきに歩きながら、僕の横を通り過ぎていく充の姿があった。鼻歌なんか歌っている。僕に気が付いて

「おはよー」

とか言っている。そのまま、先に行く。僕はスローモーションで走りながら置いてけぼりを喰らう。それでも意地を張りながら走り続けた。
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