落書きモノ

hachijam

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1.僕と言う存在

2.

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パッと目が覚めた時、一瞬、状況が分からなかったが、すぐに身体から抜け出た状態だという事を思い出した。やっぱり、夢では無かったんだと思いつつ、何だかまだ意識がはっきりしないなと思っていたら、そこに肝心の物が無い事に気が付いた。途端に意識がはっきりして、部屋の中を見回してもみても、やっぱり、僕の身体は見当たりません。広い部屋でもないし、隠れるところなんてどこにもない部屋なので、そこに僕の身体が無いという事は明らかでした。どこに行ったと軽くパニックになりかけたが、台所の方から音が聞こえてきた事に気が付いた。

台所に行ったのか、ふと台所の方に意識を向けると、僕の意識も台所の方に向かっていった。意識はこうやって移動するんだという事を思いながら、台所にたどり着くと、そこには僕の身体があって、冷蔵庫を開けて中身を覗いていた。その姿を見て、僕は夕べ食べようと思っていたアイスの存在を思い出した。

アイス好きなので、普段からアイスは買うのだが、そのアイスはちょっと高めのアイスで、しかも限定品だったのでなかなか手に入らないものだった。ここ最近、忙しかった事に対する自分へのご褒美として買った物だった。

寝る前に食べるつもりだったのだが、お風呂に入って出たら、やたらと眠くなってしまい、そのまま食べずに忘れて寝てしまいそのままになっていた物だった。その限定品のアイスが見つかったら嫌だなと思っていたら、僕の身体はその事に気が付いたようで、冷凍庫を開けるとアイスを見つけてニヤッと笑った。

僕の考えている事が分かっているのは、僕の身体だから当たり前なのかと思いつつ、その時の僕はアイスを食べられてしまう事が悔しくて仕方なかった。物凄く高いという訳ではないので、また買えばいいと思う事にしても、限定版なので、もしかしたら、二度と手に入らない可能性もあり、そんな事を考えると気が気では無かったです。

これも良く考えれば、不思議な物で、僕の身体が欲している物を僕の身体が食べたとして、僕の身体は満足しても僕の意識が満足しないというのはどういう事なのかと気になった。そう考えると肉体としての自分と意識としての自分のどちらが存在している事が、僕が存在している理由になるんだろなんて、ちょっと哲学的な事も気になってくる。

ただ、それ以上にその時の僕は、僕意識に反して僕の大事なアイスを食べようとしている僕の身体をどうにかして止めたかったし、美味しそうにアイスを食べている姿を羨ましいなと思った事も事実だった。そして、それと同時に、これは何か大変な事になってしまうのではと言う予感もしていた。自分の意識とは関係なく自分の身体が動く事で良い事が起きるとは思えなかったから。
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