落書きモノ

hachijam

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1.僕と言う存在

5.

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その姿を何となく見送ってしまった僕だったが、すぐにそのままではダメなのではと思った。何か出来るのかは分からなかったが、何もしないで放置しておく事は出来ないと思った。すぐに追いかけようと外に出たのだが、すでにどこかに行ってしまったようで、姿が見当たらなかった。

慌てて探そうとしたが、すぐにその心配はいらない事に気が付いた。体に引っ張られるように僕の意識が勝手に移動したからだった。表現として適切なのかは分からないけど、まるで僕の意識と身体の間には糸と言うか紐と言うか、そういうものでつながっているみたいで、ある程度の距離までしか離れる事が出来ないみたいだった。

自分の意識とは別に移動させられる気分と言うのはあまり気分が良い物ではない。身体が無いからなのか、目が回るとか、酔ってしまうみたいな感覚には陥らないのだけど、何となく意識と違う動きと言うのは気持ちが悪い。眠いのに眠れないという感じだろうか。分かりづらいから、やっぱり、目が回るというのが一番合っている気がする。

とりあえず、体勢、この言葉が正しいのかも良く分からないが、を整えて、引っ張られるように移動していたら、ようやく自分の身体が見えてきた。まだ、そんなには遠く離れていなかった。とりあえず、自分の意識で動けるように感覚を取り戻す事に集中した。

それでちょっとは落ち着いた感じにはなったけれど、油断するとどこに行ってしまうか分からない僕の身体を思うと、ホッとするほど安心は出来なかった。外から見て普通に歩いている自分の姿と言うのはやっぱり違和感を感じたが、それでも普通に歩いているんだなと妙な所で感心してしまった。

これだったら、僕を知らない人が見たら特に変だと思わないだろうと思った。僕の事を知っていてもじっくりと見なければ気が付かないのではと考えていたら、そもそも、見た目は僕なんだから、僕じゃないと疑う人が本当にいるのかと思ってしまいました。

とは言え、知り合いにあったりしたら、何だか厄介な事になりそうである。幸い、会社が近い場所では無く、近所にそれほど親しい人がいるという訳でもないので、大丈夫かなと思うのだが、それでも、変な事をやって近所の噂になるなんてのも困るし、それ以上の事をやって大騒ぎになるなんて事は避けたい。

それは大丈夫だろうとこれまでの事を考えて自分に言い聞かせていたけど、実際に何が起こるのか分からない状況と言うのはとても不安だった。そんな僕を気にする事なく、僕の身体は歩き続ける。淡々と歩く姿に突拍子もない事はしないだろうと思い始めた僕は、僕の身体がどこに向かっているのかを考え始めた。
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