落書きモノ

hachijam

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1.僕と言う存在

7.

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その後の僕の身体はひたすら歩いていた。意識である僕の記憶の中にはない場所を歩いていた。どこかを目指しているのかと考えてみるが、ちっとも頭の中には浮かばない。ただ、目的も無いように歩いているように思えた。

ここの町に来てからどれくらい経っているかなとふとそんな事を考え始める。5年、6年と言うところだろうか。正確には思い出せないまま、考えていた。来た当時はいろいろと探検してみようと思っていたけど、仕事の忙しさもあって、結局は決まった場所を行き来しているぐらいだった。

近所から駅にかけては大体分かっているつもりだったけど、駅と反対方向に向かうと途端に知らない場所になるんだなと思った。いくつか小さな公園を見かけて、意外と公園も多くあるんだなと言う事を思ったりした。

自分が住んでいる場所が急に見た事の無いような場所に思えてきて、何とも奇妙な気分になる。もっと、あちこちを歩いてみたい。そんな僕の気持ちに応えるように僕の身体はあちこちと歩いていた。もっと、前に知っておいたら良かったのかもしれないと少し高台になっているところを見つけて思った。

そこから見た僕の住んでいる町はまるで違った町のように見えて、やっぱり、何だか不思議な気分にさせられた。知っているような気分になっているだけで、自分が知らない場所は近くにいくつもあるんだなと言う事を実感させられた。妙に悟った気分にさせられるのも意識だけになっているかもしれないとそんな風に思う僕だった。

結局、その日の僕の身体は歩きっぱなしで一日を終えた。途中からくたくたになっているようにも見えたけど、歩いている姿が楽しそうなのはずっと変わらなかった。意識だけの僕は最初だけ、ちょっとひやひやしたが、すぐにそれに慣れると身近にあった見慣れぬ風景を楽しむことが出来た。

肉体的な疲れを感じていないというのは、何とも不思議な感覚で、楽で良いなと思うのと同時に、達成感とか、開放感みたいなものは感じ辛かった。この辺は、映画とか、テレビとか見ているという感覚が分かりやすいかもしれない。その場面を見た感動はあるのだけれど、自分の事としてちゃんと捉えられているのかと言うのは、別問題と言う感じだった。

家に帰って疲れたのか、僕の身体は横になると、軽くいびきを立てて寝始めていた。僕の意識の方は朝とは違い、まるっきり眼が冴えたままで、どうしたものかなと思った。でも、まあ、とりあえず寝ている自分の姿を見て、なんだか少しホッとしていた。
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