落書きモノ

hachijam

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4.もうひとつ別の

28.

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この1週間の僕の身体の行動を見ていて、最初はあれこれと言いたくなり、実際、そうしていたのだが、途中から、何も言う必要が無いのではと言う気もしてきた。何となく分からない事があった最初の頃とは違いすぐに慣れていくのを感じていた。何事も3日で慣れるというのが持論のひとつだったりするのだが、それを自分の身体が証明したというのは何とも皮肉な気もしていた。

周囲に対して違和感なく溶け込んでいる姿を見て、ホッとすると共に意識としての自分が必要なのか疑問に思うようにもなってきていた。それはまさしく僕が一番心配していた事だった。

だから、会社の同僚の女の子が、その変化に気づいてくれたのかもしれないと思った瞬間は嬉しくもあった。結局、その話はうやむやになってしまったのだけど、僕の存在と言うのも確かにあるのかもしれないと思うと少しだけ安心する事が出来た。

ただ、このままではどうしようもないというのも感じていた。おそらく身体の方はこのままで良いと考えているのだろう。1週間を無事に過ごせたことによる自信と言うのも感じていた。でも、この状態をいつまでも続けることは出来ないとはっきりと感じた。僕が僕であるためにそれは決して譲れない事だった。

でも、今のところ元に戻れるヒントも無ければ、どうしてそうなったのかの理由もつかめなかった。また、ある日、突然、戻る事を期待するしかないのだろうか。

このままだと意識としての自分は消えてしまうのかもしれないと思う事もある。何事も無く過ごしている自分の姿を見ていて、本当に自分がいるのかと言うのも疑問に思ってしまった。そもそも、誰にも気づかれない存在と言うのは、そこに存在していると言えるのだろうか。

唯一、僕の存在に気が付いている僕の身体も僕の事を気に掛けていない時があった。しかも、それを僕自身が当たり前だと思うようになっていた。気が付いたら、自分から存在を消すようになっていくのだろうか。僕の性格から考えると、それもやりかねない気がする。ただ、それを認める事はとても怖い事だった。

身体に戻る。その事だけを強く考える事にした。本心からそう願っているのかもすでに分からなくなっている気もしたが、少なくともそれが僕の存在意義だと考える事にした。ふと、逆に意識の僕が身体に戻った場合、今の僕にある意識はどこに行ってしまうのだろうと思った。想像すると何だかとても不安な気分になる。考え過ぎてはいけない元に戻るだけだと必死に自分に言い聞かせた。
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