竜探しのお話

hachijam

文字の大きさ
46 / 155
4章.竜の研究者

6.

しおりを挟む
ロットフートの洞窟は元々は天然の洞窟で古くから存在を知られていた洞窟だった。とは言え、そこまで有名な洞窟ではなく、地元の人が知っているという程度の洞窟だったそうだ。しかし、鉱物資源が発掘されるという事が分かると、注目を集めるようになる。

一時期は鉱物資源を目的に多くの人を集める事になった。しかし、当初、思われていたほど、資源は見つからず、大規模な開発は途中で断念されてしまう事になる。結果として、中途半端に開発された跡が残る洞窟として、今に至っている。

期待されるほどでは無かったにしろ、鉱山資源は今でも少しずつ見つかっていて、細々と採掘は続けられている。例えば、リアリ魔導研究所では研究に必要な鉱物を定期的に採掘しているそうだ。中には発見されていないだけで、隠された鉱脈があるはずだと信じて発掘を続けている人もわずかだがいるそうだ。

その中の一人からバナが聞いた話である。その日、いつもより深く洞窟に入ったその男は洞窟の奥で奇妙な物を発見する。それは、干からびた魔物の死骸だった。元が天然の洞窟であるため、洞窟にはもともと魔物が住み着いていて、魔物の死骸を見つける事自体はそれほど珍しくは無かった。しかし、その干からびた姿はそれまで見た事が無く異様な物に見えたらしい。

不気味な姿に逆に興味がそそられたその男は、その死骸に近づいたそうだ。後一歩で死骸のところに着くとなった瞬間、急に死骸がビクッと動き、目を開けたという。目が合って、まだ魔物が生きていたのかと思ったが、すぐにまた動かなくなる。少し躊躇したが、まだ生きているなら、息の根を止めておかないと危険だと考えた男は用心深く様子を伺おうとした、その瞬間、今度は真っ黒い影のようなものが、その魔物から飛び出してきたそうだ。

目の前が真っ黒になって驚いた男だったが、それは一瞬の事で、次の瞬間にはその影のようなものは無くなっていた。そして、目の前にあった魔物死骸は急に風化したように崩れてしまったという。そして、目の前にあった魔物の死骸は急に風化したように崩れてしまったという。男が言うには、その影のようなものは竜のような姿をしていたというのだ。

バナはその話に興味を持ち、調査をしたいと思ったが、洞窟の奥に一人で行くのは無謀だと考えてどうするか考えていたようだ。

お金があれば、ギルドに依頼して人を雇って調査に行くという事が出来るが、お金に富士重しているバナにその選択肢は無かった。竜について知りたいと話すサントたちなら、その話にタダで協力してくれるのではと、ルメは直感したようで、バナに話を促したようだ。

しかし、バナの方は冒険者であるサントたちをタダ働きさせるのは申し訳ないと考えていて、その話をしなかったようだ。確かに自分も冒険者の端くれだったら、安請け合いしない方が良いのかもしれないとサントは考え、どう返事するべきなのか迷った。ファムもそれは当然という感じだった。

ただ、リラが

「私たちで良ければ協力します」

と簡単に言ってしまい、ラテアもそれに同調した。そうあっさりと言われてしまうと、サントも反対できなくなり、バナに協力する事になった。ファムは少し不機嫌そうだったが、サントはこの話の流れでは仕方ないと思う事にした。バナは恐縮していたが、ルメは言ってみて正解だろうという顔をしていたし、ホウミもバナの研究が進むのはどことなく嬉しいような感じだったので、それ以上深く考える事は無いと考えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...