48 / 155
4章.竜の研究者
8.
しおりを挟む
奥はかなり広い空間になっていた。そこに二人の人間が立っていた。向かい側には黒い塊のようなものがいて、それと戦っているようだった。
片方の人間はただ立っているだけで、何もせずに、もう片方の人間が必死に、その黒い塊のような物の攻撃を防いでいるという様子だった。かなり苦戦して戦っているように見えた。
「行くぞ」
ファムはそう言うと、手助けするために近づいていった。サントも遅れないようについていく。そして、近くまで行って、その人物の顔を見た瞬間、見知った顔に驚く。
「ドレロさん?」
それは、リアリ魔導研究所の副所長、ドレロだった。
「…?…サントさん?」
声を掛けられたドレロもサントに気が付いて驚いたような表情を浮かべる。
「援護します」
「…ありがとうございます」
突然のサントの出現に戸惑っていたドレロだったが、すぐに状況を理解したようでそう言った。
ファムは距離を取って、黒い塊との間合いを測っていた。
「なかなか硬い相手で、攻撃も強力なので気を付けてください」
ドレロはそう言った。
サントもファムと並んで、ドレロの前に立った。ファムがサントの方を向き、視線を合わせる。ファムが突きを喰らわせ、それをかわそうとする相手にサントは攻撃を加える。ガツンと激しい音が響く。確かな手ごたえを感じたが、相手の硬さにダメージを与えられたのか分からなかった。
「行きます」
ドレロはそう言うと、呪文を唱えた。光の矢が黒い塊を襲う。今度はダメージを与えたようだ。
「私も」
いつの間にか、来ていたリラも呪文を唱える。連続した火球で攻撃する。黒い塊の反応を見て、魔法が弱点だと判断したサントとリラは、ドレロとリラの魔法が当たるように追い込んでいった。
魔法が当たるたびに、着実にダメージを受けているようで、次第に動きが鈍くなってくる。それでも、かなりしぶとかった。ようやく、止めを刺した時には、ドレロもリラも息が上がっていた。
「大丈夫ですか」
リラがドレロに声を掛ける。
「ええ、助かりました」
少しホッとしたような表情をしてドレロが言った。
「どうしてここに?」
「それはこちらが聞きたいですよ」
「私たちは、バナさんの調査を手伝うために来たんです」
「ああ、なるほど。そうですね。確かにここの噂話もありましたね…」
ドレロは納得したように言う。
「ドレロさんも調査ですか?」
「…ええ、まあ」
ドレロは奥にいたもう一人の人物の顔を伺うようにそう答えた。そこにいた人物の顔にも見覚えがあった。
片方の人間はただ立っているだけで、何もせずに、もう片方の人間が必死に、その黒い塊のような物の攻撃を防いでいるという様子だった。かなり苦戦して戦っているように見えた。
「行くぞ」
ファムはそう言うと、手助けするために近づいていった。サントも遅れないようについていく。そして、近くまで行って、その人物の顔を見た瞬間、見知った顔に驚く。
「ドレロさん?」
それは、リアリ魔導研究所の副所長、ドレロだった。
「…?…サントさん?」
声を掛けられたドレロもサントに気が付いて驚いたような表情を浮かべる。
「援護します」
「…ありがとうございます」
突然のサントの出現に戸惑っていたドレロだったが、すぐに状況を理解したようでそう言った。
ファムは距離を取って、黒い塊との間合いを測っていた。
「なかなか硬い相手で、攻撃も強力なので気を付けてください」
ドレロはそう言った。
サントもファムと並んで、ドレロの前に立った。ファムがサントの方を向き、視線を合わせる。ファムが突きを喰らわせ、それをかわそうとする相手にサントは攻撃を加える。ガツンと激しい音が響く。確かな手ごたえを感じたが、相手の硬さにダメージを与えられたのか分からなかった。
「行きます」
ドレロはそう言うと、呪文を唱えた。光の矢が黒い塊を襲う。今度はダメージを与えたようだ。
「私も」
いつの間にか、来ていたリラも呪文を唱える。連続した火球で攻撃する。黒い塊の反応を見て、魔法が弱点だと判断したサントとリラは、ドレロとリラの魔法が当たるように追い込んでいった。
魔法が当たるたびに、着実にダメージを受けているようで、次第に動きが鈍くなってくる。それでも、かなりしぶとかった。ようやく、止めを刺した時には、ドレロもリラも息が上がっていた。
「大丈夫ですか」
リラがドレロに声を掛ける。
「ええ、助かりました」
少しホッとしたような表情をしてドレロが言った。
「どうしてここに?」
「それはこちらが聞きたいですよ」
「私たちは、バナさんの調査を手伝うために来たんです」
「ああ、なるほど。そうですね。確かにここの噂話もありましたね…」
ドレロは納得したように言う。
「ドレロさんも調査ですか?」
「…ええ、まあ」
ドレロは奥にいたもう一人の人物の顔を伺うようにそう答えた。そこにいた人物の顔にも見覚えがあった。
0
あなたにおすすめの小説
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる