竜探しのお話

hachijam

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4章.竜の研究者

8.

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奥はかなり広い空間になっていた。そこに二人の人間が立っていた。向かい側には黒い塊のようなものがいて、それと戦っているようだった。

片方の人間はただ立っているだけで、何もせずに、もう片方の人間が必死に、その黒い塊のような物の攻撃を防いでいるという様子だった。かなり苦戦して戦っているように見えた。

「行くぞ」

ファムはそう言うと、手助けするために近づいていった。サントも遅れないようについていく。そして、近くまで行って、その人物の顔を見た瞬間、見知った顔に驚く。

「ドレロさん?」

それは、リアリ魔導研究所の副所長、ドレロだった。

「…?…サントさん?」

声を掛けられたドレロもサントに気が付いて驚いたような表情を浮かべる。

「援護します」

「…ありがとうございます」

突然のサントの出現に戸惑っていたドレロだったが、すぐに状況を理解したようでそう言った。

ファムは距離を取って、黒い塊との間合いを測っていた。

「なかなか硬い相手で、攻撃も強力なので気を付けてください」

ドレロはそう言った。

サントもファムと並んで、ドレロの前に立った。ファムがサントの方を向き、視線を合わせる。ファムが突きを喰らわせ、それをかわそうとする相手にサントは攻撃を加える。ガツンと激しい音が響く。確かな手ごたえを感じたが、相手の硬さにダメージを与えられたのか分からなかった。

「行きます」

ドレロはそう言うと、呪文を唱えた。光の矢が黒い塊を襲う。今度はダメージを与えたようだ。

「私も」

いつの間にか、来ていたリラも呪文を唱える。連続した火球で攻撃する。黒い塊の反応を見て、魔法が弱点だと判断したサントとリラは、ドレロとリラの魔法が当たるように追い込んでいった。

魔法が当たるたびに、着実にダメージを受けているようで、次第に動きが鈍くなってくる。それでも、かなりしぶとかった。ようやく、止めを刺した時には、ドレロもリラも息が上がっていた。

「大丈夫ですか」

リラがドレロに声を掛ける。

「ええ、助かりました」

少しホッとしたような表情をしてドレロが言った。

「どうしてここに?」

「それはこちらが聞きたいですよ」

「私たちは、バナさんの調査を手伝うために来たんです」

「ああ、なるほど。そうですね。確かにここの噂話もありましたね…」

ドレロは納得したように言う。

「ドレロさんも調査ですか?」

「…ええ、まあ」

ドレロは奥にいたもう一人の人物の顔を伺うようにそう答えた。そこにいた人物の顔にも見覚えがあった。
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