竜探しのお話

hachijam

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4章.竜の研究者

10.

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その後も調査を続けたが、特に何も見つからなかった。他の魔法生物らしきものも見かけなかった。結局、収穫と言えるのは、魔法生物と思われる黒い塊から見つかった小さな黒い石のみだった。探索の結果が十分な物かはっきりしないまま、その日の探索は終わった。

翌日、バナの家をサントたちは再び訪れていた。今後、どうするかの話をした結果、バナは、昨日、手に入れた黒い石が気になっていたようで、その調査のために、リアリ魔導研究所に向かうつもりだと言う。

ファムは前日のリアリの態度を思い出し、自分は行かないと主張した。リアとラテアは黒い石がどういうものなのかが気になっているようで、一緒に行きたいと言った。サントはどうするか迷ったが、自分が行っても役に立たないと思った。だったら、これから先、しばらくこの町にいる可能性を考えれば、一度、ギルドに顔を出しておいた方が良いと考えて別行動する旨を告げた。ファムはそれならばとサントと共に行動する事を選んだ。



「バナさんは、リアリさんとお知り合いなのですか?」

研究所に向かう途中、昨日から気になっていた事をリラは聞いた。

「ええ、子供の頃からの知り合いで、幼馴染って奴です」

照れくさそうにちょっと自慢気に答えた。

「研究所とは?」

ラテアも気になった事を聞いた。

「以前、私もあそこで働いていたんですよ。幼馴染のよしみって奴ですか。ただ、へまをやって首になってしまいました。元々、やっている事が高度過ぎて、ついていけなくて大変だったんですけどね」

あっけらかんと言う。

「…それで行っても大丈夫なのですか?」

ラテアがちょっと心配して言う。

「どうですかね。でも、これがあれば、話は聞いてもらえると思いますよ」

そう言って、黒い石を見せた。本当に大丈夫だろうかと、ラテアは心配した。ラテアが心配しているのも気にせずバナは研究所に向かう。結局、ラテアの心配は杞憂だった。

研究所に向かうと、何でもないように中に入ってしまう。普通に挨拶して入っていく姿はここで働いている者と変わらないようだった。

「あの、ここを首になったんですよね?」

恐る恐る聞くラテア。

「ええ、でも勝手知ったる何とやらですよ」

答えになっているのか分からないような事を言いながら、奥の部屋に入った。前に来た時にも、入った部屋だとラテアは気が付いていた。ホウミがそこにいた。

「おはようございます。今日は何の御用ですか?」

ホウミは当たり前のように挨拶して、話しかけてきた。
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