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4章.竜の研究者
11.
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「昨日、ロットフートの洞窟で見つけたんだけど、何だと思う?」
バナも当たり前のように特に前置きも無く話しかける。突然、話題をふられても戸惑うことなく応じているホウミの姿を見て、いつもの事なんだろうかと思うラテア。しばらく、じっとして、ホウミが黒い石を眺めるのを見ていた。
「何でしょうね。魔法石とは違うみたいですが」
良く分からないというようにホウミが言う。そこで昨日起こった事をバナは説明した。
「魔法生物の核ですか?でも、こういうのはあまり見た事ない気がします。特別に魔力も感じられない気がしますし」
「そうなんだよね。まあ、だからここに持って来たんだけど」
「ああ、そういう事ですか」
ホウミはそう言うと、一度、奥に入り、不思議な道具を持って戻ってきた。円形の鏡のような物だった。それに黒い石を置く。小さな波のようなものが一瞬漂った。
「やっぱり、そうか」
「微量ですが、間違いないですね」
二人は納得したように頷いた。リラとラテアは何が起こったのか、分からず顔を見合わせてしまった。
「ああ、すいません。この道具、竜の力を探る物なんです」
バナが説明する。
「竜の力が秘められた物に反応して、さっきの波のようなものが出るんです」
「じゃあ、この石に竜の力が?」
「そういう事ですね」
「それが魔法生物の核になるなんて事あるんですか?」
ラテアが聞く。
「どうですかね。絶対にないとは言い切れないですが、竜の力を秘めた石自体、珍しい物ですから、それが勝手に魔法生物になったというのは、なかなか考えられないですね」
バナは少し苦しそうに言った。
「どういうことですか?」
話についていけなくて、リラが尋ねる。
「うーん」
バナは説明しづらそうにする。
「もしかして、誰かが人為的に作ったという事ですか?」
ラテアが察したように尋ねた。
「…」
バナが沈黙している事で、ラテアは話の流れが分かった。竜の力が秘められた石によって、人為的に作られた魔法生物。その魔法生物が現れた場所にいたのは、研究所の所長と副所長。推測する事は簡単だった。
「え?どういうことですか」
リラはあまり良く分かっていないようだった。後で説明するからとラテアが言いしぶしぶ納得する。
「まだ、あの計画は続いているの?」
「…」
「まあ、部外者の僕には言えないよね。でも、分かった。そうか、なるほど…」
バナは納得するように言う。
「もしかして、リアリさんとドレロさんが?」
ようやく、リラが理解したように言う。
「うーん。どうだろう…」
少し歯切れが悪くなったバナだったが、そう思っているのは間違い無いようだった。少し重苦しい雰囲気が流れた。
バナも当たり前のように特に前置きも無く話しかける。突然、話題をふられても戸惑うことなく応じているホウミの姿を見て、いつもの事なんだろうかと思うラテア。しばらく、じっとして、ホウミが黒い石を眺めるのを見ていた。
「何でしょうね。魔法石とは違うみたいですが」
良く分からないというようにホウミが言う。そこで昨日起こった事をバナは説明した。
「魔法生物の核ですか?でも、こういうのはあまり見た事ない気がします。特別に魔力も感じられない気がしますし」
「そうなんだよね。まあ、だからここに持って来たんだけど」
「ああ、そういう事ですか」
ホウミはそう言うと、一度、奥に入り、不思議な道具を持って戻ってきた。円形の鏡のような物だった。それに黒い石を置く。小さな波のようなものが一瞬漂った。
「やっぱり、そうか」
「微量ですが、間違いないですね」
二人は納得したように頷いた。リラとラテアは何が起こったのか、分からず顔を見合わせてしまった。
「ああ、すいません。この道具、竜の力を探る物なんです」
バナが説明する。
「竜の力が秘められた物に反応して、さっきの波のようなものが出るんです」
「じゃあ、この石に竜の力が?」
「そういう事ですね」
「それが魔法生物の核になるなんて事あるんですか?」
ラテアが聞く。
「どうですかね。絶対にないとは言い切れないですが、竜の力を秘めた石自体、珍しい物ですから、それが勝手に魔法生物になったというのは、なかなか考えられないですね」
バナは少し苦しそうに言った。
「どういうことですか?」
話についていけなくて、リラが尋ねる。
「うーん」
バナは説明しづらそうにする。
「もしかして、誰かが人為的に作ったという事ですか?」
ラテアが察したように尋ねた。
「…」
バナが沈黙している事で、ラテアは話の流れが分かった。竜の力が秘められた石によって、人為的に作られた魔法生物。その魔法生物が現れた場所にいたのは、研究所の所長と副所長。推測する事は簡単だった。
「え?どういうことですか」
リラはあまり良く分かっていないようだった。後で説明するからとラテアが言いしぶしぶ納得する。
「まだ、あの計画は続いているの?」
「…」
「まあ、部外者の僕には言えないよね。でも、分かった。そうか、なるほど…」
バナは納得するように言う。
「もしかして、リアリさんとドレロさんが?」
ようやく、リラが理解したように言う。
「うーん。どうだろう…」
少し歯切れが悪くなったバナだったが、そう思っているのは間違い無いようだった。少し重苦しい雰囲気が流れた。
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