竜探しのお話

hachijam

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4章.竜の研究者

12.

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「ホウミ。この間の結果は?」

そう言いながら、部屋に入ってきたのは、リアリだった。更に空気が重苦しくなる。

「おや、凡人のバナ、何用だね。君は首にしたと思ったけど」

すぐにバナに気が付いてそう言う。

「いや、すまない。ちょっと調べて欲しい事があって」

バナはその雰囲気を変えるように言った。リアリは、そんなバナに構わず、用事を済ませようとして、すぐに黒い石に気が付いた。

「そうか、そういう事か。凡人にしてはすぐに気が付いたんだね」

「まだ、あの実験は続けているのかい?」

バナはそう聞く。リアリは少し首をかしげて

「当然だろ。凡人の君とは違うんだから。それよりも…」

ジロリとホウミの方を向く。

「この間の結果は?」

「あっすいません。ええっと…これです」

そう言うと、手元の資料をまとめて、手渡した。

「まあ、予想通りだね。これは…」

と言いながら、ホウミとリアリは仕事の話を始めた。

「僕らは失礼しよう」

そう言うと、バナは外に出ようとした。慌てて、一緒に出ようとしたリラは黒い石がそのまま置きっぱなしになっている事に気が付き、取ろうとした。その瞬間、指が鏡の表面に触れた。ほんの一瞬、さっきよりも大きな波が鏡の表面を覆った。

「きゃ」

思わず悲鳴を上げるリラ。その時には、すでに波は消えていた。

「すいません。お騒がせしました」

そう言いながら、平静を装って、その場を後にした。リアリはその様子を見ながら、一瞬だけ視線を鏡に向けた。



やはり、ギルドバッジがあると違うとサントは実感していた。ギルドに入った瞬間こそ、見慣れぬ者が来たと警戒する雰囲気があったが、ギルドバッジがある事が分かると途端に態度が変わった。仲間意識と言うものだろうか、やたらと馴れ馴れしく話しかけてくる者もいたくらいだった。その変化に逆に戸惑った。

いくつか提示された仕事の中に、リアリ魔導研究所の物が含まれていた。ロットフートの洞窟で研究に必要な鉱物を採取する手伝いをするというものだ。護衛と荷物の運搬と言うのが仕事の内容だった。ファムは昨日の一件があるからか、リアリの名前を見ただけで嫌な顔をしたが、報酬はそれなりで、危険度を考えれば魅力的に思えた。心情的な面は別とすれば、昨日のようにただでバナに協力するよりも実益にも叶っている。いずれにしろ、決めるのはサントだと考えていた。

最終的な判断を任されたサントはその仕事を選ぶことにした。竜の手がかりを追う以上、研究所についてもっと知りたいと思う気持ちもどこかにあったからだ。
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