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4章.竜の研究者
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バナとリアリは研究者になるために、ハレンパルスにやってきたが何か当てがある訳では無かった。ソマやルメに会えばどうにかなるという考えもあったからだ。ルメは考えが甘いと言ったが、頼って来てくれたことは嬉しいと思ったようで、昔のソマの伝手を頼り二人に小さい研究所を紹介した。結局、二人はそのままルメの家に世話になる事になる。
二人が所属した研究所は小さなところで、お互いに協力してひとつの研究を進めるというよりは、個人個人の研究をそれぞれ別々に行うという形が主だった。給料は安かったが、自主性が認められるという点で、二人にとってはありがたかった。
研究を初めてすぐにバナはリアリの才能に気が付く。発想の素晴らしさとそれを実現させる力を持っているのだ。子供の頃に理解できるまで、何度もソマに話を聞いていた姿を思い出していた。バナは初めての事が多く、研究所に慣れるまで時間がかかったが、リアリはそんなバナを気にすることなく、自身の研究を進めていった。
リアリが研究していたのは、竜と魔法との結びつきに関する物で、新しい着眼点でいくつかの発見をすると、すぐに天才として注目を集める事になった。
その才能に注目したのが、ドレロであった。ドレロも所属していた研究所は違っていたが、独立した研究をひとりで行っていた研究者の一人だった。同じ立場、しかも、若いリアリに対して、対抗心を抱いていたが、リアリの研究成果を知ると、その才能に驚き、かなわないと悟ると、研究協力を申し出たのだった。
リアリは面倒な手間が増えると新しい研究所設立に難色を示したが、ドレロの熱心な誘いとより高度な研究を行うためには資金が必要になり、そのために新しい研究所の設立を考えても良いのではというバナの説得にしぶしぶ同意する事になる。ただし、条件としてバナも一緒に新しい研究所に参加する事を約束させられる事になる。
こうして、リアリ魔導研究所が作られる事になるが、この研究所の名前に関してもリアリは気に入っていなかった。自己顕示欲の強い人間のように思われるのが嫌だったからだ。全く別の名前にするか、同じ恥ずかしい目にあうならば、バナもその責任を負うべきと、リアリ=バナ研究所にする事を主張した。しかし、資金を集めるためには、リアリの名前を前面に出した方が良いとドレロに否定され、自身の能力をわきまえていたバナのささやかな拒否によって、リアリの主張は認められなかった。
研究以外にあまり興味を示さないリアリにとっては珍しく最後まで抵抗していたが、それも無駄に終わった。ただ、バナに対しては、自分が望んで付けた名前では無い事だけは忘れるなと強く言っていたという。
二人が所属した研究所は小さなところで、お互いに協力してひとつの研究を進めるというよりは、個人個人の研究をそれぞれ別々に行うという形が主だった。給料は安かったが、自主性が認められるという点で、二人にとってはありがたかった。
研究を初めてすぐにバナはリアリの才能に気が付く。発想の素晴らしさとそれを実現させる力を持っているのだ。子供の頃に理解できるまで、何度もソマに話を聞いていた姿を思い出していた。バナは初めての事が多く、研究所に慣れるまで時間がかかったが、リアリはそんなバナを気にすることなく、自身の研究を進めていった。
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こうして、リアリ魔導研究所が作られる事になるが、この研究所の名前に関してもリアリは気に入っていなかった。自己顕示欲の強い人間のように思われるのが嫌だったからだ。全く別の名前にするか、同じ恥ずかしい目にあうならば、バナもその責任を負うべきと、リアリ=バナ研究所にする事を主張した。しかし、資金を集めるためには、リアリの名前を前面に出した方が良いとドレロに否定され、自身の能力をわきまえていたバナのささやかな拒否によって、リアリの主張は認められなかった。
研究以外にあまり興味を示さないリアリにとっては珍しく最後まで抵抗していたが、それも無駄に終わった。ただ、バナに対しては、自分が望んで付けた名前では無い事だけは忘れるなと強く言っていたという。
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