竜探しのお話

hachijam

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4章.竜の研究者

21.

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その後も実験は失敗し続けたが、リアリの中では確実に一歩ずつ進んでいるようでもあった。やがて、それまで全く成果のなかった実験で、少しずつ成果を上げられるようになってくる。それに伴い、バナが考えているように実験の危険性は増してきた。

実験に必要となる魔力が膨大になった結果、魔力の暴走の可能性が出てきたのだった。バナは再度危険性を指摘したが、リアリはそれを全て分かった上で実験を続けていると語り、相手にしなかった。バナは万が一の時には実験を阻止しようと密かに心に決めるのだった。

そして、その後の何度目かの実験でバナが恐れている通りの展開になった。竜の遺物に込められた魔力が暴走し、周囲を巻き込んで爆発しそうになったのだ。限界ギリギリまで魔力を蓄えた竜の遺物を目の前にして、バナは実験の中止を宣告するが、リアリは全く聞こうとしなかった。バナはこれ以上は危ないと判断すると、リアリを無視して、竜の遺物を破壊したのだった。

こうして実験は失敗する事になるが、大参事に至る事は無かった。しかし、貴重な竜の遺物が失われた責任は重く、バナは研究所を辞める事になった。

研究所を辞める日、バナはリアリに対して、あの実験をそのまま行っていたらどうなっていたのかを質問した。失敗に決まっているとリアリは冷静に答えた。あの段階から成功になる可能性はないとリアリも考えていたのだ。ただ、失敗する事で得られる魔力限界値は次の実験に活かされる事は間違いなかったとも言った。結果として、竜の遺物だけでなく、研究に必要な貴重なデータも失われてしまったのだった。それによって、実験は大きく後退する事になったと嘆いた。

竜の遺物が失われた事はリアリ魔導研究所にとっても大きな痛手だった。責任は辞める事になったバナが取ったという事で落ち着いたが、膨大な損失も発生していたのだ。バナは辞めた後に知った話だが、この損失によって、リアリはそれまでと同じ様に好き勝手に研究が出来る状態ではなくなったらしい。バナは危険な実験が回避された事にひとまずほっとした。しかし、リアリだったらそんな事では諦めないのではという気もしていた。同時に、自分のせいでリアリの才能をつぶすようにな結果になってしまったら、どうしたら良いのかという罪悪感も感じていた。

そう言った複雑な気持ちを抱えたバナは、研究所を辞めた後も、研究所に顔を出すようになった。元々、他の研究者からは好かれていたバナの行動を咎める者はいなかった。たまに会うリアリに嫌味を言われるくらいだった。バナの耳にリアリの研究の詳細は伝わって来ておらず、それはリアリの研究が進んでいない証拠だとバナは考えていた。

しかし、それが間違いであった事をバナは悟ったのだった。
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