竜探しのお話

hachijam

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4章.竜の研究者

22.

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「ロットフートの洞窟で見た魔法生物は竜の遺物から生み出されたものだと思います」

そう言って、バナはあの時に見つけた黒い石をサントたちに見せた。

「この間、研究所に行って確認した通り、この石には竜の力が秘められています。恐らく竜の遺物の欠片です」

「じゃあ、研究は続けられていたと?」

「ええ。研究所への出入りは自由だったので、自分は全て知っている気になっていました。でも、そうでは無かったんですね。確かに部外者に大事な研究のすべてを知らせる訳はないですね」

バナは頭をかきながら自虐的に笑った。

「それで、危険性は?」

ラテアが聞く。

「それが分からないから戸惑っています。この間の洞窟での出来事をどう判断して良いのか悩んでしまいました」

バナは状況を思い出しながら続ける。

「魔法生物として誕生させているのは間違いないと思います。倒した後の核に竜の遺物が使われているのも事実ですし、それは確実だと思います。でも、危険性と言われると分からないです。この竜の遺物自体に込められている魔力は微妙で、これぐらいであれば、暴走の危険性も少ないですし、万が一暴走したとしてもたかが知れているはずです」

バナは考え込む。

「魔法生物としての危険性は?」

サントが聞く。

「それも良く分からないというのが正直な所です」

「あの時、戦ったのはそこそこ強敵だったよ」

ファムが言う。

「ええ、それも間違いないと思います。でも、倒せないというほどの相手では無かったのも事実です。あの魔法生物がリアリの制御下にあって、性能の試験、戦闘の訓練とかやっていたのであれば、魔法生物の実験としては、特に危険な事をやっているとは言えないです。仮にあの時、魔法生物が暴走して、対処に困っていたとなれば、危険性はあったと言えるのかもしれません。それでも、暴走しても想定内、対処が出来る範囲内であれば、実験としては特別に危険という訳ではないです」

バナは研究者らしく単に実験の成功失敗だけで危険性は判断できないと説明した。

「私が知っていた段階とは異なり過ぎていて、どうなっているのか分からないんです。危険性が高いのであれば、止めるべきだと思います。ただ、研究が順調に進んでいるのであれば、私が口出す事では無いような気もします」

それはリアリに悪い事をしてしまったという心の奥に残っている罪悪感が言わせた台詞だったのかもしれない。バナの悩みはそこにあったようだ。

「あの…」

リラが恐る恐ると言う感じで言った。

「直接、本人に伺ったらどうですか?」
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