竜探しのお話

hachijam

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4章.竜の研究者

23.

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「それは良い」

リラの発言に答えたのはルメだった。

「いや、それは…」

バナは考えていなかった事を言われて戸惑う。

「無理ですよ。それは…」

どこか苦しそうにバナは言った。

「いや、私は良い考えだと思うよ。あの子は、偏屈で偉そうなところもあるけど、聞かれた事に嘘を言うような子じゃないよ。特に私やバナに対してはね」

ルメは自信満々に答えた。

「でも…」

バナはなかなか決心できないようだった。

「ふん。そういうところがダメなんだよ」

ルメの説教が始まってしまった。

「そうは言っても…」

「だったら、私が聞きに行こうか?」

いつまでも煮え切らない態度のバナにイライラしたのか、ルメがそう言った。

「ルメさんがですか?」

リラは話の展開に戸惑いながら聞く。

「うん。それが良い。そうしよう。じゃあ、行くよ」

ルメはそう話を勝手に決めると、サントたちを伴って研究所に向かう事になった。バナはまだはっきりとしない態度を取っていたが、ルメを止める事は出来ずに、結局、一緒に行くことになる。

ルメは研究所までは堂々と進んでいったが、研究所の中に入った事は無いようで、案内はバナに任せた。バナはまだどうしていいのか分からない顔をしていたが、ルメの勢いに押され、ひとまず、ホウミの元にいく事にした。

「ええっと、どうしたんですか?」

大人数で急に訪れたバナに驚いたホウミだったが、事情を説明すると、すぐにリアリの元へ案内してくれる事になった。

実はホウミも以前から、何でバナはリアリと直接話をしないのか疑問に思っていたのだ。確かに研究所を辞めた経緯を考えると、話しづらいというのは良く分かっていたが、リアリの状況を知りたくて、研究所に来ている事は明白で、それだったら直接話した方が話が早いのではと思っていた。

リアリの態度を見ても、確かにバナの事を邪険には扱っていたが、拒絶する事は無く、リアリの性格を考えれば、過ぎた事をいつまでもこだわるような事は無いのではと考えていたのだった。機会があれば、自分が仲介してでも、話し合った方が良いのではとも思っていたくらいだった。それが実現できるのではと思うと、むしろ、率先して案内するべきだとホウミは思ったのだ。

リアリの研究室は研究所の一番奥にある。ホウミを先頭に、ルメが続き、続いてサントたち、そして、そこまで行ってもグズグズとしているバナと言う順番でリアリの研究室の前にたどり着いた。

ルメはそこまでたどり着くと、ホウミがドアを開けるのを待って、無理矢理にバナを一番最初に研究室に押し込んだ。
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