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4章.竜の研究者
25.
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翌日、バナの家を訪れたサントたちが見たのは、くたびれ果てたバナの姿だった。
「大丈夫ですか」
その姿を見て驚いたようにリラが言った。
「あれ、もうそんな時間ですか」
疲れたようにバナが言った。どうやら、バナはリアリから受け取った資料を徹夜で分析していたようだった。明らかに疲労の色は濃かったが、それでも目は輝いていて、いかに興味深い内容であったかをサントたちに知らしめていた。
「やっぱり、リアリは天才ですね。十分に知っているつもりでしたが、改めてそれを思い知らされました」
リアリは分析した結果を簡単に説明する。バナによって中断された実験の後、リアリは別の手法によって研究を進めるようになったらしい。恐らく、資金的な問題もあったと思うと言うと、少しだけバナは落ち込む様子を見せたが、それ以上に発想を転換した事に素直に驚いていた。
元々、リアリは自身の研究が出来れば、その環境にはこだわる事は無かった。そのため、自身を取り巻く環境が変われば、それに柔軟に対応する事が出来たのだろうとバナは推測した。資金があればあるだけ使って研究を進めるが、無ければ無いなりに資金に頼らない研究の進め方を考える事が出来るというのも、リアリの才能だったとバナは思い知らされたのだ。
資金が無ければ研究が続けられないと思ってしまった自分は、大きな研究所にいた事に慣れてしまっていたのかもしれないと、バナは自嘲気味に言った。
リアリが注目したのが、バナによって失敗させられた実験で破壊された竜の遺物だった。竜の遺物は、秘められた竜の力を引き出すために、その形状も重要になる。そのため、竜の遺物に魔力を吹き込む実験の際にもその手順は綿密に計算して、その形状に影響を与えないように、慎重に行われていたほどだった。しかし、砕けてしまった竜の遺物であれば、すでに期待されている竜の力の大部分は失われているので、好きなように扱えると考えたのだ。
そして、魔力の注入方法を試行錯誤する中で、竜の力をその欠片から引き出す事に成功した。竜の力を引き出した瞬間にその力は失われてしまうのだが、その抽出した竜の力を別の欠片に注入する事で、魔力を吹き込むよりも遥かに高い効果を生むことを発見したのだった。これによって、竜の遺物の欠片による魔法生物の誕生に成功する。
「これはあの時の実験の失敗が生み出した物だったみたいです」
黒い石を取り出してバナは言った。
「問題は…」
黒い石を眺めながらバナは続ける。
「この竜の力がほとんど失われているこの石で造られた魔法生物がそれでもあれだけの力を持っていたという事です」
いつの間にか真剣な表情になっていたバナから、その危険性が感じられた。
「大丈夫ですか」
その姿を見て驚いたようにリラが言った。
「あれ、もうそんな時間ですか」
疲れたようにバナが言った。どうやら、バナはリアリから受け取った資料を徹夜で分析していたようだった。明らかに疲労の色は濃かったが、それでも目は輝いていて、いかに興味深い内容であったかをサントたちに知らしめていた。
「やっぱり、リアリは天才ですね。十分に知っているつもりでしたが、改めてそれを思い知らされました」
リアリは分析した結果を簡単に説明する。バナによって中断された実験の後、リアリは別の手法によって研究を進めるようになったらしい。恐らく、資金的な問題もあったと思うと言うと、少しだけバナは落ち込む様子を見せたが、それ以上に発想を転換した事に素直に驚いていた。
元々、リアリは自身の研究が出来れば、その環境にはこだわる事は無かった。そのため、自身を取り巻く環境が変われば、それに柔軟に対応する事が出来たのだろうとバナは推測した。資金があればあるだけ使って研究を進めるが、無ければ無いなりに資金に頼らない研究の進め方を考える事が出来るというのも、リアリの才能だったとバナは思い知らされたのだ。
資金が無ければ研究が続けられないと思ってしまった自分は、大きな研究所にいた事に慣れてしまっていたのかもしれないと、バナは自嘲気味に言った。
リアリが注目したのが、バナによって失敗させられた実験で破壊された竜の遺物だった。竜の遺物は、秘められた竜の力を引き出すために、その形状も重要になる。そのため、竜の遺物に魔力を吹き込む実験の際にもその手順は綿密に計算して、その形状に影響を与えないように、慎重に行われていたほどだった。しかし、砕けてしまった竜の遺物であれば、すでに期待されている竜の力の大部分は失われているので、好きなように扱えると考えたのだ。
そして、魔力の注入方法を試行錯誤する中で、竜の力をその欠片から引き出す事に成功した。竜の力を引き出した瞬間にその力は失われてしまうのだが、その抽出した竜の力を別の欠片に注入する事で、魔力を吹き込むよりも遥かに高い効果を生むことを発見したのだった。これによって、竜の遺物の欠片による魔法生物の誕生に成功する。
「これはあの時の実験の失敗が生み出した物だったみたいです」
黒い石を取り出してバナは言った。
「問題は…」
黒い石を眺めながらバナは続ける。
「この竜の力がほとんど失われているこの石で造られた魔法生物がそれでもあれだけの力を持っていたという事です」
いつの間にか真剣な表情になっていたバナから、その危険性が感じられた。
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