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5章.盗賊見習いと竜見習い
12.
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「そうか、俺たちの様子を探りに来たんだな」
コトのその言葉にリアリはドキリとした。
「そうか、俺の知らない所で兄貴たちは動いていたんだ」
ひとりで納得しているコトを見て、何か会話が噛み合っていない気もしていた。話を否定した方が良いか、それとも、乗っかった方が良いのかリアリは悩んだ。
「だったら、俺が倒してやる」
そう言うと、急に構えてきた。
どうやら、盗賊団の一員である事には間違い無いようだ。リアリはそう理解した。だったらどうするか。そこでまた悩む。リアリにとって一番厄介なのは、この人間がさっさとその場から逃げて、事態を報告される事である。それによって、盗賊団の仲間を連れて来られたら大騒ぎになる。どういう相手が来るか分からない以上、自分自身の危険も増す事になるし、警戒されてサントたちが危険にさらされる事になるのも厄介だった。
しかし、目の前の人間はその選択を取らないようだった。最悪の事態は回避できそうで、ホッとするが、それで事態が好転した訳でも無かった。
(やっぱり、ひと思いに…)
と、短絡した選択を取りたくなる。自分の能力がどれくらいなのかと言うのを、リアリはまだ掴みきれていない。だから、その力を試してみたい気もしていた。自分から仕掛けて文句を言われるのは仕方ない気がするが、相手から仕掛けられたら、反撃する言い訳にはなる。
(ただ…)
少し気になったのが、相手の様子だった。言葉としては、勇ましい事を言っているのだが、明らかに実力不足で、リアリが相手にするほどの者とも思えなかった。そこでひとつ思った事がある。本当にこの人間は盗賊団の仲間なんだろうか。いや、盗賊団の仲間である事は間違いないだろう。問題はどの盗賊団かと言う事だった。
リアリは最初この近くにあるという巨大な盗賊団の仲間だと考えた。場所から考えれば、それは妥当な判断だと思う。しかし、こんなに未熟そうな者に見回りの役目を与えるだろうか、そう思ったのだ。
「何だ、怖気づいたのか」
コトは自分が抜いた短剣を見て、そう解釈した。声は震えているような気もしたが、自分なら出来ると思う事にした。短剣に体全体の体重を乗せて貫くように突進する。
そのまま受けても、大丈夫な気もしたが、体に傷がつくのも煩わしいと感じた。リアリはさっと攻撃を避けた。直線的な動き、しかも、大して素早くも無い動きで避けるのはたやすかった。
目をつぶっていたのかと思えるほど、コトは真っ直ぐと進み、リアリが避けたのも分かっていないようだった。手ごたえがあるはずであろう場所について、手ごたえが無かった事でコトはリアリが避けた事に気が付いたようだった。
コトのその言葉にリアリはドキリとした。
「そうか、俺の知らない所で兄貴たちは動いていたんだ」
ひとりで納得しているコトを見て、何か会話が噛み合っていない気もしていた。話を否定した方が良いか、それとも、乗っかった方が良いのかリアリは悩んだ。
「だったら、俺が倒してやる」
そう言うと、急に構えてきた。
どうやら、盗賊団の一員である事には間違い無いようだ。リアリはそう理解した。だったらどうするか。そこでまた悩む。リアリにとって一番厄介なのは、この人間がさっさとその場から逃げて、事態を報告される事である。それによって、盗賊団の仲間を連れて来られたら大騒ぎになる。どういう相手が来るか分からない以上、自分自身の危険も増す事になるし、警戒されてサントたちが危険にさらされる事になるのも厄介だった。
しかし、目の前の人間はその選択を取らないようだった。最悪の事態は回避できそうで、ホッとするが、それで事態が好転した訳でも無かった。
(やっぱり、ひと思いに…)
と、短絡した選択を取りたくなる。自分の能力がどれくらいなのかと言うのを、リアリはまだ掴みきれていない。だから、その力を試してみたい気もしていた。自分から仕掛けて文句を言われるのは仕方ない気がするが、相手から仕掛けられたら、反撃する言い訳にはなる。
(ただ…)
少し気になったのが、相手の様子だった。言葉としては、勇ましい事を言っているのだが、明らかに実力不足で、リアリが相手にするほどの者とも思えなかった。そこでひとつ思った事がある。本当にこの人間は盗賊団の仲間なんだろうか。いや、盗賊団の仲間である事は間違いないだろう。問題はどの盗賊団かと言う事だった。
リアリは最初この近くにあるという巨大な盗賊団の仲間だと考えた。場所から考えれば、それは妥当な判断だと思う。しかし、こんなに未熟そうな者に見回りの役目を与えるだろうか、そう思ったのだ。
「何だ、怖気づいたのか」
コトは自分が抜いた短剣を見て、そう解釈した。声は震えているような気もしたが、自分なら出来ると思う事にした。短剣に体全体の体重を乗せて貫くように突進する。
そのまま受けても、大丈夫な気もしたが、体に傷がつくのも煩わしいと感じた。リアリはさっと攻撃を避けた。直線的な動き、しかも、大して素早くも無い動きで避けるのはたやすかった。
目をつぶっていたのかと思えるほど、コトは真っ直ぐと進み、リアリが避けたのも分かっていないようだった。手ごたえがあるはずであろう場所について、手ごたえが無かった事でコトはリアリが避けた事に気が付いたようだった。
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