竜探しのお話

hachijam

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6章.隠された都市

2.

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「うちのバカ息子が大変お世話になったようで、本当に申し訳ないです」

そう言って、頭を下げたのはコトの父親、ドンゴ・ルフエだった。聞けば、ドンゴはこの地区一帯の商人を取り仕切っている元締めだという。この屋敷が豪邸だった理由がそれで分かった。コトが坊ちゃんと呼ばれていた理由も理解した。

「そうそう、道に迷っていたところを助けられたんだ」

そうコトは説明する。どうやら、コトは盗賊団の事は親に内緒にしているようだった。確かに大っぴらに言う事ではないとは思った。

「ええ。私たちも道に迷いかけていたので、本当に助かりました」

サントはそう無難に答えた。コトは話を合わせてと目配せしてきた。

「本当にこのバカ息子は調子に乗ってしまうところがあって、知らないところにはいくなと言っているのですが、本当に困った奴です」

コトの言う事を信じているように言った。

「ははは、もういいでしょ。父さん」

そう言うと、コトは話を切り上げようとした。

「でもな。お前、…」

コトは小言が続きそうな気配を察して、

「ああ、あれはどうなったかな?」

とわざとらしい事を言う。

「まあ、良い。無事に帰ってきたから」

仕方ないというふうにドンゴは告げた。

「もし、よろしかったら今日はここにお泊りください。お礼と言うほどの事ではありませんが…」

「ああ、それが良いよ。しばらく、うちに泊まってよ。ついでに僕が街を案内してあげるよ」

コトは話が変わってホッとしたのか、そう言う。これまでとは違う、分かりやすい道楽息子と言う感じの表情だった。

「そうだな。そうして、あげなさい」

「じゃあ、父さん。僕も皆さんも疲れているから」

そういうと、さっさとコトは部屋を後にした。

「やれやれ」

呆れるようにドンゴは笑って言うと、また頭を下げた。サントたちもコトに従って部屋を後にした。



案内された客間で、この先の事を話しあおうとした。でも、ここまで来た疲労もあり、なかなか話が進まなかった。まずはゆっくりと休んでからだ、そう思い始めた時に、ノックの音が響いた。はいと返事をして、ドアを開けるとそこには、ドンゴが立っていた。

「ちょっと良いですか」

そう言いながら、中に入るドンゴ。その顔はさっきとは違った真剣な表情だった。この地区一帯の商人を取り仕切っている元締めと言う話を思い出す。さっきのは父親の顔で、それとは違う顔だった。

「本当のところ、何があったのかを伺いたい」

有無を言わせない迫力があった。
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