竜探しのお話

hachijam

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6章.隠された都市

1.

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コトがサントたちと行動をするようになってからは、リアリの偵察は必要なかった。アリアドットに住む者たちしか知らないという道を案内されたからだった。その道を歩く者は襲わないという暗黙の約束があるのと同時に、その道は細く険しかったので、襲うのが現実的に難しいというのもあって、安全ではあった。

ただし、細く険しい道なので、普通の旅人はなかなか気が付きにくく、通るのは大変という問題はあった。コトは慣れたように進んで行ったが、この道には旅慣れているファムもうんざりにするほどだった。でも、安心して歩けるというのは何物にも代えがたく、文句は言わなかった。

その道を苦労しながら進み、サントたちは無事にアリアドットにたどり着いた。ここで果たさなければいけない役割を思うと、サントは酷く緊張した。でも、サント以外はそれよりも疲れた体を休めたいという気持ちが強く、そこまで気負ってはいなかった。

隠された都市とも言われるアリアドットに入る事に、警戒感を抱いていたところもあったが、中に入ってみると、これまで訪れた他の都市と変わらない雰囲気で、ひとまず安心する。特にリラは聞かされた話から、もっと怪しげな雰囲気を想像していたので、拍子抜けした気分もあるようだ。

それとなく、コトにそのことを告げたが、コトは他の大きな都市に行ったことが無いため、違いは分からないと言う。住んでいる者だとそうとしか思わないのかもしれないと思う。

そのコトは、アリアドットに着いた事で緊張の糸がきれてしまったようで、急に涙を浮かべて泣き出してしまった。よく考えれば、多くの仲間を殺されるという悲惨な経験をしたばかりで、ようやく良く知る安心な場所にたどり着いた事でその時の感情がよみがえってきたようだ。急に泣き出したコトに戸惑いながらも、そのままにしておく事も出来ず、とりあえず、コトの家まで送っていく事にした。

泣きながら道案内するコト。たどり着いたのは、豪邸と言っても差し支えのない屋敷だった。一瞬、コトに騙されているのではと考えたサントたちだったが、その屋敷の中に堂々と入っていくコトを見ると、本当かもしれないと思い。そんな泣いているコトを見つけた屋敷の者が

「坊ちゃん」

と呼んでいるのを見て、それが間違いが無い事を知らされた。サントたちはお互いを見つめて、信じられないという顔をしてしまう。その中で、屋敷の者に抱き着いて泣き続けるコトの声が響いていた。
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