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6章.隠された都市
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翌日、サントとリラとファムはコトにアリアドットの街を案内されていた。ラテアは疲れているからという理由で断り、リアリと共に部屋で待機していた。疲れているというのも嘘では無かったが、リアリを大勢の人がいるところに連れて行くのは無理があったし、リアリだけで留守番と言うと、何があるのか分からない。そうなると、リラが面倒を見ると言い出しかねないと思い、気を使ったのであった。何でお前と留守番なんだと不機嫌な顔をしたリアリだったが、今の立場をわきまえ、表立っては何も言わなかった。
コトに案内された街を見て、サントが思ったのが、とても、健全な街であるという事だった。街に入った時にも思ったことだが、怪しげな雰囲気を微塵も感じなかった。その事を、ファムにそっと言うと、それがこの街の怪し過ぎるところだと言い返してきた。
ファムが言うには、例え、どんな健全な街でも、怪しい場所と言うのは、どこかに存在していて、それを匂わせる雰囲気がある。でも、それがこの街では感じられなかった。これだけの大人数が生活している都市で、そういう場所が無いとは考えられない。それなのに、その気配が無いというのが、この街の怪しさの全てだと言うのだった。
考え過ぎなのではと思うサントだったが、自分が気が付かない何かがあるのかもしれないと用心するようになった。そう考えると、何もかもが怪しく見えてしまう。急に慎重になったサントを見て、リラが笑う。ファムには用心するのは良いが、それじゃあ、自分が怪しいものだと宣言しているようなものだと呆れられてしまった。
しばらく、街を案内した後、急に真剣な表情になって、コトがサントたちに相談したい事があるという。これまでのコトの事を考えると、ろくな事ではないと思うサントだったが、世話になっている事も事実で、話だけでも聞いてみようと思った。そして、中心部から少し離れたところにあるという店に案内された。そこも、外からはまるで普通の店と変わらない雰囲気の店だった。店に入った時の挨拶も元気よく何の変哲もない道具屋に思えた。
しかし、コトが目配せして合図を送ると、店員の一人が頷き、奥に入るように促す。ここにきて、サントはファムが言っていた、街の怪しげな雰囲気の一端を理解する事が出来た。急に緊張感が漂ってくる気がした。でも、平然としているファム、いつも変わらないリラを見て、動じている様子は見せないように、平然とした表情で奥に入った。
コトに案内された街を見て、サントが思ったのが、とても、健全な街であるという事だった。街に入った時にも思ったことだが、怪しげな雰囲気を微塵も感じなかった。その事を、ファムにそっと言うと、それがこの街の怪し過ぎるところだと言い返してきた。
ファムが言うには、例え、どんな健全な街でも、怪しい場所と言うのは、どこかに存在していて、それを匂わせる雰囲気がある。でも、それがこの街では感じられなかった。これだけの大人数が生活している都市で、そういう場所が無いとは考えられない。それなのに、その気配が無いというのが、この街の怪しさの全てだと言うのだった。
考え過ぎなのではと思うサントだったが、自分が気が付かない何かがあるのかもしれないと用心するようになった。そう考えると、何もかもが怪しく見えてしまう。急に慎重になったサントを見て、リラが笑う。ファムには用心するのは良いが、それじゃあ、自分が怪しいものだと宣言しているようなものだと呆れられてしまった。
しばらく、街を案内した後、急に真剣な表情になって、コトがサントたちに相談したい事があるという。これまでのコトの事を考えると、ろくな事ではないと思うサントだったが、世話になっている事も事実で、話だけでも聞いてみようと思った。そして、中心部から少し離れたところにあるという店に案内された。そこも、外からはまるで普通の店と変わらない雰囲気の店だった。店に入った時の挨拶も元気よく何の変哲もない道具屋に思えた。
しかし、コトが目配せして合図を送ると、店員の一人が頷き、奥に入るように促す。ここにきて、サントはファムが言っていた、街の怪しげな雰囲気の一端を理解する事が出来た。急に緊張感が漂ってくる気がした。でも、平然としているファム、いつも変わらないリラを見て、動じている様子は見せないように、平然とした表情で奥に入った。
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