竜探しのお話

hachijam

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6章.隠された都市

20.

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リアリは、器用に窓を開けると、外に飛び出した。誰もいない部屋で大人しく待つようにリラには言われていたし、リアリ自身もそのつもりだった。しかし、その気配を感じては動かざるを得なかった。自分を狙っている気配、しかも、それがあの冷たい気配であれば、放っておくわけにはいかなかった。さて、飛び出したのは良いが、どうするべきか。街をウロウロとして目立ちたくはなかった。

かと言って、あの冷たい気配の者をそのままにしておくのも危険だと思った。屋敷に入り込まれて騒ぎになるのも面倒だった。自分が外に出たという事には気づいてもらわないといけない。軽く吠える。自分に注意を払っているなら気が付くはずだ。案の定、すぐに反応した。同時に自分を狙っているので間違いないと思った。相手をするなら、街の外れまで行かなくてはならない。向こうも騒ぎにはしたくないだろう。覚悟を決めよう、そう思った時に、見慣れた背中を見つけた。後ろから驚かすように吠える。ビクッとして振り返ったのはコトだった。

「何だ、お前。外に出てきていいのか」

一人で掃除をしていたコトが言う。リアリの事は秘密にするというのは、サントたちとの約束だった。律儀にそれを守っていたコトは、リアリ自身が外に出ては意味が無いのではと思う。

「大体な」

掃除の事で、不満に感じていたコトはリアリにその不満をぶつけようと口を開く。その瞬間、その気配を感じた。

「なあ、お前、誰をここまで連れて来たんだ」

その声は震えていた。

「騒ぐな。サントとファムを呼んで来い」

リアリは一喝するように言うと、そう命令する。

「あぁ」

怯えた声でコトはその場を去った。気配はまだ感じる。しかし、その動きはゆっくりだった。

「何があった」

すぐに駆け付けたのはサントだった。

「敵だ」

そうとだけ告げる。サントは周囲の様子を探ろうとするが、その気配は感じられ無いようだ。

「どうした」

続けて、ファムが駆けつける。その瞬間、気配が離れていくのを感じた。多勢に無勢と感じたのかと、リアリは思った。

更に少し経ってから、コトが戻ってきた。青白い顔をしている。

「何なんだよ。あいつ、俺を狙っているのか」

勇ましく盗賊団を結成すると言っていた時の姿は全くなくなっていた。サントとファムはしばらく様子を伺っていたが、リアリにもう大丈夫そうだと言われて、警戒を解いた。まだ、怯えている姿を見て、サントは呆れる。ファムは苦笑いしながらも、しっかりしろと励ますように声を掛けた。
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