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6章.隠された都市
27.
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「とは言っても、何をしに来たんだと今更聞いても答えないだろう。だったら、こっちの秘密を教えて、ギブアンドテイクなんてのはどうかなと思ってな」
そういうと、豪快に笑った。どこまで、本気で言っているのかつかめなくて、ラテアは困った。
「ドンゴの所から来たっていうから、そっち方面で何かあるかなと思ったけど、だったらもっとうまく立ち回りそうだしな」
「そっち方面?」
「そうやって、間抜けな顔をして聞いてくるのを見ると、本当に何を目的にここに来ているのか分からない奴だな」
ラテアの問いを無視して、ヌラが言った。その言い方に自分が褒められているのか、馬鹿にされているのか、分からなかった。ただ、どうやら自分は品定めされていたらしいというのにだけは気が付いた。
本当のことを言うべきなんだろうか。その方が良いような気もしてきた。でも聞いて答えてくれるだろうか。それよりも探っていることがばれる方がまずいのではないかと考える。答えは出ない。
「まあいいや」
ラテアの葛藤を見抜いたように言う。
「とりあえず、これの説明をしてやるよ」
そう言うと目の前の魔法石について話し始めた。
通常、ゴーレムは一つの核となる魔法石で作られる。それだと、魔法石の力によって、能力の限界が決まってしまう。核を複数にした場合、例えば、二つとすれば、魔法石の力は増幅させる事が出来るが、異なる魔法石をつなぐことで異なる性質を持ってしまい、単純にその能力が倍となる訳では無く、多くの場合、相殺して、能力を発揮できなかくなってしまう。これが核を複数持つ事の難しさだった。
これを解決するために考えられたのが、中心となる核は一つだけにして、その核によって複数の核を制御するという方法だった。そして、中心では無い魔法石には、ある部品だけを制御するようにするという物だった。この方法でも、複数の核を制御する難しさはあったが、個々の部品の性能は個々の魔法石に依存するため、その能力を拡大させる事が出来るのだという。複雑な命令に従うゴーレムや巨大なゴーレムを作る事が可能になる技術だった。
そして、ここでは、特に巨大なゴーレムを作ろうという研究が行われていた。それに用いられる物をラテアは見せられたのだった。
細かい部分まで、正確に理解できたとは思えなかったが、その仕組みについては分かった。そして、ここでやろうとしている事の凄さを実感した。それを自分が知ってしまってよかったのかと疑問に思った。
そういうと、豪快に笑った。どこまで、本気で言っているのかつかめなくて、ラテアは困った。
「ドンゴの所から来たっていうから、そっち方面で何かあるかなと思ったけど、だったらもっとうまく立ち回りそうだしな」
「そっち方面?」
「そうやって、間抜けな顔をして聞いてくるのを見ると、本当に何を目的にここに来ているのか分からない奴だな」
ラテアの問いを無視して、ヌラが言った。その言い方に自分が褒められているのか、馬鹿にされているのか、分からなかった。ただ、どうやら自分は品定めされていたらしいというのにだけは気が付いた。
本当のことを言うべきなんだろうか。その方が良いような気もしてきた。でも聞いて答えてくれるだろうか。それよりも探っていることがばれる方がまずいのではないかと考える。答えは出ない。
「まあいいや」
ラテアの葛藤を見抜いたように言う。
「とりあえず、これの説明をしてやるよ」
そう言うと目の前の魔法石について話し始めた。
通常、ゴーレムは一つの核となる魔法石で作られる。それだと、魔法石の力によって、能力の限界が決まってしまう。核を複数にした場合、例えば、二つとすれば、魔法石の力は増幅させる事が出来るが、異なる魔法石をつなぐことで異なる性質を持ってしまい、単純にその能力が倍となる訳では無く、多くの場合、相殺して、能力を発揮できなかくなってしまう。これが核を複数持つ事の難しさだった。
これを解決するために考えられたのが、中心となる核は一つだけにして、その核によって複数の核を制御するという方法だった。そして、中心では無い魔法石には、ある部品だけを制御するようにするという物だった。この方法でも、複数の核を制御する難しさはあったが、個々の部品の性能は個々の魔法石に依存するため、その能力を拡大させる事が出来るのだという。複雑な命令に従うゴーレムや巨大なゴーレムを作る事が可能になる技術だった。
そして、ここでは、特に巨大なゴーレムを作ろうという研究が行われていた。それに用いられる物をラテアは見せられたのだった。
細かい部分まで、正確に理解できたとは思えなかったが、その仕組みについては分かった。そして、ここでやろうとしている事の凄さを実感した。それを自分が知ってしまってよかったのかと疑問に思った。
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