竜探しのお話

hachijam

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6章.隠された都市

35.

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「あなた方がおっしゃっている、お仲間と言っている方がどなたか分からないのですが、さきほどいらっしゃった、若い方なら、すでにお帰りになられましたよ」

男が言う。

「嘘だな」

ファムが断言するように言った。

「嘘?」

「ああ、入り口で待っていたが、外には出て来なかった。だから、私たちは中に入って来たんだ」

じっと男の方を見る。しばらく、視線がぶつかっていたが、男が視線をふと逸らす。

「そうは言われても困りますね。確かにお帰りになりましたよ。なあ?」

そう執事のような男に言う。

「はい、何かご用事があったようですが、突然、気分が悪くなったようで、帰るとおっしゃって帰られました」

そう執事のような男が答えた。

「最近の若い人たちは、いきなり訳も分からず尋ねてくるのが流行っているのですか?そういうのは無礼と言うんですよ」

男は皮肉めいて言う。

「具合が悪くなった?」

ファムが男の皮肉を無視するように言った。ファムが言っている事をサントは理解した。
「なるほど、あんたの言っている事は正しいのかもしれない」

「ほう。分かって頂いてありがとうございます。じゃあ、お帰りを」

「いや、そうじゃない。今ひとつ自信が持てなかったけど、はっきりしたよ」

そう言いながら、サントに目配せする。サントは頷き返す。

「私たちがあんたに用があるんだ」

そう言った。



今日は予定外のお客様が多いなとファクネティは考えていた。さっきは訳の分からない若いのが来て、いきなり喚きたてたと思ったら、急に青い顔をして倒れてしまった。そして、目の前に冒険者らしい男と女が現れた。どうやら、さっきの若者の知り合いのようらしい。始末するべきか、そう考える。アフタは控えているはずだ。

この後の事を考えれば、後顧の憂いは無い方が良い。でも、この二人を始末することで、別の憂いになるかもしれない。そもそも、さっきの若いのを面倒だから、アフタに始末させようとしたところから、変な感じになっている。

そして、さっきまでとは違い、様子を伺うというよりは、明らかな敵意を自分に向けている。このまま静かにお帰り頂くという訳にはいかないなと考える。

だが、何でこいつらは自分に敵意を向けているんだろうと思う。心当りはあり過ぎるが、この二人の顔を見たことは無かった。

その時、

「この方たちが、お会いしたがっていた方たちです」

と、ネカスイマが言った。一瞬、笑ったように見えたのは気のせいだろうか。得意気にしているようにも感じたが、すぐにいつものネカスイマに戻ったようだ。
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