149 / 155
6章.隠された都市
36.
しおりを挟む
面倒くさい事をする。ファクネティはそう思った。でも、ネカスイマが嫌がらせで仕組んだとも思えなかった。恐らく相手を見極めるための企みだったのだろう。急に乗り込んでくるところまで想定していたかは分からなかったが、ほぼ完ぺきな出来だったのだろう。自分の驚いているところを見れたところも、ネカスイマが満足している理由かもしれない。
期待通りの結果である事を考えれば、それくらいの事は大目に見ようと思う。さて、どう話を付けるか、それが重要になる。ネカスイマの言ったことに戸惑っているようだが、相変わらず、敵意は自分たちに向けられていた。
今、目の前の執事のような男が言った言葉の意味をファムは考えていた。
(お会いしたがっていた方たち…)
確かにそう言った。それが本当ならば、自分たちははめられたという事なのか。そう思った時に、リラが感じていた違和感の正体がわかった気がした。リラは、そのゴミの不自然さに気が付いていたのではないだろうか。ファムはそれが隠せないものが明らかになったと思っていたが、そうでは無く、意図的にわざと不自然に細工したのではないかとリラは気付いたのではないか。
それがはっきりとした形になっていなかったので、明言する事が出来なかったが、感覚として、それを認識していたのではないかとファムは悟った。リラだったら、それはありそうだと思った。もっと、注意すべきだったと思う。でも、今、それを考えている場合ではない、現状をどうするかを考えなければいけない。
幸い、すぐに襲ってくるという事では無いようだ。会いたがっていたという事は話を聞きたいという事だろうか。でも、何の話をそう考える。サントの方を向くと、自分と同じような顔をしていると思った。おそらく、状況は呑み込めているはずだ。
「ご面倒をおかけしたようで」
男はファクネティと名乗る。執事のような男はネカスイマと言うそうだ。紹介されて頭を下げた。ファムとサントはどう対処していいか、考えている。
ファクネティは椅子に座るよう促す。
「そうですね。警戒しますよね。それでは、まず、さきほどの件から。お連れしなさい」
ファクネティはそう言うと、ネカスイマに合図を送る。ネカスイマは頭を下げて、一旦、その場を去ると、男とコトと共に再び現れた。コトは顔を青くして意識朦朧という感じだった。男に支えられて辛うじて立っているというような状態だった。
サントはファクネティの事をじっと睨んだ。
期待通りの結果である事を考えれば、それくらいの事は大目に見ようと思う。さて、どう話を付けるか、それが重要になる。ネカスイマの言ったことに戸惑っているようだが、相変わらず、敵意は自分たちに向けられていた。
今、目の前の執事のような男が言った言葉の意味をファムは考えていた。
(お会いしたがっていた方たち…)
確かにそう言った。それが本当ならば、自分たちははめられたという事なのか。そう思った時に、リラが感じていた違和感の正体がわかった気がした。リラは、そのゴミの不自然さに気が付いていたのではないだろうか。ファムはそれが隠せないものが明らかになったと思っていたが、そうでは無く、意図的にわざと不自然に細工したのではないかとリラは気付いたのではないか。
それがはっきりとした形になっていなかったので、明言する事が出来なかったが、感覚として、それを認識していたのではないかとファムは悟った。リラだったら、それはありそうだと思った。もっと、注意すべきだったと思う。でも、今、それを考えている場合ではない、現状をどうするかを考えなければいけない。
幸い、すぐに襲ってくるという事では無いようだ。会いたがっていたという事は話を聞きたいという事だろうか。でも、何の話をそう考える。サントの方を向くと、自分と同じような顔をしていると思った。おそらく、状況は呑み込めているはずだ。
「ご面倒をおかけしたようで」
男はファクネティと名乗る。執事のような男はネカスイマと言うそうだ。紹介されて頭を下げた。ファムとサントはどう対処していいか、考えている。
ファクネティは椅子に座るよう促す。
「そうですね。警戒しますよね。それでは、まず、さきほどの件から。お連れしなさい」
ファクネティはそう言うと、ネカスイマに合図を送る。ネカスイマは頭を下げて、一旦、その場を去ると、男とコトと共に再び現れた。コトは顔を青くして意識朦朧という感じだった。男に支えられて辛うじて立っているというような状態だった。
サントはファクネティの事をじっと睨んだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる