竜探しのお話

hachijam

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1章.出会い

1.

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サントはサウステイルの村に向かっていた。そこの竜の遺跡に竜が現れたという噂話を聞いたからだった。



荷物である竜の牙を自身の体に埋め込まれたせいで、サントの最初の仕事、ミリアバウス近くの竜の遺跡への荷物運びは失敗したかに思われた。届ける荷物を失い、時間も遅れ、それでも竜の遺跡にたどり着いたサントを待っている者は誰もいなかった。失意の中、ミリアバウスに戻り、結果を報告するためにギルドに向かうサント。初歩的な仕事も達成できないのでは、今後、冒険者として活躍する事は出来ないだろうと諦めていた。しかし、予想もしない展開が待っていた。

「おい、あんた何をやったんだ」

ギルドの受付の親父がサントを見るなり興奮して話しかけてきた。すでに失敗が伝わっていたのかと思ってがっかりする。依頼主から荷物が届かないという苦情があったのかもしれない。

「あんな仕事で追加のボーナスがあるなんて話聞いた事が無いよ」

そう言うと、報酬の入った袋を目の前に出された。

「中身を確認してくれ」

そう事務的に続ける。何が起こったのか、分からないまま、サントは言われた通りに中身を確認する。言われていた報酬よりも多い額が含まれていた。

「ちょっと気味が悪い奴だったけど、ああいう仕事で金払いが良いんなら大歓迎だな」

サントは自分が竜探しになった出来事が何者かに仕組まれた物だったのかもしれないと思った。依頼主が誰だったのか、気になったサントはそのことを尋ねてみた。

「うーん。言われるとあんまり印象が無いね。何となく気味が悪いと思ったけど、そのぐらいかね」

それ以上の事は聞く事が出来なかった。手がかりと言えるものは無かった。ただ、あの依頼が誰かを竜探しにする事が目的の物だったというのは間違いないように思えた。

ギルドを後にしたサントは今後、どうするかを考えていた。思っていた以上の報酬があった事で、当面はどうにかなりそうだった。このまま、ミリアバウスで仕事を探すか、それとも別の所に向かうか考えていた。今の状況だと仕事を見つける事は難しい気がした。あの依頼が何を目的にしていたのかは定かではないにしろ、あのレベルの仕事がまたすぐに見つかるとは思わなかった。だとすれば、冒険者としてもう少し実績を積む必要があると思った。竜の呪い、竜探しとなった自分と言うのも気になっていた。

そんな時に、サウステイルの村の竜の遺跡の噂話を聞いた。
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