竜探しのお話

hachijam

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1章.出会い

3.

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サウステイルには問題なくたどり着く事が出来た。途中で何度か魔物に襲われたが、コボルトやゴブリンと言った魔物で、数も多くなかったので、それほど危険な旅では無かった。当然、竜の力を使う必要も無く、無事にたどり着く事が出来た。テテはサントの冒険についてくるようだった。本人は冒険を見届ける存在だと言っていた。黒いローブに包まれた何者かの正体を知っていると思い、何度か尋ねたが、曖昧に誤魔化された。ただ、実際のところ、何かを知って隠しているというよりは、その正体について何も知らないのではと思わせるところもあり、追及するだけ無駄なのではと言う気もしていた。テテは気まぐれで、その姿を見せる時と見せない時があった。特に人前ではその姿を現す事はほとんどなかった。あったとしてもサント以外の者には姿を見られないようにしていた。テテが言うには、竜探し以外からは姿を見られないようにする事が出来るらしい。

サウステイルに着いたサントはまず村の入り口にあった宿屋に向かった。小さな村と聞いていたので、その宿屋の大きさには少し驚いた。かつて賑わっていたという名残があるのかもしれない。ただ、それに見合った数の人がいるようには思えなかった。宿屋の中に入ると、老人が一人受付にいた。居眠りをしているその姿を見ると、人が来るとは想像していないのではと思ってしまった。

「あの…」

恐る恐ると言う感じで声を掛けると、その声に反応してびくっとその老人が目を覚ました。

「いや、寝てないよ」

何も言っていないのに、そう言い訳を始めた。誰かと間違えているのだろうか。サントは冒険者である事を告げ、その日の宿を取ると竜の遺跡についての話を聞いた。

「ああ、その話ね」

老人はちょっと険しい表情をした。

「全く、誰が言ったんだか、時々、そういう噂を聞いてくるお客さんみたいな人がいるんだよ」

迷惑そうに続ける。

「お客さんに言うのも悪いんだけど、ただの噂話だよ。期待するものなんてないからさっさと帰った方が良い」

まるであの噂話をしていた男が言っていた通り、何かを隠しているのではと思わせるような話し方だった。もしかしたら、本当に何かあるのかもしれない。そんな事を少し思った。

竜の遺跡までの道のりは大体確認してあった。それほど離れている距離では無かった。まだ、日は高い。村の中に他に見るべきものは無いと思ったサントは竜の遺跡に向かってみる事にした。
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