8 / 155
1章.出会い
3.
しおりを挟む
サウステイルには問題なくたどり着く事が出来た。途中で何度か魔物に襲われたが、コボルトやゴブリンと言った魔物で、数も多くなかったので、それほど危険な旅では無かった。当然、竜の力を使う必要も無く、無事にたどり着く事が出来た。テテはサントの冒険についてくるようだった。本人は冒険を見届ける存在だと言っていた。黒いローブに包まれた何者かの正体を知っていると思い、何度か尋ねたが、曖昧に誤魔化された。ただ、実際のところ、何かを知って隠しているというよりは、その正体について何も知らないのではと思わせるところもあり、追及するだけ無駄なのではと言う気もしていた。テテは気まぐれで、その姿を見せる時と見せない時があった。特に人前ではその姿を現す事はほとんどなかった。あったとしてもサント以外の者には姿を見られないようにしていた。テテが言うには、竜探し以外からは姿を見られないようにする事が出来るらしい。
サウステイルに着いたサントはまず村の入り口にあった宿屋に向かった。小さな村と聞いていたので、その宿屋の大きさには少し驚いた。かつて賑わっていたという名残があるのかもしれない。ただ、それに見合った数の人がいるようには思えなかった。宿屋の中に入ると、老人が一人受付にいた。居眠りをしているその姿を見ると、人が来るとは想像していないのではと思ってしまった。
「あの…」
恐る恐ると言う感じで声を掛けると、その声に反応してびくっとその老人が目を覚ました。
「いや、寝てないよ」
何も言っていないのに、そう言い訳を始めた。誰かと間違えているのだろうか。サントは冒険者である事を告げ、その日の宿を取ると竜の遺跡についての話を聞いた。
「ああ、その話ね」
老人はちょっと険しい表情をした。
「全く、誰が言ったんだか、時々、そういう噂を聞いてくるお客さんみたいな人がいるんだよ」
迷惑そうに続ける。
「お客さんに言うのも悪いんだけど、ただの噂話だよ。期待するものなんてないからさっさと帰った方が良い」
まるであの噂話をしていた男が言っていた通り、何かを隠しているのではと思わせるような話し方だった。もしかしたら、本当に何かあるのかもしれない。そんな事を少し思った。
竜の遺跡までの道のりは大体確認してあった。それほど離れている距離では無かった。まだ、日は高い。村の中に他に見るべきものは無いと思ったサントは竜の遺跡に向かってみる事にした。
サウステイルに着いたサントはまず村の入り口にあった宿屋に向かった。小さな村と聞いていたので、その宿屋の大きさには少し驚いた。かつて賑わっていたという名残があるのかもしれない。ただ、それに見合った数の人がいるようには思えなかった。宿屋の中に入ると、老人が一人受付にいた。居眠りをしているその姿を見ると、人が来るとは想像していないのではと思ってしまった。
「あの…」
恐る恐ると言う感じで声を掛けると、その声に反応してびくっとその老人が目を覚ました。
「いや、寝てないよ」
何も言っていないのに、そう言い訳を始めた。誰かと間違えているのだろうか。サントは冒険者である事を告げ、その日の宿を取ると竜の遺跡についての話を聞いた。
「ああ、その話ね」
老人はちょっと険しい表情をした。
「全く、誰が言ったんだか、時々、そういう噂を聞いてくるお客さんみたいな人がいるんだよ」
迷惑そうに続ける。
「お客さんに言うのも悪いんだけど、ただの噂話だよ。期待するものなんてないからさっさと帰った方が良い」
まるであの噂話をしていた男が言っていた通り、何かを隠しているのではと思わせるような話し方だった。もしかしたら、本当に何かあるのかもしれない。そんな事を少し思った。
竜の遺跡までの道のりは大体確認してあった。それほど離れている距離では無かった。まだ、日は高い。村の中に他に見るべきものは無いと思ったサントは竜の遺跡に向かってみる事にした。
0
あなたにおすすめの小説
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
東京ダンジョン物語
さきがけ
ファンタジー
10年前、世界中に突如として出現したダンジョン。
大学3年生の平山悠真は、幼馴染の綾瀬美琴と共に、新宿中央公園ダンジョンで探索者として活動していた。
ある日、ダンジョン10階層の隠し部屋で発見した七色に輝く特殊なスキルストーン。
絶体絶命の危機の中で発動したそれは、前代未聞のスキル『無限複製』だった。
あらゆる物を完全に複製できるこの力は、悠真たちの運命を大きく変えていく。
やがて妹の病を治すために孤独な戦いを続ける剣士・朝霧紗夜が仲間に加わり、3人は『無限複製』の真の可能性に気づき始める。
スキルを駆使して想像を超える強化を実現した彼らは、誰も到達できなかった未踏の階層へと挑んでいく。
無限の可能性を秘めた最強スキルを手に、若き探索者たちが紡ぐ現代ダンジョンファンタジー、ここに開幕!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる