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3章.槍使い
3.
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ファム・リングロは槍使いの女戦士である。自分で言うのも何だが、そこそこ出来る戦士だと思っている。ただ、今その手元に槍は持っていない。だから、ただひたすら逃げるしか出来なかった。どうしてこうなったと考えると、我ながら間抜けだと思う。でも、こうなってしまった以上、仕方ない。どうにかして、槍を取り戻す必要がある。その前に、とりあえず、今は逃げる必要があると思った。
「いたか」
「いや、いない。逃げ足は速いみたいだな」
「もう一度、周囲を探せ」
追ってくる者たちの声が聞こえてきた。数はそれほど多くは無い。少し待っていれば、大丈夫そうだった。問題はどうやって、槍を取り戻すかだ。それを考えた。機会をうかがうしかないそう思った。
ノリントバーグは交易都市として栄えている都市である。ミリアバウスとはまた違った雰囲気のする都市だとサントは思っていた。リラは初めての都市と言う事で圧倒されていた。ラテアは何度か来た事があるようで落ち着き払っていた。
三人はとりあえず、宿屋に向かい今後の事を決める事にした。
いずれにしろ、先立つものが無ければどうしようもないというのが、サントとラテアの一致した意見だった。とりあえず、ギルドに顔を出す必要があると言う事でまとまり、まずはギルドに向かう。
「へぇ、ダイタさん知り合いかい。あの人にしては珍しいね」
ダイタの紹介状を見せて、受付の男が言った。男が言うには、ダイタはひとりで仕事をするタイプなので、こうやって人を紹介する事はほとんどないようだった。
「まあ、ダイタさんの紹介と言われちゃうと仕方ないね。でも、見た所、駆け出しって感じだけど、大丈夫かい?」
そこで大丈夫とはっきりと言えるほど、サントは自信があった訳では無かった。
「ははは、正直者だね。そこは嘘でも大丈夫と言うところじゃないか。まあ、いいか。そうだな、これなんかどうだろう」
そう言うと、ひとつの仕事を紹介してくれた。それはガルト・アンテアと言う商人の屋敷の警備の仕事だった。こんなに簡単に仕事を紹介してもらえる物なんだと、ダイタの紹介状に感謝するサント。
「そんなに大変じゃないと思うし、この辺が無難なんじゃないかな。まあ、詳しい事は直接聞いてもらった方が早いかな」
そう言われたので、すぐにガルトの屋敷へと向かう事にした。そこはノリントバーグでも一、二を争うほど巨大な屋敷だった。ガルト自身、ノリントバーグで良く知られている人物のようだった。
「いたか」
「いや、いない。逃げ足は速いみたいだな」
「もう一度、周囲を探せ」
追ってくる者たちの声が聞こえてきた。数はそれほど多くは無い。少し待っていれば、大丈夫そうだった。問題はどうやって、槍を取り戻すかだ。それを考えた。機会をうかがうしかないそう思った。
ノリントバーグは交易都市として栄えている都市である。ミリアバウスとはまた違った雰囲気のする都市だとサントは思っていた。リラは初めての都市と言う事で圧倒されていた。ラテアは何度か来た事があるようで落ち着き払っていた。
三人はとりあえず、宿屋に向かい今後の事を決める事にした。
いずれにしろ、先立つものが無ければどうしようもないというのが、サントとラテアの一致した意見だった。とりあえず、ギルドに顔を出す必要があると言う事でまとまり、まずはギルドに向かう。
「へぇ、ダイタさん知り合いかい。あの人にしては珍しいね」
ダイタの紹介状を見せて、受付の男が言った。男が言うには、ダイタはひとりで仕事をするタイプなので、こうやって人を紹介する事はほとんどないようだった。
「まあ、ダイタさんの紹介と言われちゃうと仕方ないね。でも、見た所、駆け出しって感じだけど、大丈夫かい?」
そこで大丈夫とはっきりと言えるほど、サントは自信があった訳では無かった。
「ははは、正直者だね。そこは嘘でも大丈夫と言うところじゃないか。まあ、いいか。そうだな、これなんかどうだろう」
そう言うと、ひとつの仕事を紹介してくれた。それはガルト・アンテアと言う商人の屋敷の警備の仕事だった。こんなに簡単に仕事を紹介してもらえる物なんだと、ダイタの紹介状に感謝するサント。
「そんなに大変じゃないと思うし、この辺が無難なんじゃないかな。まあ、詳しい事は直接聞いてもらった方が早いかな」
そう言われたので、すぐにガルトの屋敷へと向かう事にした。そこはノリントバーグでも一、二を争うほど巨大な屋敷だった。ガルト自身、ノリントバーグで良く知られている人物のようだった。
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