光と闇のメモリー

かなちょろ

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第5話【光と闇の心】

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 王子様を襲った黒いモヤは私をオーロラの国へと連れて来た黒猫のジャンさんだった。
 その姿を見た瞬間、私はまた別の場所へと移動していた。

 そこは真っ暗な空間。
 わずかに私のまわりが光っている。
 これは鍵が光っているからみたいね。

 暗い先にわずかな光が当たると、小さな女の子が泣いていた。 近づいてみるとその子は私の方を振り向き何かを話し始めた。

「ねえ……どうして私のパパとママは別れちゃったの? どうして私を置いて行くの?」

 その子は小さい頃の私だ!
 確かに小さい頃にそんな事を思っていたかも知れない……。
 そして別の場所が光る。

「クリスマスなんて大っ嫌い! サンタクロースなんて嘘だ!」

 その声も少し大きくなった私。
 確かにクリスマスは好きでは無かった……。

「なんで私の足が……、なんで私ばっかり……、……なんで? ねぇ! なんでよ!!」

 その声も私。
 私は轢いた人を恨んでいない……なんて嘘なのかも知れない……。

 その時、輝いていた鍵の光りが消えて、黒い何かが吹き出した。

「ダメだ玲子さん! 君はそんな人じゃ無い! 自分をしっかりもつんだ!」

 子猫のままのジャンさんが鍵から吹き出している黒い物を両手で押さえている。

「そんな人じゃ無い? なんで……? あなたに私の何がわかるの? わかるわけないじゃ無い!!」
「わかる! わかるよ! 闇に飲まれてはダメだ! 思い出すんだ!」

 思い出す? どう言う事? 私は……。

 そう、そこで思い出した。 ここに来てからマカロニさん、サラさん、ジャンさんの暖かさを……。

「あ、あれ? ジャンさん?」
「気がついたか……でも、ちょっと遅かったようだ」

 吹き出していた黒いモヤは鍵から全て出ると、お城で見た闇の王の姿を形作った。

「ふっふっふ……我、復活せり……。 あとはお前を闇に染めれば完全復活となる!」
「そうはさせないぞ!」

 黒猫のジャンさんは私の前に立ち、闇の王と対峙した。

「お前が私を? 臆病なお前に何が出来る!」
「…………」
「もう一度吹き飛ばしてやろうか、それとも醜い姿に変えてやろうか?」
「私の事なら好きにすればいい! だが玲子さんには手を出すな!」
「それは出来ない相談だな。 この空間から出るにはそいつを闇に染めねばならんからな」
「そうはさせるかーー!」

 ジャンさんは闇の王へ向かって行く。
 しかし軽く吹き飛ばされてしまう。 それでも立ち向かって行く。 傷だらけになりながら何度も立ち向かう。

「鬱陶しい奴だ! ふんっ!」
「!」
「ジャンさん!!」

 私の方へ吹き飛ばされてくる。

「ジャンさん、もうやめて! もういいよ!」
「……僕は……もう……逃げない!」

 ヨロヨロとしながらも立ち上がり、ジャンさんの体が大きくなり、いつもの黒猫のジャンさんへと変わった。

「僕は王子なのに臆病だった……。 守らなければいけないのに……怖くて……足がすくんで動けなかった……。 マカロニの方が勇敢だったよ……情けない王子だけど、今度は……守る!」

 ジャンさんの言葉に私の黒く染まっていた鍵が輝きオーロラの光を放ち、ジャンさんが人の姿へと変わっていく。 その背中を私は光る鍵を握りしめながら見ていた……その光はどんどん広がり空間ごと闇の王を包み込む。

「うおおお! なんだこの光りは! やめ、やめろーー!!」

 空間がパリンと割れると私とジャンさんは女王様とマカロニさんがいる部屋に戻ってきていた。

「戻ってきましたね」
「ご無事でしたぐぁ!」
「マカロニさん……女王様……、……ジャンさん!」

 戻ってきたジャンさんは倒れてしまっていた。

「これはいけないぐぁ! 直ぐに治療室に連れて行かなくてぐぁ!」

 マカロニさんは他のペンギンの兵士を呼んで、ジャンさんを運んで行った。

「玲子さん、王子を助けていただいてありがとうございます」
「い、いえ、私はなにも……それよりジャンさん……王子様は大丈夫なんですか?」
「大丈夫ですよ。 今は眠っているだけでしょう」
「私が見たのは王子様の闇の部分だったってことですか?」
「王子は重圧や責任に立ち向かう勇気が出なく、そこを闇につけ込まれました。 しかし玲子さんのおかげで闇をはらえるほどの勇気が出たようです」
「それはジャンさん本人の力です……これで王子様の呪いは解けたんでしょうか?」
「そうですね……あとはあの残っているものを消し去れば終わるでしょう」

 女王様が差し示した所には溶けかけている黒い塊がモゾモゾと動いていた。

「……あ゛~……ゔ~……」

 闇もまだ生きているようだ。
 女王様は残っている闇を消し去ろうと持っている杖を向けた。
 私はそれを見て思わず車椅子を闇の前に走らせ女王様から守ってしまった。

「待ってください!」
「どうしたのですか? その闇を滅しないと今度は玲子さんが危なくなりますよ」
「それでも……、きっとこの闇も私の一部だと思うので……」

 私が見て来たこと、それは私が本当に思っていたことかも知れない……。
 私は闇の方を向き、そっと持ち上げ抱きしめる。
 すると、闇から一筋の涙が溢れ闇の姿が光り輝く鍵へと姿が変わった。

「それが最後の鍵ですね……玲子さんの心が生み出した鍵です。 やはり玲子さんは光の心の持ち主です」
「そんなことはないです」

 鍵を握りしめていると、全ての鍵が一つになり輝きが強くなる。

「どうやら戻る時間が来たようですね」
「え? 私もう戻らないといけないんですか?」

 ジャンさんの容体も気になるし、サラさんにも挨拶したいし、町も見てみたいし……。

「その鍵が光っている時ではないと、オーロラの道を戻れなくなります」
「そんな……」
「女王様、玲子さん、準備できましたぐぁ」

 マカロニさんが戻ってくると、既に戻る準備をしてあるようだ。
 私はマカロニさんに連れられて城の外へと出る。
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