異世界最強勇者の逃亡生活 〜旅する仲間は俺の弟子〜

かなちょろ

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第26話 【5人の攻防戦】

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 俺が異変の元へ向かっている頃、5人は町へ向かっていた。

「君達ーー! そんな所にいちゃ危ない! 早く中へ入りなさいー!?」

 町の入口から兵士の叫ぶ声が聞こえて来る。

「わかりましたー!」
「早く! 急ぎなさい! 魔物の大群が迫って来るぞー!!」
「はーい!」

 町の人も気がついているようだ。

「こんな時に来るなんてついてないな、子供と戦えない女は町の領主の家に向かいなさい。 そこが避難場所になっている」
「ありがとうございます」

 兵士の人に扉をわずかに開けてもらい中に入る。
 領主邸には女性や子供、お年寄りが多く避難していた。
 領主の人は何やら忙しそうに走り回っている。

「どうしよっか?」
「そうですね、まずはこちらの兵力と魔物の数に差があるか確認しないと……」

 ライラは戦士なだけあって団体戦の魔物との戦いに慣れているからこう言う考えも出来ている。

「私はここで町に入ってきた魔物から子供達を守りますわ」
「それじゃ私は回復魔法が出来るから、兵士さんが傷ついて運ばれる病院に行ってきます!」

 ムーンとリアンはやるべき事が見えている。

「私は暴れたくてウズウズするー!」
「僕も町を守るために一緒に戦う!」

 ルナとディーンは兵士と町の外で戦うと言う。

「待ってください。 皆んなバラバラな行動はしない方がいいです! 何かあってもわからなくなります」
「でも……」
「町の入口を守るのは兵士の仕事、下手に私達が入ると兵士の連携が取れなくなります。 リアンさんのように傷ついた兵士の回復をする事は良いと思いますから、この場所をムーンさん、ルナさんディーンさんが守り、私も多少の回復魔法は使えますから私とリアンさんが兵士の傷を治すのはどうですか?」
「確かにそれなら二手になるだけだからわかりやすいかも」
「それじゃリアンさん、病院に……」

 ライラが言いかけた時、大きな地響きがしたと思ったら町の入口の方で大きな爆発音が響き渡った。

「魔物が入って来たぞーー!!」

 思ったより早く魔物の侵入を許してしまったようだ。
 町の中では兵士が戦い始めた音が聞こえ、同時に叫び声も聞こえてくる。

「リアンさん、作戦変更です! リアンさんもここを死守して下さい」
「ライラさんはどうするの?」
「私は状況を確認して来ます」

 ライラは領主邸から出ると町の入口に向かって走り出す。

「これは……」

 町の入口の扉は壊され、沢山の魔物が侵入してきている。

 ナメクジの魔物【メルトスラッグ】羽のある虫の魔物【ポイズンビー】そして【ゴブリン】に大型のサイの魔物【アーマーライノス】豚顔の【オーク】狼の見た目をした魔物【ガブリウルフ】と様々な魔物が入って来ていた。
 メルトスラッグは触角を伸ばして人を掴み溶かしながら食べ、ポイズンビーは牙で噛みつき毒で人を殺す。
 オークは持っている武器で兵士を薙ぎ倒し、ゴブリンは倒れた兵士や人を囲ってなぶり殺しにする。
 アーマーライノスは建物ごと人を破壊し、ガブリウルフは数で襲って噛みちぎる……。
 兵士と町の冒険者だけでは対処が出来ていない。
 領主邸まで来るのは時間の問題だろう……。

「ライラさんいかがでしたか?」
「酷いものだ……恐らくここに来るまでそう時間はかからないはずだ」
「それなら戦うしか無いよ!」
「マシオ殿がいてくれれば……」
「私がボコボコにしてやる!」
「今は僕らでどうにかしないと」
「そうですね……」

 作戦を考えようとしていると、扉が開き、男性が入って来た。

「わしはここの領主だ! ここも危ないかも知れん……裏口から外に出られる! 早く裏口に!」
「待ってください! 外には大勢の魔物がまだいます! 今出て行ったら皆んなやられてしまいますよ!」
「どこの誰かは知らぬが、今は一刻も逃げねば! 皆が逃げ切るまでここはわしが死守しよう! なに、わしだって昔は冒険者をやっておったのだ! そうそう魔物に遅れはとらんわい。 だから早く裏口に!」

 領主の言葉で皆んなが裏口に走って行ってしまう。

「ダメだ! このままじゃライラさんの言った通り魔物の餌食になってしまう! ……リアン!」
「わかってるわ兄さん! お願い! ダクスちゃん!!」

 リアンの鞄から飛び出したダクスは皆んなが向かう裏口方向へ先回りし、壁に酸を飛ばして溶かす事で皆んなを止めた。

「きゃー! 魔物が入って来たわ!」
「もう入って来たのか!?」
「もう駄目だわ……助からないのよ……」

 ダクスの姿を見て皆んなは諦めてしまった。

「そのスライムなら大丈夫です! 私達の味方です! ですが、このまま裏口から外へ出たら魔物の餌食になってしまいます!」
「そうだよ! ここにいた方が安全だよ!」

 町の人、屋敷のメイドさん達は戸惑っていたその時、領主が死守すると言っていた大広間の方で大きな音がした。

「大変! 見て来ます!」
「私も! 私も!」
「僕も行って来ます! リアンとムーンさんは皆んなをお願いします!」
「わかりましたわ」
「兄さん気をつけて」
「ああ!」

 大広間はかなり崩れ、メルトスラッグ、アーマーライノスが入って来ていた。

「領主さんは!?」
「あれじゃない?」
「大変! ……よかった、まだ生きてる……」
「ライラさんは領主様をリアン達の元へ!」
「ここは任せても?」
「もちろん!」
「私に任せてよ!」

 ライラは領主を背負ってリアン達の元へ向かう。
 残ったのはディーンとルナの2人。
 対するはメルトスラッグ3匹、アーマーライノス1匹だ。

「ディーンはどっちやる?」
「僕は火に弱そうなメルトスラッグ」
「なら私はあっちのデカいのね」
「来るよ」
「任せろ……ニャー!!」

 触手を伸ばして来るメルトスラッグにディーンは火の魔法で触手を退け、魔法を飛ばしてメルトスラッグ1匹を焼き尽くしたが、触手を回避した所を別の触手が足に巻きつき、2匹のメルトスラッグの触手で四肢を囚われてしまう。

「くっ! このっ!」

 メルトスラッグは酸を垂らしながらディーンを襲う!

「……こうなったらやってみるか……」

 メルトスラッグがディーンに食いついた瞬間、メルトスラッグの体が燃え上がり、ディーンの体から燃え落ちた。
 最後の1匹の触手も燃え溶けてしまい、メルトスラッグはディーンから逃げ出し始めた。

「逃す訳ないだろ! フェニックスウイングーー!!」

 ジュッ! と一瞬の音を立ててメルトスラッグは消し飛んだ。

「ディーンもなかなかやるニャ! そろそろ私もトドメを刺してやるニャ!」

 ディーンがメルトスラッグと戦っている頃、ルナは変身してアーマーライノスの鎧のように硬い皮膚をものともせずボコボコにしていた。

「これで終わりニャーー!!」

 ルナから放たれた拳はアーマーライノスのツノを折り額に直撃して吹っ飛ばした。
 壁にめり込んだアーマーライノスはそのまま動かなくなる。

「やった! 勝った!」
「安心は出来ないニャ! まだ外に魔物が……?」
「ルナさんどうしたんですか?」
「魔物の気配がしなくなったニャ……」

 ディーンは壊された入口から外を覗くと、確かに戦っている音はしない……兵士と冒険者達が倒したのかな?
 ディーンは外を見ようと顔を出すと、冒険者と見られる男性と女性が壊された領主邸に向かって来る。

「……あーあ、こりゃまた……生きてっかなー……」
「それを確認しに来たんでしょ」
「まーそうだがよー……お? 誰かいるじゃん」

 ディーンに気がついた男性と女性は崩れた入口か、領主邸へ入って来た。

「生きてたか? もう大丈夫だぜ。 外の魔物は全部が倒したからな」
「ちょっと、私がいたからでしょ!」

 この2人は何を言っているんだ? あの魔物の大群を2人で倒した? 師匠じゃないのに……。

 この時、ディーンは外の魔物を倒したのは師匠の俺だと考えていた。
 それが違う人で、更にはたった2人……信じていなかった。

「おい、ボウズ聞いてるか? 他の連中は無事なのか?」
「え、ええ……はい、大丈夫です」
「そうか……それよりこの魔物はお前達が倒したのか?」

 男性の目つきが鋭くなった。

「それは私が倒しました」
「……エルフか……」

 奥から戻って来たライラさんは男性の問に答えた。

「……なるほどな……それなら……なくもないか……」
「それより貴方方は?」
「俺達はギルドのもんだ。 ここの所属じゃねえけどな……どうやらここの連中は無事のようだな。 帰るか」
「報告が先でしょ。 全く……それにラフィーレが戻って来ないと帰れないじゃない」
「確かに……ほんとあいつ何処に行きやがったんだか……」
「ま、いつもの事でしょ。 ほら、ギルドに行くわよ」
「わかった、わかった……それじゃなボウズとエルフ、それと、そこの瓦礫に隠れてる奴」

 な、なんで隠れてるルナの事を……?

 この2人が戻って行った後、町の様子を見て見ると確かにあちこちで魔物が燃えている。
 確かに魔物は全て倒されているようで、動ける兵士が住民の確認、魔物の後始末などを行っていた。
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