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第68話 ルーギィの罠
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ルーギィに俺の中の邪龍の魂だった部分が奪われ、精霊との融合が1人しか出来なくなってしまった。
ルーギィの持っていた黒い珠の事も気になるので、一度大精霊様に話しを聞きに港まで戻ってきていた。
ここまで魔物も出なかったし、大精霊様の元へ急ごう。
「カケルさん!」
船を降りた所でジュリムさんに声をかけられた。
「ジュリムさん! どうしてここに?」
「カケルさんを待っていました。 王が待っています。 急いで城まで行きますよ」
大精霊様の元へ急ぎたかったが、王様が呼んでいるのでは仕方ない。
ルーギィの話しもあるし、先に王様に話しをするか。
ジュリムさんの転移魔法であっと言う間に城の中に転移する。
「おお、カケルか。 待っておったぞ」
師匠の前に転移し、急いで玉座の間へ案内された。
中に入ると、王様とその隣に立っていたのは大精霊様だった。
「おお、カケルか。 待っていたぞ」
王様の前に通されると、すぐに話しが始まった。
「何故ここに大精霊様が?」
精霊の森から殆ど出る事の無い大精霊様がいて、何事かと思ったが報告の手間が省けたな。
「翔さんを待っていました。 ルーギィと戦ったのですね」
「はい。 でもルーギィは倒せず、俺と融合していた邪龍の魂をルーギィの持っていた黒い珠に取られてしまいました。 あの黒い珠は何ですか?」
大精霊様はしばらく黙ったまま、ゆっくりと口を開いた。
「あの珠は常闇命珠。 邪龍の体を封印した物です」
「邪龍の体を!?」
「そうです。 前の戦いで八つの魂の他に体も封印したのです」
「もしかして、俺の中にあった邪龍の魂で復活とかあるんでしょうか?」
これで復活とかしたら俺は戦えるのか?
「魂一つでは復活はしないでしょう。 八つの魂が必要となるはずです」
「ですが、八首斬影はルーギィだけで、七人倒しているはずです」
「そうですね。 しかし、常闇命珠が魂を吸収する物であれば、後はルーギィの魂だけとなります」
倒した魂が常闇命珠に取り込まれ復活するとなるなら、ルーギィが直ぐに自決しないのはおかしい。
「ルーギィはまだ何か企んでいるのでしょうか?」
「恐らく……、復活には何かが足りないのかも知れません。 ですからその前にルーギィを止めねばなりません」
「ルーギィは因縁の地で待つと言っていました」
「邪龍【アルヴァニスオロチ】を倒し、封印した場所でしょう」
「そこで何を?」
「復活の儀式を行うのかも知れません」
復活は阻止しないといけない。
だけど、俺の融合だけで勝てるのか?
「カケル、その事だが、既に他国の王に通達し、協力を仰いでいる。 その復活の儀式の場所が分かれば、各国から部隊が送られよう」
アイゼスト王は既に手を打ってくれていたようだな。
「冒険者ギルドにも協力を仰ぎ、急ぎその地へ向かうとしよう」
「ワシらも向かうぞ」
「私は各国の王に通達に参ります」
「俺様が1番乗りでそのルーギィとやらもぶっ倒してやるぜ!」
エクリシュさんと、ジュリムさんは王に挨拶をすると、すぐに行動にうつした。
「大精霊様、俺、邪龍の魂を取られたせいで、精霊との2人融合が出来なくなったようなんです」
そう大精霊様に告げると、首飾りからルマが飛び出してきた。
「カケル、大丈夫よ! 私に任せて!」
ルマが俺の周りを飛び回り、大精霊様を見ると、大精霊様は頷き消えて行った。
「ルマ、何か作戦でもあるのか? 誰かが犠牲になるとか嫌だぞ」
もう誰かが犠牲になるのは懲り懲りだ。
「そんな事ないわ。 ただ……」
「ただなんだよ?」
「カケルに負担がかかるかも知れない……」
「俺に? なら大丈夫だ」
「そう言うと思った」
俺に負担がかかる位ならなんて言う事は無い。
それでルーギィと戦えるならな。
話し合いはすんなり終わり、邪龍を復活させない為の作戦が始まった。
ジュリムさんが転移魔法で各国との連絡役、部隊の先頭には俺、マリウス師匠、コンデルミ国のトーマさん、遥か東の国のエラルドの国からフィフィさん、冒険者ギルドからA級以上の人達が参加し、その先頭には俺の知り合いと言う事でリアスとなった。
まだまだ集まってくるので、船が足らず往復させ、ヴァリアロンド大陸へ向かっている。
俺は対ルーギィ要員として、王の船で最後に出発だ。
港も騒がしくなり、あっという間に船が無くなる。
よし、俺達も行こう。
王の船に乗ると、アイゼスト王が既に乗っていた。
「私が前線に立たないでどうする!?」
とやる気満々だ。
多分大臣とかが引き止めても聞かなかったんだろうな。
ヴァリアロンド大陸へ着くと、既に様々な国の兵士、冒険者が降り立っていた。
「カケル!」
声をかけられ振り向いた先には、コンデルミ国の女王となった【アイジャ】がいた。
「アイジャ女王陛下、お久しぶりで御座います」
相手は王族なので、それなりの挨拶をしたつもりなのだが、アイジャは走り寄ってきて、抱きつかれた。
「久しいの! そんな堅苦しい挨拶は無しじゃ! アイジャで良い! またカケルに会えるとは嬉しいぞ!!」
近くにいたトーマさんが軽く頷いたので、堅苦しい挨拶はやめにした。
「アイジャ、久しぶりだね。 元気にしてた?」
「無論じゃ! 聞いておるぞ! カケルがこの作戦の切り札じゃと! さすが妾が見込んだ男じゃ!」
抱きしめて来る腕に力が入っているのがわかる。
「俺も頑張るけど、危なくなったら直ぐに逃げるんだぞ」
「大丈夫じゃ! カケルが守ってくれるんじゃからな!」
守れる時間が有れば良いけど……。
「俺も戦いではどうなるかわからない。 だから自分の身は自分で守ってくれよ」
「わかったのじゃ!」
「トーマさんが呼んでるよ」
渋々離れ大きく手を振りアイジャはトーマさんの元へ走って行った。
「ふ~ん……。 あんな少女の女王様にもモテるのね」
「いや、モテてるわけでは……」
そう後ろから声がしたので、振り向くと、リアスだ。
「まぁ、いいわ。 今回の戦いはどうなるか分からないんだもの。 でもこの戦いが終わったら、私との約束は守ってくれるんでしょ?」
リアスとの約束。 一緒に冒険する事だな。
「勿論だ。 だからリアスも無茶するなよ」
「勿論よ。 カケルも無茶するんじゃ無いわよ! 私との約束なんだから!」
リアスは歩きながら振り向き、指を俺に刺して冒険者達が集まっている場所へ向かっていった。
「初めましてじゃな。 カケル殿」
リアスとの話しが終わるのを待っていたようで、和装っぽい女の人に声をかけられた。
「拙者エラルド国の【フィフィ】と申します」
「は、初めまして。 カケルと申します」
「ふむ、流石に出来る御仁ですな。 一眼見て強さがわかりまする」
「あ、ありがとうございます」
異世界で初めて見る、黒髪ロングでポニーテールの和装をした女性。
胸のサラシがチラッと見え、腰にはソリがある刀らしき武器。
なんとも色気と言うか、艶っぽさがあり、少し緊張してしまう。
話し方も昔の日本のようだ。
「では、戦場でな」
和の甲冑に身を包んでいる兵士の元へ戻って行った。
この戦いが終わったら行ってみたい国が出来た。
各国の代表と話しが終わり、精霊達とルマに弄られていると、1人の兵士から至急の連絡が入る。
ルーギィを発見したが、その前には何百、何千の魔物が待ち構えていると。
「魔物は我々が何とかする。 カケルはルーギィを倒せ」
アイゼスト王は兵士を指揮しながら各国の代表へ話しに行った。
こちらは兵士、冒険者合わせれば数十万はいる。
皆んなが力を合わせれば負けない!
しばらくすると、各国の兵士、冒険者が魔物討伐へ動き出した。
魔物と兵士、冒険者の激しい激突が始まった。
まず冒険者、コンデルミ国、エラルド国の兵士が魔物に向かい、アイゼスト国の兵士は左右から回り込む。
冒険者達は魔物一体に尽き報償金が出る為、それを目当てで戦う人もいる。
兵士は国の為、待っている人の為だ。
だが、魔物はどれもランクが高い魔物ばかり。
数では勝っていても、ギリギリの戦いだ。
ルーギィはその戦いを空の上から見ている。
俺達も行くぞ。
ルマ、何かかんがえがあるんだよな?
ルマに問いかけるが返事が無い。
おい! ルマ! どうした!?
なんだ急に? 何かあったか?
返事の無いルマが気になるが、戦いは既に始まってしまっている。
『あたしと合体すればルーギィなんて軽く倒せるはずだ!』
エルザに言われ、ルマの事が気になるが、ルーギィを倒すのが先だ。
だけど、エルザでは空は飛べない。
ひとまずマリスと融合だな。
「白く猛り狂う聖なる風よ 盟約に基づきその真なる姿を見せよ!」
白い魔法陣から竜巻が現れ、その中に入り、マリスと融合する。
風の魔法で空からルーギィの元へ向かうが、空を飛んでいる魔物が邪魔をしてくる。
「邪魔するな!」
マリスのスピードなら魔物はついてこれない。
邪魔な魔物を全てぶった斬り、ルーギィの前に。
「思ったより早かったわね」
「今度は逃がさない」
「あら、情熱的なお誘いね。 ふふ、逃げる気なんて無いわよ。 逃げなきゃ行けないのはどちらになるかしら」
「どう言う意味だ!」
「そのままの意味よ」
ルーギィが常闇命珠を掲げる。
「させるか!」
俺の剣は常闇命珠を持っているルーギィの腕を切り落とした。
腕はだらんと地に落ちて行くが、宙に浮いている常闇命珠からの黒い光りが大きくなっていく。
「ふふ……、丁度いいわ。 貴方もここで見ているといい」
片腕を切り落とされたルーギィは切り落とされた部分を押さえながら、黒い光りを見ている。
黒い光りは次第に液体のようになり、地面に向かって落ちて行き、急速に広がって行く。
「ルーギィ! 何をした!」
「決まってるでしょ。 我等アルヴァニスオロチ復活の為の生贄よ!」
黒いドロドロとした液体は魔物、兵士、冒険者、構わず全て飲み込んで行く。
「に、逃げろーー!!」
兵士や冒険者達も危険に気が付いたようだが、魔物は構わず襲って来る為、逃げる者全て殺していく。
あれでは逃げられない。
「退避ーー!!」
前線に出ていた冒険者、兵士、魔物の死骸などは全て飲み込まれて行く。
黒い液体は際限なく広がり、港まで達していた。
「やめろーー!!」
俺は常闇命珠を何度も切るが、全て弾かれてしまう。
「そんな事しても無駄よ。 私を殺しても止まる事は無いんだから」
飲み込まれて行く魔物や人を見て笑みを浮かべていたルーギィが近寄ってくる。
「それにしても、人間って馬鹿よね。 これが罠だとも知らないで」
「罠だと!」
「そうよ。 復活には生贄が必要だもの。 それには大量の贄がね。 全部飲み込めば足りたのに、少し逃げちゃったかしら?」
船に間に合った人達はなんとか沖に出て助かっている。
「足りなくて残念だったな」
飲み込まれた人達の事を考えるが、今は目の前のルーギィを倒さなくては。
「足りないのなら足りるまで飲み込めば良いじゃ無い」
港まで達している黒い液体を見ると、海の中も上にも広がり、海の魔物まで取り込んでいる。
急いで離れている船も何隻かは、黒い液体に取り込まれ、沈んで行く。
「くそっ!!」
俺は急いで船まで戻り、マリスの風を船の帆に当て、黒い液体から距離を取らせる。
船に降り立ち、アイゼスト王の安否を確認しに行く。
一室に入ると、ジュリムさんと各国の代表と王が話し合っている。
「カケル、良い所に!」
アイジャが駆け寄って来た。
「あの黒いドロドロはなんじゃ?」
「あの液体には魔法も効いていませんでした」
「こちらの兵力もだいぶやられてしもうてな」
魔物との戦いでは互角だったが、黒い液体のせいで惨敗だ。
「ちっくしょう!!」
机をおもむろに殴り散らすエクリシュは悔しそうにしている。
俺も悔しい。
しばらくして、恐らく大陸全土に広がったであろう黒い液体はゆっくりと縮んで戻って行く。
「黒い液体が引いて行くぞ」
船の上で黒い液体を見ていたトーマさんが戻って来た。
「俺が行って見てきます」
マリスと融合し、黒い液体が戻って行く先を見る。
魔物や人の姿だけでなく、木々や生きとし生けるもの全て吸収したのか、見る影も無い。
空を飛んでいた魔物さえも黒い液体から触手のような物が伸びて引き摺り込んでいた。
液体は既に戻って一つの珠、常闇命珠に戻っている。
「カケル、待ってたわよ。 さあ、私の最後を見て!!」
ルーギィは自分の胸を剣で貫く。
「自分で! なにを!?」
「これで……、全ての魂が戻る!!」
「なんだと!?」
「復活よ!!」
ルーギィの持っていた黒い珠の事も気になるので、一度大精霊様に話しを聞きに港まで戻ってきていた。
ここまで魔物も出なかったし、大精霊様の元へ急ごう。
「カケルさん!」
船を降りた所でジュリムさんに声をかけられた。
「ジュリムさん! どうしてここに?」
「カケルさんを待っていました。 王が待っています。 急いで城まで行きますよ」
大精霊様の元へ急ぎたかったが、王様が呼んでいるのでは仕方ない。
ルーギィの話しもあるし、先に王様に話しをするか。
ジュリムさんの転移魔法であっと言う間に城の中に転移する。
「おお、カケルか。 待っておったぞ」
師匠の前に転移し、急いで玉座の間へ案内された。
中に入ると、王様とその隣に立っていたのは大精霊様だった。
「おお、カケルか。 待っていたぞ」
王様の前に通されると、すぐに話しが始まった。
「何故ここに大精霊様が?」
精霊の森から殆ど出る事の無い大精霊様がいて、何事かと思ったが報告の手間が省けたな。
「翔さんを待っていました。 ルーギィと戦ったのですね」
「はい。 でもルーギィは倒せず、俺と融合していた邪龍の魂をルーギィの持っていた黒い珠に取られてしまいました。 あの黒い珠は何ですか?」
大精霊様はしばらく黙ったまま、ゆっくりと口を開いた。
「あの珠は常闇命珠。 邪龍の体を封印した物です」
「邪龍の体を!?」
「そうです。 前の戦いで八つの魂の他に体も封印したのです」
「もしかして、俺の中にあった邪龍の魂で復活とかあるんでしょうか?」
これで復活とかしたら俺は戦えるのか?
「魂一つでは復活はしないでしょう。 八つの魂が必要となるはずです」
「ですが、八首斬影はルーギィだけで、七人倒しているはずです」
「そうですね。 しかし、常闇命珠が魂を吸収する物であれば、後はルーギィの魂だけとなります」
倒した魂が常闇命珠に取り込まれ復活するとなるなら、ルーギィが直ぐに自決しないのはおかしい。
「ルーギィはまだ何か企んでいるのでしょうか?」
「恐らく……、復活には何かが足りないのかも知れません。 ですからその前にルーギィを止めねばなりません」
「ルーギィは因縁の地で待つと言っていました」
「邪龍【アルヴァニスオロチ】を倒し、封印した場所でしょう」
「そこで何を?」
「復活の儀式を行うのかも知れません」
復活は阻止しないといけない。
だけど、俺の融合だけで勝てるのか?
「カケル、その事だが、既に他国の王に通達し、協力を仰いでいる。 その復活の儀式の場所が分かれば、各国から部隊が送られよう」
アイゼスト王は既に手を打ってくれていたようだな。
「冒険者ギルドにも協力を仰ぎ、急ぎその地へ向かうとしよう」
「ワシらも向かうぞ」
「私は各国の王に通達に参ります」
「俺様が1番乗りでそのルーギィとやらもぶっ倒してやるぜ!」
エクリシュさんと、ジュリムさんは王に挨拶をすると、すぐに行動にうつした。
「大精霊様、俺、邪龍の魂を取られたせいで、精霊との2人融合が出来なくなったようなんです」
そう大精霊様に告げると、首飾りからルマが飛び出してきた。
「カケル、大丈夫よ! 私に任せて!」
ルマが俺の周りを飛び回り、大精霊様を見ると、大精霊様は頷き消えて行った。
「ルマ、何か作戦でもあるのか? 誰かが犠牲になるとか嫌だぞ」
もう誰かが犠牲になるのは懲り懲りだ。
「そんな事ないわ。 ただ……」
「ただなんだよ?」
「カケルに負担がかかるかも知れない……」
「俺に? なら大丈夫だ」
「そう言うと思った」
俺に負担がかかる位ならなんて言う事は無い。
それでルーギィと戦えるならな。
話し合いはすんなり終わり、邪龍を復活させない為の作戦が始まった。
ジュリムさんが転移魔法で各国との連絡役、部隊の先頭には俺、マリウス師匠、コンデルミ国のトーマさん、遥か東の国のエラルドの国からフィフィさん、冒険者ギルドからA級以上の人達が参加し、その先頭には俺の知り合いと言う事でリアスとなった。
まだまだ集まってくるので、船が足らず往復させ、ヴァリアロンド大陸へ向かっている。
俺は対ルーギィ要員として、王の船で最後に出発だ。
港も騒がしくなり、あっという間に船が無くなる。
よし、俺達も行こう。
王の船に乗ると、アイゼスト王が既に乗っていた。
「私が前線に立たないでどうする!?」
とやる気満々だ。
多分大臣とかが引き止めても聞かなかったんだろうな。
ヴァリアロンド大陸へ着くと、既に様々な国の兵士、冒険者が降り立っていた。
「カケル!」
声をかけられ振り向いた先には、コンデルミ国の女王となった【アイジャ】がいた。
「アイジャ女王陛下、お久しぶりで御座います」
相手は王族なので、それなりの挨拶をしたつもりなのだが、アイジャは走り寄ってきて、抱きつかれた。
「久しいの! そんな堅苦しい挨拶は無しじゃ! アイジャで良い! またカケルに会えるとは嬉しいぞ!!」
近くにいたトーマさんが軽く頷いたので、堅苦しい挨拶はやめにした。
「アイジャ、久しぶりだね。 元気にしてた?」
「無論じゃ! 聞いておるぞ! カケルがこの作戦の切り札じゃと! さすが妾が見込んだ男じゃ!」
抱きしめて来る腕に力が入っているのがわかる。
「俺も頑張るけど、危なくなったら直ぐに逃げるんだぞ」
「大丈夫じゃ! カケルが守ってくれるんじゃからな!」
守れる時間が有れば良いけど……。
「俺も戦いではどうなるかわからない。 だから自分の身は自分で守ってくれよ」
「わかったのじゃ!」
「トーマさんが呼んでるよ」
渋々離れ大きく手を振りアイジャはトーマさんの元へ走って行った。
「ふ~ん……。 あんな少女の女王様にもモテるのね」
「いや、モテてるわけでは……」
そう後ろから声がしたので、振り向くと、リアスだ。
「まぁ、いいわ。 今回の戦いはどうなるか分からないんだもの。 でもこの戦いが終わったら、私との約束は守ってくれるんでしょ?」
リアスとの約束。 一緒に冒険する事だな。
「勿論だ。 だからリアスも無茶するなよ」
「勿論よ。 カケルも無茶するんじゃ無いわよ! 私との約束なんだから!」
リアスは歩きながら振り向き、指を俺に刺して冒険者達が集まっている場所へ向かっていった。
「初めましてじゃな。 カケル殿」
リアスとの話しが終わるのを待っていたようで、和装っぽい女の人に声をかけられた。
「拙者エラルド国の【フィフィ】と申します」
「は、初めまして。 カケルと申します」
「ふむ、流石に出来る御仁ですな。 一眼見て強さがわかりまする」
「あ、ありがとうございます」
異世界で初めて見る、黒髪ロングでポニーテールの和装をした女性。
胸のサラシがチラッと見え、腰にはソリがある刀らしき武器。
なんとも色気と言うか、艶っぽさがあり、少し緊張してしまう。
話し方も昔の日本のようだ。
「では、戦場でな」
和の甲冑に身を包んでいる兵士の元へ戻って行った。
この戦いが終わったら行ってみたい国が出来た。
各国の代表と話しが終わり、精霊達とルマに弄られていると、1人の兵士から至急の連絡が入る。
ルーギィを発見したが、その前には何百、何千の魔物が待ち構えていると。
「魔物は我々が何とかする。 カケルはルーギィを倒せ」
アイゼスト王は兵士を指揮しながら各国の代表へ話しに行った。
こちらは兵士、冒険者合わせれば数十万はいる。
皆んなが力を合わせれば負けない!
しばらくすると、各国の兵士、冒険者が魔物討伐へ動き出した。
魔物と兵士、冒険者の激しい激突が始まった。
まず冒険者、コンデルミ国、エラルド国の兵士が魔物に向かい、アイゼスト国の兵士は左右から回り込む。
冒険者達は魔物一体に尽き報償金が出る為、それを目当てで戦う人もいる。
兵士は国の為、待っている人の為だ。
だが、魔物はどれもランクが高い魔物ばかり。
数では勝っていても、ギリギリの戦いだ。
ルーギィはその戦いを空の上から見ている。
俺達も行くぞ。
ルマ、何かかんがえがあるんだよな?
ルマに問いかけるが返事が無い。
おい! ルマ! どうした!?
なんだ急に? 何かあったか?
返事の無いルマが気になるが、戦いは既に始まってしまっている。
『あたしと合体すればルーギィなんて軽く倒せるはずだ!』
エルザに言われ、ルマの事が気になるが、ルーギィを倒すのが先だ。
だけど、エルザでは空は飛べない。
ひとまずマリスと融合だな。
「白く猛り狂う聖なる風よ 盟約に基づきその真なる姿を見せよ!」
白い魔法陣から竜巻が現れ、その中に入り、マリスと融合する。
風の魔法で空からルーギィの元へ向かうが、空を飛んでいる魔物が邪魔をしてくる。
「邪魔するな!」
マリスのスピードなら魔物はついてこれない。
邪魔な魔物を全てぶった斬り、ルーギィの前に。
「思ったより早かったわね」
「今度は逃がさない」
「あら、情熱的なお誘いね。 ふふ、逃げる気なんて無いわよ。 逃げなきゃ行けないのはどちらになるかしら」
「どう言う意味だ!」
「そのままの意味よ」
ルーギィが常闇命珠を掲げる。
「させるか!」
俺の剣は常闇命珠を持っているルーギィの腕を切り落とした。
腕はだらんと地に落ちて行くが、宙に浮いている常闇命珠からの黒い光りが大きくなっていく。
「ふふ……、丁度いいわ。 貴方もここで見ているといい」
片腕を切り落とされたルーギィは切り落とされた部分を押さえながら、黒い光りを見ている。
黒い光りは次第に液体のようになり、地面に向かって落ちて行き、急速に広がって行く。
「ルーギィ! 何をした!」
「決まってるでしょ。 我等アルヴァニスオロチ復活の為の生贄よ!」
黒いドロドロとした液体は魔物、兵士、冒険者、構わず全て飲み込んで行く。
「に、逃げろーー!!」
兵士や冒険者達も危険に気が付いたようだが、魔物は構わず襲って来る為、逃げる者全て殺していく。
あれでは逃げられない。
「退避ーー!!」
前線に出ていた冒険者、兵士、魔物の死骸などは全て飲み込まれて行く。
黒い液体は際限なく広がり、港まで達していた。
「やめろーー!!」
俺は常闇命珠を何度も切るが、全て弾かれてしまう。
「そんな事しても無駄よ。 私を殺しても止まる事は無いんだから」
飲み込まれて行く魔物や人を見て笑みを浮かべていたルーギィが近寄ってくる。
「それにしても、人間って馬鹿よね。 これが罠だとも知らないで」
「罠だと!」
「そうよ。 復活には生贄が必要だもの。 それには大量の贄がね。 全部飲み込めば足りたのに、少し逃げちゃったかしら?」
船に間に合った人達はなんとか沖に出て助かっている。
「足りなくて残念だったな」
飲み込まれた人達の事を考えるが、今は目の前のルーギィを倒さなくては。
「足りないのなら足りるまで飲み込めば良いじゃ無い」
港まで達している黒い液体を見ると、海の中も上にも広がり、海の魔物まで取り込んでいる。
急いで離れている船も何隻かは、黒い液体に取り込まれ、沈んで行く。
「くそっ!!」
俺は急いで船まで戻り、マリスの風を船の帆に当て、黒い液体から距離を取らせる。
船に降り立ち、アイゼスト王の安否を確認しに行く。
一室に入ると、ジュリムさんと各国の代表と王が話し合っている。
「カケル、良い所に!」
アイジャが駆け寄って来た。
「あの黒いドロドロはなんじゃ?」
「あの液体には魔法も効いていませんでした」
「こちらの兵力もだいぶやられてしもうてな」
魔物との戦いでは互角だったが、黒い液体のせいで惨敗だ。
「ちっくしょう!!」
机をおもむろに殴り散らすエクリシュは悔しそうにしている。
俺も悔しい。
しばらくして、恐らく大陸全土に広がったであろう黒い液体はゆっくりと縮んで戻って行く。
「黒い液体が引いて行くぞ」
船の上で黒い液体を見ていたトーマさんが戻って来た。
「俺が行って見てきます」
マリスと融合し、黒い液体が戻って行く先を見る。
魔物や人の姿だけでなく、木々や生きとし生けるもの全て吸収したのか、見る影も無い。
空を飛んでいた魔物さえも黒い液体から触手のような物が伸びて引き摺り込んでいた。
液体は既に戻って一つの珠、常闇命珠に戻っている。
「カケル、待ってたわよ。 さあ、私の最後を見て!!」
ルーギィは自分の胸を剣で貫く。
「自分で! なにを!?」
「これで……、全ての魂が戻る!!」
「なんだと!?」
「復活よ!!」
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捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~
荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。
それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。
「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」
『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。
しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。
家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。
メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。
努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。
『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』
※別サイトにも掲載しています。
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