俺の魔力は悠々自適 〜精霊達と気ままな旅路〜

かなちょろ

文字の大きさ
72 / 72

第72話 魂の行方

しおりを挟む
 アルヴァニスオロチの魂を自分の魂と融合させる事に成功した俺は、ついにアルヴァニスオロチをその身に封じた。
 しかし、俺の体はアルヴァニスオロチの影響か、魔物の姿へと変わり果ててしまう。
 アルヴァニスオロチが復活しないようにと、俺は自分の魂ごと消滅する選択をしたのだ。
 そこに大精霊様が現れ、大精霊様の持っていた女神の槍で俺の魂ごとアルヴァニスオロチの魂に突き刺さる。

 女神の槍によって突かれた俺の体は、指先から少しずつ塵となって行く。
 その場に跪き、倒れた俺の元に5色の光りとルマが飛んで来ると、まだ突き刺さっている槍を抜こうと必死になっている。
 勿論、抜ける事は無い。
 それを見たアイジャが同じ様に槍に手を伸ばすが、バチッと弾かれる。
 この槍は精霊か妖精にしか触れない様だ。

 槍の矛先が完全に俺の魂に突き刺さり、槍が魂に入って、消えていくのを感じる。

 俺は槍を必死で抜こうとしている皆んなを抱きしめ、「ありがとう」とだけ伝える事が出来た……。


 ━━━━━━━━━━━━?年後

 俺が消えてから1年? 2年? 5年? 何年経ったのかわからない。
 俺はアルヴァニスオロチの魂と共に消滅したはず。
 ……はずだったが、なんだか意識がある。
 ふわふわとした感じだ。

 まだ生きてるのか?
 ここは何処なんだ?
 わからない……。
 なんだかまた眠たくなってきた……。

 ━━━━━━━━━━━━
「ちょっとエルザ、次の町では勝手に酒場に行かないでよね!」
「わかってるって」
 
 まだまだ先の長い草原をリアスはブツブツと独り言のように文句を言って歩いている。

「カケルが消えた後、貴女達がまだカケルは生きてるって言うから、皆んなで手分けして探すってなったのに、町に着くとすぐ酒場にいっちゃうんだから」
「だから悪かったって、でも情報って言ったら酒場だろ?」
「まぁそうだけど……」

 ━━━━━━━━━━━━

「ちょっとお兄ちゃん! そっち行ったら魔物の巣があるでしょ! 危ないから回り道しようって言ったのお兄ちゃんじゃない!」
「ふふ、テイルさんは相変わらずですね」
「本当お兄ちゃんには困っちゃう。 あれでBランクなんだから……シルクさん、魔物が出たらお願いします」
「勿論ですわ」
 
 テイルとメルは森の中を彷徨っているようだ。

 ━━━━━━━━━━━━

「ねえねえアミル、次の町にいるかな?」
「そうですね、いると良いですね。 頑張って探しましょうね」
「うん! 僕も頑張って探すよ!」
 
 冒険者になりたてのアミルとマリスはディメールの町を旅立ったばかりだ。

 ━━━━━━━━━━━━

「なあシャル、本当にこんな道を通って来たのか?」
「そうですよ。 あの時は大変だったんですから」
 
 少し大きくなったタケルは冒険者となり、シャルと共にあの崖にいる。

「この川を下りましょう』」
「それだとストークレイルに戻っちゃうじゃん」
「お母さんと会うのも久しぶりですね」
「べ、別に会いたいわけじゃないや」

 タケルは耳を赤くしながら川を下って行く。

 ━━━━━━━━━━━━

「おいジュリム」
「なんですか?」
「あいつをなんとかしろ」
「そうですね~、でも可愛いし、良いんじゃありません?」
「よく無いだろ!」
 
 エクリシュの目線の先には花畑を飛んでいる蝶々にじゃれついているラジュナの姿がある。

「はあ~……、ったく、いつになったら次の場所に行けるんだ?」
 
 呆れ顔のエクリシュに対し、ジュリムは笑っていた。

 ━━━━━━━━━━━━

「なあルマ、本当に1人で行く気かよ?」
「勿論よ」
「危なく無い?」
「旅慣れてるし、それにほら」
 
 新しい首飾りが光り、人と同じサイズまで成長する。

「これなら大丈夫でしょ?」
「でもでも、妖精ってバレたら売り飛ばされちゃう」
「解剖されるかもだぞ!」
「バレないようにするし、それにコンデルミのアイジャから捜索隊に参加してほしいって言われてるしね」
 
 ルマは妖精の森で心配するンパとピピと話し合っていた。

「じゃあね、今度来る時はカケルも一緒よ」

 ルマは妖精の森を1人、あとにした。

 ━━━━━━━━━━━━

 俺はまだこの世界にいる。
 どうやらあの女神の槍が俺の魂だけ消滅から防いでくれたようだ。
 でも自分が何処にいるかはわからない。
 俺は待っている事しか出来ない。
 でもこの暗い洞窟の様な場所からきっと皆んなが見つけてくれる筈だ。
 その時こそ約束を守ろう。
 その時こそ俺達の新しい旅が始まるんだ。
 だから何年でも待つ。
 何年でも……。

 ━━━━━━━━━━━━━
 
 岩の隙間から光りが見える。
 大きな岩はゆっくりと動き始め、光が中に入って来た。
 俺はその場からは動く事が出来ない。
 その光りの場所には、15人もの人影が見える。
 その内の6人が俺の元へ駆け寄って来る。
 そして5人が俺の中に入ると、変化が起きた。
 魂だけの様に光っていた俺は、人の形へと変化し、元の人へと戻っていた。

 妖精のルマは涙を流しながら、俺の首に自分の首飾りをかけ、抱きついて来る。

 頭の中で響く声、抱きついて泣いて叫ぶ声、他の人も俺の周りに集まり、俺の名前を呼んでくれる。

『『やっと見つけた』』
「「カケル、やっと会えた」」

「皆んな……見つけてくれてありがとう」



 そして、今は11人と1匹で旅をしている。
 精霊の5人、妖精3人、リアスとラビ、アミル、タケル。
 魔物との戦い、知らない町、美味しい料理、見た事も無い絶景と、異世界を満喫している。
 悠々自適な生活。
 まだまだ旅は終わらない。
 どこまでも遥か地平線の向こうまで……。


 ~~~~~Fin
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。  ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。  剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。  ――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。  面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。  そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。  「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。  昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。  ……だから、今度は俺が――。  現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。  少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。  引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。 ※こんな物も召喚して欲しいなって 言うのがあればリクエストして下さい。 出せるか分かりませんがやってみます。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

処理中です...