俺の魔力は悠々自適 〜精霊達と気ままな旅路〜

かなちょろ

文字の大きさ
1 / 72

第1話 【いきなり異世界】

しおりを挟む
 その日はいつもと違う事ばかりだった。
 今日から大学生としての一日目。
  俺は学校に向かう途中でトラックに轢かれて死んだ……はず?
 気がつけば一人、今までいた場所とは違うモヤのかかった場所にいた。

 ここがあの世?
 突然目の前には五つの光が現れ、聞いたことのない言語なのか音なのかで語りかけてくる。
 その五つの光は俺の体の中に入り、俺は意識がなくなり眠りについた。

 「はっ!」

 トラックに轢かれる瞬間を夢に見てビクッとして目が覚める。
 どうやら道端で眠っていたのか……。
 体を起こし、辺りを見渡すと全く見たことのない場所にいる。

 ………は?

 まだ日が明るいので、周りは良く見えるが、周りには木しかない。
 どこだよ……ここは……。

 服はそのままだが、持っていた荷物は無い。
 とりあえず、歩いてみるか……。
 こんなわけわからない場所で野宿はごめんだ。

 少し歩いていると、草むらから突然緑色の肌をした小柄な化物がギラリと光るナイフを持って現れた。

「ひっ!」

 見た事も無い生物……化物……?

 俺は走って逃げた!
 道なんてわからないけど、少しでも化物から離れようと走った。
 でも逃げた場所が悪かったようだ。 目の前は崖。 結構な高さがあり、飛び降りるのは無理。

 キーッ!!
 さっきの緑の化物がナイフを舐めながら近づいてくる。
 なんとか横をすり抜けようと、距離を取る……が、林の中から更に4人出てきた。
 5人の緑の化物が扇状に広がり距離を詰めてくる。

「く、くるなー!」

 俺は崖ギリギリまで詰め寄り、その辺の石を投げる。
 当たらねー!
 すっかり囲まれてしまい、絶体絶命。

 ………っ……ぇ……。
 何か頭の中に声が聞こえたような……?

『あた……つか……え……』

 また聞こえる。
 なんだ? 誰なんだ?

『あたしを使えって言ってんだよ!!このおたんこナス!!』
「うわあっ!!」

 急に頭の中ででかい声が響くと、突然目の前に綺麗な赤い魔法陣のようなものが浮かび輝く。

『良いか!これから私の言う通り叫べ!!』

 なんだか良くわからないが、わかった。

『赤き紅より真紅に燃えし心なる火種 盟約に基づきその姿を見せよ……だ!』
「赤き紅よ……り……」

 ……恥ずかしー!!
 なんだこの厨二病的な言葉は!!

『早く叫びな!死にたいのか!!』

 そうだった。
 緑の化物はすぐ目の前まで来て飛びかかってきた。

 ギャン!

 赤い魔法陣に弾かれて1人が吹っ飛ばされる。

 それを見た他の4人は少し距離を取って魔法陣が消えるのを待ち、構える。

「えーと、赤き紅より真紅に燃えし……」
『しんなるひだね』
「心なる火種」
『めいやくにもとづき』
「盟約に基づき」
『そのすがたをみせよ』
「その姿を見せよ」
 
 言い終わると魔法陣が輝き、そこから赤い髪の毛の女の人が出てきた!

「ふー……久しぶりに暴れられるぜ」

 そう言うと片手から火の玉が現れ、緑の人に向けて発射する。
 その内の1人に当たり、断末魔とともに焼け焦げた。

 残りの3人は赤髪の人に向かってくる。

「私とやろうってのか! いいねぇ! あーはっはっは!」

 赤髪の人は笑いながら向かってくる緑の化物に向かって火の玉を連射してる。
 緑の化物は避けながらも1人また1人と当たり、残りは最後の1人となった。

 キー!!
 緑の化物は叫びながら森の中へ逃げ出す。
 俺もあんなの見たら逃げ出すよ……。

「お、なんだよ……逃げちまうのかよ……」
 赤髪の人は片手を下ろすと……。
「逃すわけねーだろ!!」
 そう言ってもう一度片手を上げると逃げる化物に向かってでかい火の玉を放つ。

 おそらく緑の化物は一瞬で蒸発してしまったであろう……。
 森にでかいクレーターが出来てしまっているのを見れば一目瞭然だね……。

「ったく……不完全燃焼だぜ……」
 赤髪の人は頭をかきながらこちらに振り向く。

「え……と……」
 今の惨状を見てしまって、俺はかなりビビってるからね……。

「あー……あたしはエルザ。 火の精霊だ」
「お、俺は安龍 翔あんりゅう かける18歳だ」

「翔だな。 よろしく」
「よ、よろしく」

 手を差し出されて思わず握手してしまったが、この人は一体なんだ? 精霊とか言ってたけど……?

 握手をしながらジロジロと見てしまった。

 髪は赤髪のロングヘアー、少しボサボサしてる。
 胸は結構ある。 腰は……腹筋すげぇ!
 よく見ると全体的にがっしりしてる。

「お、なんだ、あたしの身体に興味あるのか?」
 ニヤニヤしながら顔を覗き込むのはやめて……。
 腹筋が凄いだけだから…そこを見てただけだから……。

「なかなか良い身体してるだろ?」
「そ、そだねー……」
「さてと、自己紹介も済んだし、近くの村まで行くとするか」

 ちょっと待って。 まだ何にもわからないんだけど?

「ちょ、ちょっと待って。 俺まだ何にも理解してないんだけど?」
「……めんどくせぇな……。 説明なら村に着いてからしてやるからとっとと行くぞ!」
 更にちょっと待て!!
「その格好で行くのか?」
「なんか変か?」

 エルザの格好は全体的に水着の様。
 首、腕、胸、下腹部、足、まではカバーしてるけど、他は出てるからね。
 説明はしたけど……。

「これは服じゃなくて、体の一部みたいなもんだからな。 ほら」

 ふにゅ。

「あ、柔らか…。いっ!!」

 赤い布の様な部分に俺の手を持って触らせたのは胸の部分だった……。

「柔らかいだろぅ……?」
 ニヤニヤしながら話してくる。
 すかさず手を離したが、感触はまぁ、良かったです。
「なら、余計にそんな格好じゃ村なんかに行けないだろ?」
「あたしは気にしないけどな」

 俺が気にするつーの。
「まぁ、いいや、なら村着いたらまた召喚してくれよ」
 そう言って赤い魔法陣が出現し、その中へ消えていく。

『そうそう、言い忘れてたけど、あたし達精霊を召喚するには魔力が必要だからなー。 今の翔の魔力だとあと一回が限界っぽいから気をつけろよー』

 頭の中で話が聞こえてくる。
 おい! 村まではどうやって行ったら良いんだよ!

『あたしが知るわけないだろ。 適当に歩ってればそのうち着くさ』

 おいーー!!
 なんて適当なんだ……。
 とは言え、ここにいてもまた化物が出てくるかも知れないからな。
 遭難の時はやってはいけない下山を始めるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです

桐山じゃろ
ファンタジー
日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

処理中です...