俺の魔力は悠々自適 〜精霊達と気ままな旅路〜

かなちょろ

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第20話 服とダンスとイカ退治 その4

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 ストークレイルの祭りに参加する事にした俺達はランダさんの家に泊めてもらい、祭り当日となった。

「昨日にもまして賑わってるな」
「あちこちから良い匂いもしてきますわ」
「凄い綺麗な街ですね」

 シャルは街の中を探索するのは今日が初めてで感激している。

「こちらのフルーツも美味しいんですのよ」
 
 シルクは昨日立ち寄った出店の説明を楽しそうにシャルに話している。
 昨日歩いた大通りにはロープが張られ、通りが制限されていた。

「ここで何かあるのでしょうか?」
「何だろうな?」
 
 俺とシャルがロープの張られた通りを見ていると後ろから声がかかる。

「あら、知らないの? ここはパレードとダンス場になってるのよ」
 
 声をかけられ後ろを振り向くと誰もいない。

「こっちよ! こっち!」

 下を見るとリアスが手を腰に当て立っていた。
 ゲシッ! と足を踏まれる。

「いてぇ」
「全くいつもいつも同じ事して~」
「悪かったって。 それで何でリアスがここに?」
「そ、それは……、依頼を受けただけよ!」
 
 そう言えばディメールで依頼を受けて出かけたと聞いてたな。

「あら、リアスさんお久しぶりですわ」
「お久しぶりです」
「精霊様も久しぶりね」
「リアスの用事は終わったのかい?」
「そ、そうね、とりあえずは終わったわよ」
「この後は祭りに?」
「そうね、楽しそうだし、少し見ていくくらいは良いかもね」
「では一緒に回りませんか?」
「し、仕方ないわね。 一緒に回ってあげても良いわよ」
 
 シャルはリアスに声をかけ、一緒に回る事となった。

『翔、そろそろ召喚してくれても良いんじゃねぇか?』
『そうだよ~、シルク達ばかりずるいよ~』
 
 わかったわかった。
 とりあえず人のいない脇道でこっそりとエルザとマリスを召喚した。

「あれ? 新しい服着てるのか?」
 
 エルザもマリスもパラキ村で作ってもらった服を着て出て来た。

「これからダンスがあるんだろ? 翔と踊るならちゃんとした服を着ておかないとな」
「兄ちゃんは僕と踊るんだよ!」
「あたしと踊るんだ!」
 
 2人の睨み合いが始まった。

「まぁまぁ、順番にな」

 エルザ、マリスの2人をシルク達の元に連れて行くと、シルクもシャルも着替えたいとの事で、魔法陣へ戻りもう一度召喚した。
 こうして精霊4人とリアス、俺で祭りを楽しむ事にした。
 日も暮れ始めると街の冒険者がパレードのために大通りの警備と交通整理を始めた。

「あれ? カケルさん?」
 
 警備をしている冒険者から声をかけられ、よく見ると冒険者のメルさんだった。

「久しぶりです! メルさんもお祭りに?」
「私と兄さんはここの警備にあたっているの」
 
 メルさんは俺の後ろにいる精霊皆んなを見て、「精霊様達も元気そうね」とエルザ達に手を振っている。

「私は警備しなきゃ行けないから、カケルさんは楽しんでね」
「そうします」
 
 メルさんは忙しそうに警備に戻って行った。
 久しぶりだなぁ。 テイルさんも何処かで警備してるのか。

 しばらくすると軽快な音楽と共に楽団がパレードを始め、その後ろには藁で作られた海の神様を模った大きな神像が海の男たちにより縄で引っ張られ、その後ろには海で取れる魚などを模った物が横切る。

「結構迫力あるな」
 
 松明によって照らされた神像は大きく、男達の気合いで更に迫力が増している。

「翔様凄いですわね」
「僕もこんなの見た事ないよ」
「凄いです」
「あたしも引っ張りてぇな」
「カケル、どう?」
 
 リアスが聞いてくる。

「ああ、凄かったよ。 迫力もあったし」
「楽しみはこれからよ」

 神像のパレードが終わると最初にいた楽団が戻って来て並び出す。

「さあ皆さま! これより漁場祭の最後を飾るダンスパーティーが始まります! 参加は自由です! 友人、恋人、ご家族で大いに楽しんでください!」
 
 楽団員が話し終えると音楽が流れ始めた。

「翔行くぞ!」

 エルザに手を引かれ皆んなが踊っている大通りの中へ。
 エルザとペアで踊るが踊りなんて小学校依頼していないからぎこちない。

「あたしに任せな」

 エルザがリードしてくれ、新しい服と相まって情熱的なダンスとなった。

「次はわたくしですわ」

 軽快な音楽からゆっくりとしたムードのある音楽に変わるとシルクが手を取り社交ダンスのように組んで踊る。
 何度も足を踏みそうになるが、シルクがうまくリードしてくれたので形にはなった。

「次は僕だね。 行こう兄ちゃん!」

 アップテンポな曲に変わり、マリスと踊るがマリスのステップが凄すぎてついて行けない!
 周りの人もマリスのステップに大盛り上がり。
 俺も楽しませてもらった。

「私はダンス出来ないので……」
 
 シャルはそう言うが、せっかくだからと俺のぎこちないダンスに誘った。
 丁度ゆったりとしたムードの曲に変わったので、さっきシルクと踊ったようにシャルと踊る。
 出来ないと言っていたが、俺なんかより全然踊れる……。

「最後は私ね」
「え? リアスは踊れるの?」
「失礼ね! 私だって踊れるわよ! 着いてきなさい!」
 
 軽快な曲になるとリアスのフードからラビも出て来て一緒に踊り出す。

「カケルももっと楽しんで!」
「ああそうだな。 よし、皆んなも踊ろう!」
「いいぜ!」
「そうしましょう!」
「はーい!」
「わかりました」
 
 皆んなが大通りに入ると音楽も激しくなって周りの人達も一斉に踊り出す。
 踊れないとか関係無く、超楽しい。
 音楽も終わり、ダンスイベントも終了したところで今年の漁場祭の
巫女を発表する時間がやってきた。

「皆様! 今年の漁場祭は楽しんで頂けましたかな? 無事に祭りも行う事が出来たところで、今年の巫女を発表したいと思います!」
 
 身長の低い小太りな白髭を生やしたおじさんが高台から話し始める。
 多分この人がストークレイルの代表だろう。

「今年は誰になるかしら?」
 
 リアスも結構楽しみにしている様子。

「あたしだろ」
「僕だよ」
「あら、わたくしですわ」
「私は良いです」
 
 皆んな発表を楽しみにしている。 その時!

 ドォンンン……。

 沖にある大きな帆船が爆発音と共に炎上をしている。

「な、な、何事じゃあ!」
 
 代表のおじさんが腰を抜かして倒れた。

「あ、あれを見ろ!!」
 
 モクモクも上がる煙の中きらヌラッと長い触手が見える。

「シーブルウィードだ!!」
「なんでアイツがこの海に!」
「とにかく船にいる連中は岸に上げないと!」
 
 ダンス会場だった大通りがざわつき始めた。

「シーブルウィード? 確か何処かで……、そうだカードゲームで……」
「カケル! 早く離れないと!」
「でも!?」
「あんた知らないの!? シーブルウィードってAランク冒険者でも手こずる相手よ! ここにいる冒険者じゃ太刀打ちできないわよ!」
「それはあたし達でもか?」
 
 エルザ達はやる気満々のようだ。

「いくらエルザ達でも無茶じゃないか? 相手は海にいるんだぞ!」
「そうよ、いくら精霊様達が強くても相手が悪いわ!」
「私に考えがあります」
 
 シャルが眼鏡をクイッと上げるとキラリと光る。

「行くぜ、精霊様方よ! お前らー! 気合い入れろよー!」
「「おおー!!」」
 
 海の屈強な男達が各々舟を出し、1人ずつその舟に乗ってシーブルウィードのいる海域に向かっている。
 この作戦はシャルがエルザを連れ、神像を引いていた男達に説明し、今にいたる。

「しかし嬢ちゃん達が精霊様だったとはな」
「強い訳だぜ」
「ナンガ、言い訳はみっともねぇぞー!」
「ちげぇねぇ」
 
 男達はガハハと笑いながらランクAの魔物に向かっている。

「そろそろ奴の海域だ、精霊様達の準備は良いか?」
「もちろんだ。 皆んな頼むぞ」
「ああ」
「もちろんですわ」
「おー!」
「頑張ります」

 この舟の後ろにはイカダをいくつかくっつけてある。
 敵の攻撃を躱したり攻撃する時の足場として使うようだ。
 漁師達は舟から錘を落とし、流されないようにすると、自分達は泳いで岸まで戻って行く。
 さすが海の男だな。

 海面が盛り上がると海中からシーブルウィードの触手と頭が出てくる。
 あれは……、うん、イカだな。
 違う所は超巨大と言う所だろう。

 大きなイカの足が遅いかかってくる。
 エルザとマリスは器用に舟とイカダに飛び移り攻撃を躱し、火球と空気の刃で攻撃をしている。

「焼きシーブルにしてやるぜ!」
 
 エルザの火球が足にヒットするが少し焦げ付くだけであまりダメージにはなっていない。

「バラバラになっちゃえー!」
 
 マリスの風の刃が足を切り裂くが、すぐに再生を始める。

「兄ちゃん! キリがないよ~」
「マリス! 攻撃の手を休めんな!」
 
 エルザにどやされる。

「シルク、準備は!?」
「もう少しですわ」
 
 2人は攻撃、シルクは水面に両手を当てて魔力を送っている。

「いきますわ!」
 
 シルクの魔法陣が巨大に展開され、海が魔法陣の形に割れシーブルウィードと俺達は海底へ落ちる。

「うわああああ!」
「わたくしに任せて下さいませ」
 
 落ちて行く俺をシルクがお姫様抱っこで海底まで運ばれる。

「これで私も攻撃できます!」
 
 シェルは地面に手を当て、シーブルウィードの足元から石の棘を出し、足と体に穴を開ける。

「ダメだ! 再生してる!」
 
 シーブルウィードの傷はどんどん再生して行く。

「くそっ!」
「この状態はあまり長くは持ちませんことよ!」
「ここまで時間稼いでくれれば十分だ!」
 
 エルザは空を見てみろと言わんばかりに目線を促す。
 空には巨大な火球が浮かんでいる。

「おいおい、こんな魔法が落ちてきたら俺達もただじゃ済まないぞ!」
「任せて下さいまし」
 
 シルクが魔法で俺達を泡で包み込む。

「いっくよー!」

 マリスが突風で俺達を包んだ泡ごと吹き飛ばす。

「うわあああー!」

 俺達が岸辺まで飛ばされて来た時、巨大な火球がシーブルウィードに落ちる。

 轟音と共に海が元に戻るとボコボコと音を立てて沸騰していた。
 その後、海が静かになるとシーブルウィードの焦げた足が浮かび上がる。
 それと同時に岸から大歓声が上がる。
 そして俺達は街の人達に全員酒場へ連行された。
 エルザだけは上機嫌だったけどな。

「あら、負けちゃったわね~……フフ……」
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