俺の魔力は悠々自適 〜精霊達と気ままな旅路〜

かなちょろ

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第33話 妖精の仲間と砂漠の王国

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 白い精霊命珠エレメンタルメージュを手に入れる事が出来たが、ルマが魔物ボルボルの毒にやられ意識が戻らない。
 ボルボルを倒した後、意識を取り戻したルマは忽然と俺の前から消えてしまっていた。

 手を握って居たはずなのに、突然消えた。
 ラジュナに聞いても『わかりません』と言われてしまう。
 俺は……どうして……、仲間を助けられない……。
 俺が弱すぎるからか……。
 強ければあんな魔物もすぐに倒せたはずだ。
 強く、強くならならなければ……。

 テイルさん、メルさんと共にマナシュラを後にし、俺達はアイゼスト王国まで戻る事にした。
 テイルさん、メルさんはランクも上がり、D級冒険者となっていた。
 ランクも上がったので、アイゼススタッドの港町へ冒険に来ていた所声をかけられたそうだ。

「カケルさん、気を落とさないで下さいね」
「大丈夫です」
 「「……」」

 2人は俺が落ち込んでいるのを慰めてくれているようだが、俺が弱くて精霊達、そしてルマを失った事実は変わらない。
 エルザ、シルク、マリス、シャルは精霊命珠エレメンタルメージュが有れば元に戻れるだろう。
 だけど……ルマは……。

 アイゼスト王国まで戻った俺はテイルさん、メルさんと別れ、マリウスさんの元へ行き、修行する事にした。
 最初はマリウスさんに断られていたが、俺が1週間1日中部屋の前で頭を下げていたので根気負けをして、マリウスさんに稽古を付けてもらう事に成功した。

「お主は精霊使いじゃが、精霊達と一緒に戦えてこそじゃ。 剣は立派じゃが、使いこなせないでは意味がない。 わしの修行はちと厳しいぞ」
「かまいません。 強くなるためなら!!」

 そして修行が始まった。


 ━━━━━━━━━3年後━━━━━━

 俺はマリウスさんの元で剣技、体術の修行を受け、月日が流れた。
 魔力はあるのに魔法は使えなかったが、昔の俺よりは強くなったはずだ。
 マリウスさんにはまだ敵わないけど。

 冒険者として働きはしていたが、ランクが上がる程の仕事はしていない。 それより修行に明け暮れていた。

「3年間良く耐えたの。 わしが教える事はもう無い。 あとは己で研鑽をつむが良かろう」
「ありがとうございます」
 
 これで次の精霊命珠エレメンタルメージュを探しに行ける。
 修行をしながらも精霊命珠エレメンタルメージュの情報を探していた。
 どうやら遥か西にある砂漠の国【コンデルミ】にあるかも知れないと情報を掴んだ。
 俺は師匠であるマリウスさんに挨拶をし、早々に旅立った。
 
 まずは妖精の森に向かう。
 ルマの事は既に妖精の長老様に話してある。
 修行を終え旅立つ事を言いにもう一度向かった。

「ここも久しぶりだな……2年半振り位か?」

『そうですね』
 ここまでの道のりで出てくる魔物は容易く倒せるようにはなっていた。

「長老様~! いるか~!?」
 
 迷い森に入り、大きな声で叫ぶと、長老と一緒に妖精のンパが現れた。

「ンパ、久しぶりだな」
「カケルか、ルマは?」
「え……っと……」

 長老様から聞いてないのか?

「なんてな、悪かったよ。 話しは聞いてる」
「すまない」
「仕方ないって」

 ンパは元気づけるように肩を小さい手でバンバン叩いてくる。

「それでカケル殿、何ようでここに?」
「修行もひと段落したから、次の精霊命珠エレメンタルメージュを探しに旅立つ事を伝えに来ました」
「1人で行くおつもりか?」
「はい」
「ピピかンパを連れて行っても良いのじゃぞ。 わしらの魔法が役に立つかもしれんしの」
「そうだぜ」
 
 ルマの魔法は確かに役に立っていた。
 でも……。
 俺はルマが部屋として使っていた首飾りを握りしめる。

「1人で大丈夫です」
「本当かの?」
「正直1人旅は心細いです。 ですがこれは俺がやらないとダメな事ですから」
「まだルマの事を気にしているようじゃな」
「当然です! 俺が弱かったからルマは……」
 
 ルマの天真爛漫な笑顔を思い出す。

「でも強くなったんでしょ?」
「もちろん……だ……?」
「また私と旅したいんじゃ無いの?」
 
 長老の後ろにある木の影から赤い服を着た妖精が現れた。

「ま……さ……か……」

 聞き慣れた声、見慣れた髪、そこにいたのはルマだった。

「ルマっ!!」
「カケル!!」
 
 俺はルマを抱きしめようとしたが、ルマはそれをひょいっと躱し、俺の顔の前で腕を組んで文句を言ってくる。

「私を置いて行こうなんてさせないから! 私はカケルと契約したんだからね!」

 ルマは俺の頬にキスをして、「新しい契約の証」と言ってきた。

 そして俺はルマに消えた時の事を聞いてみた。

 ボルボルの毒にやられ、流石にもう駄目と思った時、大精霊様が転移させ、大精霊様の力で元気になれたらしい。
 前にピピとンパを転移させた魔法か。
 大精霊様が転移させた事はラジュナも知ってはいたらしいが、俺が強くなるまで大精霊様に口止めされていようだ。
 長老や妖精達も俺の修行の邪魔にならないようにと口止めされ、ルマも迎えが来るまでは会う事を禁止されていたらしい。

「行くわよカケル! 次の精霊命珠エレメンタルメージュを探しに!!」
 
 ルマはやる気がみなぎってる。

「随分やる気だな」
「だって暇だったんだもん。 それに迎えに来なかったらどうしようかと思ってたわ」
「迎えに来なかったらどうするつもりだったんだ?」
「そりゃ呪うに決まってるでしょ。 カケルが財布を落としますようにとか、腹痛が1時間おきに起きますようにって」
 
 地味に嫌な呪いだな。

「でも、来てくれたじゃない。 来ないなんて思って無かったわよ」

 そう言われると少し照れる。

「あれ~、カケル照れてるの?」
「そんな事は……」
「カケルが照れたー! カケルが照れたー!」

 俺の周りを元気に飛び回る。
 その姿を見て少し泣きそうだった。

 妖精の迷い森を抜け、次の行き先を告げるとルマは「楽しみね」と俺の肩に座る。

 砂漠の国【コンデルミ】へはアイゼススタッドの港町から船で行く。
 港町まで馬車に乗りながら、修行の話しをしたり3年間妖精の森での事を聞きながら向かった。
 ルマが言うには体調が良くなってからは他の妖精に毎日冒険の話しをしていたようだ。

 向かう途中現れた狼の魔物、【ルヴォル】の群れを手こずる事なく倒す。

「カケル強くなったわね。 おじいちゃんに助けられた時とは大違いかも」
「修行きつかったからな。 何回死んだかと思ったよ」
「それで強くなったんだから良いじゃない」
「まあね、今度こそはルマを守ってあげられるよ」
 
 ルマに話すと後ろを向かれてしまった。

「まったく……、カケルは……私の種族が違くて良かったわよ……ブツブツ……」
「ルマ?」
「なんでも無いわよ。 明日はアイゼススタッドに着くから早く寝ましょ」
「そうだな」
 
 一夜明け馬車が進むと港町アイゼススタッドへ到着した。
 【コンデルミ】へ行く船を探し、何とか1隻の商船に乗せてもらう事ができた。
 【コンデルミ】までは船で2週間程かかる。
 それまでは船で手伝いしながら過ごす事になった。
 商船には護衛船がいるので魔物との戦闘は特に無く、順調に進み、後5日程で【コンデルミ】へとたどり着く予定だ。
 ルマは最初こそは船の探検や船ならではの食事に楽しそうにしていたが、長い船旅では流石に飽きもくる。
 俺も甲板の掃除位しか手伝う事が無いのでちょっと退屈。

「もう一度コンデルミに着いてからの行動を考えておくか」
「そうね」
 
 地図を広げるとルマは地図にうつ伏せで寝そべりながら話しを聞く。
 乗せてもらっている船の人達にコンデルミについて話しを聞いた所によると、コンデルミは砂漠の国で、歴史ある国とされている。
 そのせいか日差しも強くなって船の中は暑くなってきている。
 そして、太陽の化身と言われる女王様が収める国。
 人前に姿はほとんど現さないらしいので、王宮の一握りの人しか見た事は無いらしい。
 女王様……、響きが気になるが、会ってみたいもんだ。

「見えたぞー!!」
 
 船員の声を聞いて俺達も甲板へ上がる。
 ついにコンデルミへ到着した。
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