俺の魔力は悠々自適 〜精霊達と気ままな旅路〜

かなちょろ

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第32話 風の谷と仲間達

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 マナシュラに到着した俺達は早々に植物の魔物【ボルボル】の大群に襲われた。
 町の人とボルボルの大群は倒したが、地面から巨大なボルボルが現れ、俺はラジュナの力を借りて巨大ボルボルへ立ち向かった。
 巨大ボルボルにはラジュナの電撃もいまいち効果が無く、ルマは毒の瘴気にあてられ倒れてしまった。
 そこにボルボルの毒が襲いかかる。

 躱せない!
 ルマの魔法がかかっているからこの毒は防げるだろう。 だが、ルマは?
 一刻の猶予も無い。
 ルマに毒が当たれば命を落とす。
 俺はルマを抱えて背中で毒を受ける。
 ルマの魔法で俺には毒は効いてない。
 ルマは? 大丈夫だ、かかってはいない。

 急いでルマを毒の瘴気から遠ざけるために、巨大ボルボルから離れるが、蔓の攻撃はやまない。
 毒もどんどん吐いてくるので、範囲が広がってしまう。
 くそっ! このままじゃルマが!

 その時、上から石がボルボルに向かって石が降り注いだ。
 崖の上に逃げた町の人が上から石を投げているようだ。
 巨大ボルボルにはほとんど効果は無いが、気をそらす事は出来ている。
 ありがたい。 

「こちらに!」
 
 崖から降りて来た男性にルマをそっと渡すと、俺は息を思いっきり吸い込んで巨大ボルボルへ突進した。
 早くアイツを倒さないとルマの命が危ない。

 振り下ろされた蔓を登り、ボルボルの頭を斬りつける。
 だが、やはり殆ど効いていない。
 それどころか着地と同時にボルボルの吐き出した毒に半身当たってしまった。

「ぐううっ!!」
 
 毒の当たった場所の体が焼けるように痺れる。 力も入らない。
 膝をついてしまった所へ蔓が振り下ろされた。
 やられる!! そう思った瞬間!

「キー!」

 突然白い物が蔓に当たり、俺の横へ落ちる。

「ギュー!!」
 
 ボルボルが叫ぶと、後ろを向く。
 ボルボルの背中が焦げている。
 そして1人の女性が走ってくる。

「カケルさん、これを飲んで下さい」

 差し出されたのは小瓶に入った飲み物。
 それを渡して来たのは冒険者の【メル】さんだ。
 そして蔓を攻撃してそらしてくれたのはリアスが使役しているウサギの魔物【ラビ】だ。

「なんでここに?」
「説明は後です。 あの巨大なボルボルを倒しましょう!」

 ボルボルは俺とは反対側の町の入口に向かって攻撃しながら進んでいく。
 どうやら反対側で冒険者の【リアス】が戦ってくれているのだろう。

「兄さんもいますよ」

 と言う事はメルさんのお兄さん【テイル】さんもいるって事か。
 差し出された小瓶に入っている液体を飲むと、体の痺れも消えていく。
 これでまだ戦える。

「メルさん、まだその小瓶はありますか?!」
「ええ、まだありますよ」
「なら崖の上にいる妖精のルマを助けてやって下さい!!」
「妖精?」
「行けばわかります! 毒を受けてしまっているんです!!」
「わかりました」
 
 メルさんは崖に向かって走り出した。

 俺は背を向けているボルボルに向かって剣を突き刺し電撃を流す。
 ボルボルが離れると、【リアス】と【テイル】さんが見えた。
 リアスは火炎魔法を飛ばしてボルボルにダメージを与えている。
 テイルさんはボロボロになりながらもリアスを守りながらボルボルと戦っている。
 ぶっ飛ばされても、毒を受けてもポーションを飲み、毒消しを飲みながら戦っている。

「ちょっとカケル! あの火を使うエルザって精霊はどうしたのよ!」
 
 リアスは何故俺がエルザを召喚していないのか知らない。

「理由は後で話す。 今はリアスの魔法が頼りだ!」
「仕方ないわね。 後でちゃんと話しなさいよ!」
「カケルさん久しぶり。 まさかこんな所で会うとは思わなかったよ」
 
 テイルさんの左の顔は毒で腫れ、防具もボロボロになっている。

「テイルさん協力感謝します!」
「なに、気にしないでくれ。 精霊様がいないんじゃ手こずるが、僕達なら勝てるさ」
「はい!!」
 
 テイルさんに肩を叩かれ、2人でボルボルへ剣を構える

「いくわよ! ラビ! ボルボルを撹乱して!」
「キュイ!」
「カケルはスキをついて攻撃!」
「おう!」
「テイルさんは詠唱中の私の守りをお願いします」
「まかされた!」
 
 リアスの指示のもと、連携してボルボルへ攻撃していく。
 だが、ボルボルの再生力が高く、攻撃してもすぐに再生してしまう。
 リアスの火炎球で焼いても表面が焦げ付くだけで再生する。

「なんて再生力なの!」
「もうポーションが残り少ない」
 
 リアスを守っているテイルさんも限界だ。

 ここで負ける訳にはいかない! みんなを守ると誓ったんだ!

「負けるかぁぁぁ!!」

 妖精の剣の刀身が青鈍色に輝くとラジュナの声がした。
『翔さん! 赤い精霊命珠エレメンタルメージュが光ってます!』
 魔法陣から赤い精霊命珠エレメンタルメージュを取り出すと確かに光り輝いている。
 赤い光りが刀身にふわっと移ると刀身は赤く光り輝きだした。
 光りが移ると精霊命珠エレメンタルメージュの光りは消え、俺は精霊命珠エレメンタルメージュを魔法陣に戻し、その赤く光り輝いた剣で巨大ボルボルの蔓を攻撃した。

 剣の切れ味が上がったわけでは無いが、切った部分が燃え始めた。

「カケル凄いじゃない! 私達は援護に回るわ!」
 
 2人と1匹は上手くボルボルの攻撃をそらしてくれ、攻撃のスキを作ってくれた。

「うおぉぉ!!」

 ボルボルの頭まで蔓をつたって登り、剣を振り下ろし頭から体まで切る。
 切り口から炎が噴き出し、ボルボルの体に燃え広がった。

 巨大ボルボルはその場に崩れ落ちた。 が、崩れ落ちる前、ボルボルは毒を吐き、俺に浴びせた。

「カケル!」
 
 全身に浴びた毒は刀身からの赤い光りによって消し飛んだ。

「凄え! なんだこれ?!」

『おそらく精霊命珠エレメンタルメージュの力かも知れませんね』
 赤い精霊命珠エレメンタルメージュ……、もしかするとエルザに助けられたのかもな。
『そうかも知れませんね』
 ラジュナとそんな会話をしていると、俺の元に集まって来たリアス達と崖の上にいるメルさんとルマの所へ急いだ。

「あの巨大ボルボルを倒すなんてあんたやるなあ」
「いや~、助かったぞ」
 
 出迎えてくれる町の人をよそに俺はルマの所へ急いだ。

 ルマの所にはメルさんが付いていてくれている。

「ルマの容体は?!」
「毒消しが間に合いましたから命に別状はありません。 ですが、絶対安静です」
「そうか……、メルさんもありがとう」
「いえ、カケルさんのお役に立てれば」

 そして俺達はルマをそっと抱え、まだ壊れていない家で休ませてもらう事になった。

「で、何でカケルがこの町にいるのよ?」
「俺は精霊命珠エレメンタルメージュを探しにきたんだよ」
精霊命珠エレメンタルメージュ?」
 
 実は……。
 俺は3人に今までの事、精霊達が何故召喚出来ないか、何故妖精と一緒にいるかを話した。

「カケルさんも大変だったんですね」

 メルさんはポロポロ涙を流しながら話しを聞いてくれた。
 テイルさんはポーションや毒消しの飲み過ぎでお腹たぽたぽになってしまい横になっている。

「なによ、それじゃあカケルが弱いからじゃない」

 リアスにはごもっともな意見を言われてしまった。

「3人は何でここに?」
「私達はアイゼススタッドの港町にいる時、リアスさんに声をかけられました。 マナシュラの町からディメールへ荷物が届かないから調べに行こうと」
「そう言う事。 私はギルマスに頼まれたのよ」
「ミルヒさんか。 それにしても助かったよ。 あのままじゃ負けてたかも知れないし」
「本当よ。 私達が来なかったら死んでたんだからね!」
「たすかったよ」
「でもあの赤い光りは何だったんですか?」
「そうね。 あの光りの刀身で切り付けた場所から炎が燃え広がって倒せたんですもの。 ボルボルが自分の毒で消そうとしても消えないあの炎はなに?」
「俺にもよくわからないけど、多分精霊命珠エレメンタルメージュの力だと思うよ」
「凄いのね、そのエレメンタルなんとかって」
「エレメンタルメージュな」

「それでカケルさんはこの後どうするんですか?」
「この町に精霊命珠エレメンタルメージュがあるって聞いたからな、それを探してみる。 みんなはどうするんだ?」
「私はギルマスに報告しにディメールへ戻るわ」
「私は兄さんと妖精のルマさんの様子を見ておきます」
「ありがとう。 助かる」

 俺達はその家で一泊させてもらい、次の日リアスはディメールへ、テイルさんとメルさんは家に残ることになった。

「とりあえず町長の所へ行ってみるか」
 
 半壊している町長の家へ向かい、話しをする事ができた。
 いつもは普通サイズのボルボルが2、3匹しか現れないので、町の人で何とか対処出来ていたらしい。 でも突然、巨大なボルボルが現れ、ボルボルの大群も現れるようになったと言う。

精霊命珠エレメンタルメージュはご存じありませんか?」
「聞いたこと無いのぉ」
「これと同じ物を見たこと無いですか?」
 
 俺は魔法陣から赤い精霊命珠エレメンタルメージュを取り出し、町長に見せた。

「おお、それなら知っておる。 この町の洞窟の祭壇にある白い守り神じゃな」
「それは何処に!?」
「半年程前に大雨で洞窟の入口が大岩で塞がってしまっての、大岩をどかそうとしたが、その時から急にボルボルが大量発生しての、大岩をどかしている暇も無く、ついには巨大なボルボルまで現れたっちゅーこっちゃ」

『翔さん、もしかして精霊命珠エレメンタルメージュが魔物の侵入を防いでいたのかも知れません』
 確かにそうかも知れないな。 フラウド山で魔物が溶岩にいた奴しか出なかったのはそのおかげかもな。

「相談なんですが、その白い精霊命珠エレメンタルメージュを頂けませんか? どうしても必要なんです」
「かまわんよ。 何か事情がありそうじゃし、町を救ってくれたからの。 それにボルボルも倒したからこれからは襲われる事も無いじゃろう」
「ありがとうございます」

 俺は急いでその洞窟の前まで行くと、町長が話した通り大岩で入口が塞がっている。

『翔さんどうしますか?』
 なんとかどかしてみせるさ。
 俺は力一杯大岩を横に押す。
 もちろんびくともしない。
 剣で切れないかな?
 2メートル以上ある大岩、切れるかは怪しい。
 俺が考え込んでいると、町長に話しを聞いたらしく、町の復興を後に男性達が駆けつけてくれた。

 全員で大岩を押す。
 大岩はすこし動いて何とか人が1人通れる位の隙間を開ける事が出来た。
 駆けつけてくれた町の人にお礼を言い、中を覗く。
 中は真っ暗だ。
 ラジュナの力を借りて刀身に電撃を流しバチバチとうっすら光らせて洞窟を進む。
 洞窟の奥から風が吹いてくる。
 洞窟の奥が少し明るい。
 祭壇の場所に白く輝く宝石のような石が祀られている。

「やっと二つ目の精霊命珠エレメンタルメージュが手に入った」
 
 俺はそっと精霊命珠エレメンタルメージュを手に取り、魔法陣へしまう。

「よし、早くルマの所へ戻ろう」

 洞窟を抜け、ルマの元へと走る。

 扉をそっと開け、ベッドで寝ているルマの様子を見る。

「あ、カケルさんお帰りなさい。 エレメなんとかは見つかりました?」
「ああ、ちゃんとね」
「それならよかったです」
「それよりルマの様子は?」
「回復はしましたが、意識が戻りません」
「くっ!」
 
 精霊命珠エレメンタルメージュはルマのお陰で手に入れられたようなものだ。

「メルさん、ルマを見ていてくれてありがとう。 あとは俺が見るからメルさんは休んでくれ」
「わかりました。 少し休んできますね。 何かあったらすぐに呼んでください」
「ああ……」
 
 メルさんはそっと扉を閉めて部屋を後にした。

「ルマ……、君のお陰で精霊命珠エレメンタルメージュを手に入れる事が出来たよ」
 
 俺は魔法陣から白い精霊命珠エレメンタルメージュを取り出し、ルマに見せた。
 うっすらと光っている精霊命珠エレメンタルメージュから光りがルマを包む。

「…………ん……、カ……ケル?」
「ルマ!! 意識が戻ったのか!!」
 
 ルマはうっすらと目を開け、俺に笑顔を飛ばす。

「やった……じゃ……ない」
「ああ、ルマのお陰だ!」

 俺はルマの手を握りしめた。

「ちょっと……、そんなに……強く握ったら……痛い……じゃない……これで……、あと……2つね……」
「そうだな。 だから早く良くなってくれ」
「わた……しが……いないと……ダメね……」
「そうだ! だから……」
「ふふ……」
 
 ルマを包んでいた光りが消えるとルマはまた眠りについた。
 俺は疲れが出たのかルマの手を握ったまま眠ってしまった……。

 まだ月明かりが照らす夜、ルマが消えて居なくなっている事を俺はまだ知らなかった……。
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