俺の魔力は悠々自適 〜精霊達と気ままな旅路〜

かなちょろ

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第36話 盗賊団と腕輪の行方

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 盗賊団のアジトへ向けて準備を整えた俺達は馬を借り、いざ砂漠へ。

「砂漠って言っても砂だけって感じじゃないんだな」
「この辺りはそうですね。 この先に進むと馬も使えなくなる砂漠が広がります」
「そこからは歩きってわけか」
「そうです」

 盗賊団のアジトがあるオアシスへは砂漠を歩かなければいけない。
 砂漠には毒をもった魔物が多いとの事で、ルマには魔法をかけてもらっている。

「ここから砂漠が続きます。 アジトまでは歩いておよそ1日です」

 俺達はアジトに向かって歩き出す。
 見渡す限り目の前には砂の海。
 空は雲一つない快晴。 青空が広がっているせいで海のど真ん中に漂流している気分だ。
 熱を軽減するルマの魔法が無ければ俺には耐えられない暑さだろう。

「うわっ!!」

 砂に足を取られ、砂丘を転がり落ちる。

「カケル!!」
「これに捕まって!」

 アイジャが投げたロープをなんとかキャッチして、下まで落ちるのを防げた。
 砂丘を登ろうと足を出すが、砂に足が沈み込み上手く上がれない。
 アイジャがロープを頑張って引っ張ってくれたお陰で何とか上がる事は出来た。

「気をつけて下さい! この穴の下には落ちてきた生き物を食べる魔物がいます」
「マジかよ……」
 
 自分が落ちた場所を見るとすり鉢状になっていて、穴の中心になにやらモゾモゾ動いているのが見えた。
 これ、蟻地獄か……。 規模は違うけど……。

「他にも、毒を持ったデザートバイパー、ポイズンスコーン、砂漠の植物に擬態しているポイズンカクタス、人を一飲みしてしまうデザートワームなんかがいます。 さっきの穴の魔物はヘルトリオンです」
 
 毒持ち多すぎじゃね……。

「わかった気をつけるよ」

 休憩を挟みながら砂漠を歩く。
 暑い砂漠を歩くのにフードは余計に暑くないのかと思ったが、日差しが防げるし、砂埃も防げるようになっていて機能的だ。
 砂漠の昼間は気温が高く、とても暑いが、夜はその逆で気温が下がる。
 砂は熱を逃しやすく、辺りは砂しかないので、昼間の温度を留めておくことが出来ない。
 ここでもフードは役に立った。

「明日辺りアジトに着くと思います」
「私が先に見てこようか?」
「やめといた方が良いと思います。 オアシスまで隠れる場所は無いし、盗賊の中にはサーチが出来る者もいるかも知れません」
「厄介だな。 どうやって近づくか」
「わ……私に良い考えがあります」
 
 自信満々に言うアイジャに任せて、魔物除けの結界を張って今日は眠る事にした。

「カケル! カケル! 起きて!」
「ルマに体を揺さぶられて起こされる。
「……もう見張り交代か……?」
「違うの! 魔物に囲まれちゃってる!」
「結界があるから大丈夫だろ?」
「結界が役にたって無いのよ!」
 
 どう言うわけだ?
 結界は木の杭に魔物除けの呪符をロープ状にした物で出来ている。
 その木の杭が砂で埋まっていて、効果を発揮出来なくなったのか!

 燃えている焚き火から暗闇を見ると魔物の目が光って見える。

「囲まれてるな」
「魔法かけとくわ」
「助かる」
 
 ルマには妖精の魔法で毒を無効にしてもらい、剣を構える。
 ジリジリと魔物は距離を詰めて来ているが1匹が飛び出して来た。
 牙を立てて飛び出して来た魔物は【デザートバイパー】だ!
 躱して着地した所を狙って首を切る。
 それを見た他のデザートバイパーは速度を上げて襲って来た。

「ルマ! アイジャを早く起こしてくれ!」
「アイジャ~! 早く起きてよ~!」
 
 ルマはさっきからアイジャを揺さぶったりして起こしているのだが、一向に起きない。

「仕方ない」

 ラジュナ! 力をかしてくれ!
『勿論です』
 ラジュナの電撃を抑えに抑え、少し強めの静電気位にして刀身をアイジャに近づける。

 バチッ!

「ピャ!!」
 
 流石に効いたようだ。

「我に何をする! この無礼者!! ……ん?」

 目が覚めたアイジャは辺りをキョロキョロしている。

「やっと起きたか! 魔物だ! とりあえず自分の身は自分で守ってくれよ!」
「なんじゃと! 魔物じゃと!?」

 アイジャはそばに置いてあったナイフを取り、素早く構え臨戦体制を取る。

「アイジャ、魔法をかけるわよ」
 
 ルマはアイジャにも毒無効の魔法をかけた。

 デザートバイパーはだいぶ倒したが、デザートバイパー達は狙いを俺からアイジャに切り替えたようで、アイジャに向かって集まって行く。
 アイジャもそれなりにナイフは使えるようだが、数に押されてしまっている。
 1匹のデザートバイパーがアイジャに飛びかかるとアイジャはそいつをナイフで切り落とすが、その後ろから別のデザートバイパーが飛びかかって来ていた。

「しまっ!」

 ガブッ!!

「大丈夫か?」
「「カケル!!」」
 
 間一髪、アイジャに飛びかかったデザートバイパーの牙を俺の腕で庇う事が出来た。
 腕に噛み付いているデザートバイパーの首をすかさず切り落とし、頭を外す。

「大丈夫なのか!?」
 
 アイジャは心配そうに言ってくるが、ルマの魔法で毒だけは効かない。 でも噛まれた痛みはあるけどな。

「大丈夫だ。 ルマ、もう一度魔法を頼む」
「わかった」
 
 俺は出来る限りアイジャも守りながらデザートバイパー達を倒した。
 倒し切った頃には夜が明け始めていた。

 アジトに向かう間、ずっとアイジャは「本当に大丈夫か?」としつこく聞いてくる。

「大丈夫だって、毒はルマの魔法で効果ないし、傷も薬で治した。 心配無いって。 それよりもうすぐアジトが近いだろ? 何か作戦があるって言ってたよな? よろしく頼むよ」
「任せておいてくれ」
 
 アイジャは胸をトンッと軽く叩くと、得意げな顔をする。

「ねえ、ねえ、アイジャって偉い身分なの?」
「え? な、なにを言っている?」
「だって、起こした時に、我とか無礼者! とか言ってたから」
 
 ルマ~! それは聞いちゃダメなやつ~!!

「そ、そんな事は無いぞ。 王女の世話係だっただけだし……、本当だぞ! カケル! 本当だからな!!」
「わかってるよ」
 
 必死に訴えてくるのは逆に可愛いぞ。
 しばらく砂漠を進むとオアシスがうっすら見えてきた。

「あそこだ。 あそこに腕輪が……」
「う~ん……、ざっと20人位か……」
 
 サーチ出来る者がいたらこれ以上は危ないな。

「な、カケル! 人数がわかるのか?!」
「なんとなく感覚でな」
 
 実際は感覚では無く、ラジュナが教えてくれただけだけどね。

「よし、ここからは私が行ってくる」
 
 アイジャはフード付きのローブを砂に埋め、取り出し、軽くはたいてから身につけると、オアシスに向かって歩き出した。

「本当に大丈夫なのかしら?」
「う~ん……」
 
 ルマと共にアイジャの後ろ姿を見て、心配して見送った。


「み……水を……」
 
 フラフラと歩いて、オアシスに着く。
 テントが並ぶ入口には盗賊団の男が門番的な見張りをしている。

「誰だ! おめぇ!」
「水を……水をください……」
「あ~? 砂漠で迷ったってわけか? あいにくとおめぇにやる水はねぇな」
「そんな……、そこをなんとか……」
「しつこい奴だな。 ぶっ殺されてぇか?」
「なんだ騒がしい」
 
 入口の騒ぎが気になったのか、1人の男性が見に来た。

「あ、頭、こいつが水をくれってうるさいんでさぁ」
「……、くれてやれ」
「良いんですかい?」
「砂漠で水を求めている者には手を貸してやれ。 それが砂漠で住む者の掟だ」
「わ、わかりやした」
「(ほう、この者は砂漠の掟を知っておるのか、ならもう一芝居打ってみるか)」
「ハァハァ……ガクッ」
 
 アイジャはその場にバッタリと倒れると、盗賊団の頭はアイジャを抱えて中に入って行った。

「カケル、これからどうするの?」
「そ、そうだな……」
 
 アイジャには任せろと言われていたが、実際どうするのかまでは聞いてなかった。
 まさか潜入に成功するとは。

「しばらく様子を見るしか無いな」

 アイジャの潜入が成功して合図を夜まで待っていたが、何もない。

「カケルどうするの?」
「仕方ない……、俺達も潜入するか」
 
 その時、アジトの入口から松明の明かりが合図を送るように左右に振られている。

「もしかしてあれが合図か?」
「そうかも知れないわね。 私がちょっと見てこようか?」
「気をつけてな」
 
 ルマは夜の闇に紛れて盗賊のアジトに飛んでいった。
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